この記事では、PayPay銀行の住宅ローンのメリットとデメリットの両方を解説しています。
PayPay銀行は、元々はジャパンネット銀行として営業していた日本で最も歴史のあるインターネット銀行です。その後、QR決済で