世界的なインフレ進行と、それに対応する各国の金融引き締め政策の影響により、世界全体で金利が上昇傾向にあります。この影響は日本にも波及しており、まず固定金利型住宅ローンの金利が上昇し始め、続いて変動金利型の住宅ローンにも波及するかたちで、徐々に金利が引き上げられています。日本国内の金利水準は依然として諸外国と比べて低水準にとどまっているものの、「これからも金利が上がっていくのではないか」という見通しを持つ専門家も増えています。
そのような状況にもかかわらず、変動金利型の住宅ローンが依然として多くの借り手に選ばれている理由は、日本経済がデフレ基調から完全には脱却しておらず、構造的な低成長が続くとの見方が根強いからです。実際に、多くの人が「今後も急激な金利上昇は起こりにくい」と予測しており、毎月の返済額を抑えられる変動金利タイプにメリットを感じています。
たとえば、auじぶん銀行の変動金利型住宅ローンは、金利の低さに加え、無料で付帯する複数の疾病保障(がん・脳卒中・急性心筋梗塞など)が大きな魅力です。このように保障の充実度も高く、なおかつネット銀行ならではの低コスト構造を背景にした好条件が揃っているため、借入先として高く評価されています。
このような背景から、たとえ「将来的に金利が上がる可能性がある」と理解していても、現時点の低金利と付帯サービスの魅力から、変動金利型を選ぶという判断が主流になっているのが、今の日本の住宅ローン市場の実態です。
目次
変動金利比較ランキング
第1位 SBI新生銀行
SBI新生銀行の住宅ローンは、業界最低水準とも言われる低金利の変動金利プランに加え、充実した保障内容が大きな魅力です。特に注目すべきは「安心保障付団信」と呼ばれる独自の団体信用生命保険の仕組みです。
一般的な団信は、契約者が死亡した場合にのみ適用され、住宅ローン残高が0円になりますが、SBI新生銀行の安心保障付団信では、死亡に限らず、所定の病気や不慮の事故などにより介護認定(要介護3以上)を受けた場合でも、住宅ローンの残債が全額免除されます。これは、長期間にわたる住宅ローン返済を見据えたうえで、将来の予期せぬ事態に備えられる非常に手厚い保障と言えるでしょう。
とくに、借入時の年齢が高めの方にとっては、介護リスクが現実味を帯びてくる中で、このような保障が無償で付帯される点は大きな安心材料です。人生100年時代を迎える中で、住宅ローンの返済期間中に起こり得るリスクに備えたいと考える多くの人にとって、SBI新生銀行の住宅ローンは非常に魅力的な選択肢となっています。
SBI新生銀行 住宅ローンの詳細 | |
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金利 | 変動金利:年0.660%(自己資金10%以上) 10年固定金利:年1.500% |
保証料 | 0円 |
事務手数料 | 手数料定率型:借入れ金額の2.20%(税込) |
一部繰上げ 返済手数料 | 0円 |
保障内容 | 団信のみ |
備考 | |
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第2位 PayPay銀行
第2位にランクインしたのは、近年急速に存在感を高めているPayPay銀行の住宅ローンです。
PayPay銀行の住宅ローンは、変動金利型において業界でもトップクラスの低金利を実現しており、定期的に実施されるキャンペーンによる金利優遇も見逃せないポイントです。ネット銀行ならではのコスト削減を背景に、借入希望者にとって非常に有利な条件を提供しており、「住宅ローン業界の台風の目」と言われるほど注目を集めています。
また、PayPay銀行では「スゴ団信」と呼ばれる団体信用生命保険が安価で付帯できるのも大きな特長です。一般的な死亡・高度障害の保障に加えて、がんと診断された場合に住宅ローン残高の50%が保障される「がん50%保障団信」や、失業・災害といった予測困難なリスクに備えた保障も含まれており、従来の団信の枠を超えた先進的な内容となっています。
住宅ローンは返済期間が20年~35年に及ぶ長期契約となるため、その間に何が起きるかわかりません。PayPay銀行のように、金利だけでなく保障面でも充実したサービスを提供している住宅ローンは、将来に備えたいと考える方にとって非常に心強い選択肢となるでしょう。
PayPay銀行 住宅ローンの詳細 | |
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金利 | 変動金利:年0.730%(全期間引下型) |
保証料 | 0円 |
事務手数料 | 借入れ金額の2.20%(税込) |
一部繰上げ 返済手数料 | 0円 |
保障内容 | 一般団信 |
備考 | |
■関連記事■ ・PayPay銀行の住宅ローン 金利や諸費用、メリット・デメリットを解説。口コミ情報も紹介 ・PayPay銀行の住宅ローン 審査基準を解説 ゆるい?厳しい? |
第3位 ソニー銀行
新規購入で自己資金が10%以上を要した場合、通常より更に低い金利で変動金利を利用することができます。低い金利に無料で付帯する疾病保障の手厚い保障は借入候補として検討するべき住宅ローンでしょう。
ソニー銀行は、ソニーフィナンシャルホールディングス傘下のネット専業大手の銀行で、オリコン日本顧客満足度「住宅ローン満足度」ランキングでは2011年から11年連続で1位を獲得しています。
借り換え時に考えておきたい疾病保障として、ソニー銀行の住宅ローンには団信に加えて「がん団信50」が無料で付帯します。
「がん団信50」とは、がんと診断されると住宅ローン残高の半分が支払われる保障です。
いくら無料の疾病保障とはいえ半分残るのは不安という方には「がん団信100」がおすすめです。
ソニー銀行ではこの「がん団信100」が他の銀行よりも低い+年0.1%の上乗せで付帯できることもおすすめポイントの1つです。
このソニー銀行の「がん団信100」は、がんと診断されると住宅ローン残高全額が保障されることに加えて、給付金として100万円とがん先進医療給付金(通算1,000万円)も保障されます。
がんに備えたいとお考えの方にはおすすめの保障を備えています。
団信は一般的に残高を保障するものの為、利用者の手元にお金がもらえるケースは少なく、当面の治療費まで賄えるなど現金が支給される点でも利用者にとってはメリットが大きい保障です。
通常、他の銀行では月初に当月の金利を発表しますが、ソニー銀行の場合、前月の半ばには次月の金利が発表されます。
そのため、変動金利タイプと固定金利タイプの切り替えが何度でも自由に可能な独自なサービスを提供しているソニー銀行では、事前に固定金利にするか、変動金利にするのかという判断が可能になり、急激な金利変動でも事前に切り替えられることでリスクに備えられます。
また、ネット銀行なので、申し込みから契約までの手続きはすべてインターネット上で行えますが、それでは不安という方のために、専任のローンアドバイザーが相談から契約、手続きのフォローまでサポートしてくれるサービスも用意しているのも心強いですね。
ソニー銀行は、ネット銀行としてはいち早く住宅ローンサービスを提供し、低金利とソニーグループという信頼性で多くの方に利用されている住宅ローンになります。
ソニー銀行 住宅ローンの詳細 | |
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金利 | <変動セレクト住宅ローン> 変動金利:年0.897%(新規購入) |
保証料 | 0円 |
事務手数料 | ・変動セレクト、固定セレクト住宅ローン : 借入れ金額の2.20%(税込) ・住宅ローン : 44,000円(税込) |
一部繰上げ 返済手数料 | 0円 |
保障内容 | 団信に加えて「がん団信50」が無料で付帯 |
※ 2023年11月1日からのお借り入れ分について、新規購入での物件の購入価格を超えてお借り入れの場合は、金利が年0.05%上乗せになります | |
■関連記事■ ・ソニー銀行の住宅ローン 詳細情報 ・ソニー銀行の住宅ローンのメリット・デメリットは?(金利・金利推移・手数料・団信・審査基準) ・ソニー銀行 VS auじぶん銀行の住宅ローンを徹底比較。無料のがん保障の違いは? |
第4位 みずほ銀行
みずほ銀行はネット専用の住宅ローンを提供しており、専任の担当者が審査から借り入れまでをサポートしてくれる体制を整えています。ネット銀行の住宅ローンであれば審査の状況に応じらた担当制になっていることが多く、一気通貫した担当者サポートしてくれるのはメガバンクならではのサービスと言ってよいでしょう。もちろん、店舗での相談も可能となっており、この点でもネット銀行には真似できないサービスになっています。
みずほ銀行のがん100%保障団信は年0.10%の金利上乗せで利用できるのも大きな特徴です。そのほかにも8大疾病補償、8大疾病補償プラス がんサポートプランなどの疾病保障を取り扱いしています。
保障という面で、みずほ銀行では「自然災害支援ローン」を取り扱っている点が大きな特徴と言えます。マイホームが自然災害で全壊した場合に住宅ローンの残債の50%が消滅する保障内容となっています。こうした保障はネット銀行では取り扱いがないのでさすがメガバンクと言ってよいものですね。
みずほ銀行「ネット住宅ローン」の詳細 | |
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金利 | 「ネット住宅ローン」 変動金利:年0.525%~ |
保証料 | 0円 |
事務手数料 | 借入れ金額の2.20%(税込) |
一部繰上げ 返済手数料 | 0円 |
保障内容 | 団信が無料で付帯 |
■関連記事■ ・みずほ銀行の住宅ローン審査は厳しい?審査期間は? |
第5位 イオン銀行
上位の銀行の金利にも劣らない水準ですが、団信のみで無料の疾病保障がないなど保障面で劣ることから5位となっています。
ただ、その点が気にならずイオン系列のショッピングモールをよく利用する方や、店舗で専門家に対面相談したい方におすすめの住宅ローンです。
その理由は、「イオンセレクトクラブ」の特典と店舗での対面相談です。
イオン銀行の住宅ローンを利用すると、イオングループでのお買い物が毎日5%OFF(年間の買い物額が90万円まで、最大で225,000円の割引が適用)されるなど、普段からイオングループでお買い物をしている方には、非常に魅力的な特典が多数用意されています。
ネット銀行でも数少ない「専門家に窓口で相談」ができる体制を整えているのも注目のポイントです。
全国のイオンモールには、常駐の住宅ローン専門スタッフが無料の住宅ローン相談が行える窓口があり、借り換え時の不安や不測の事態などちょっとしたことでも相談することができるのは心強いですね。
しかし、普段イオングループで買い物をしない方にすれば、この「イオンセレクトクラブ」の特典はあまり意味のないものとなります。そういった方にはイオン銀行よりも金利が低く、無料の疾病保障が付帯するauじぶん銀行などがおすすめです。
では、イオン銀行の住宅ローンの詳細を見ていきましょう。
イオン銀行の住宅ローンの詳細 | |
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金利 | 変動金利:年0.780%(金利プラン) ※2025年7月の金利 |
保証料 | 0円 |
事務手数料 | 借入れ金額の2.20%(税込) |
一部繰上げ 返済手数料 | 0円 |
保障内容 | 団信のみ |
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まとめ
変動金利タイプは住宅ローンを契約している人の7割以上に選ばれている人気の金利タイプで、今月もネット銀行の住宅ローンの低金利が目立っています。
実際、auじぶん銀行が驚異的なスピードで住宅ローンの実行金額を増やしている理由は、変動金利タイプの金利の低さ+疾病保障サービスです。メガバンク・地方銀行も変動金利タイプの金利を引き下げつつありますが、現時点ではまたネット銀行の住宅ローンの方が魅力的な状況が続いていて、しばらくはネット銀行の住宅ローンを利用する人の数が増加していくことになりそうです。
※紹介している内容の正確性には万全を期していますが、商品について詳しい内容につきましては各銀行の公式サイトから必ずご確認をお願いします。
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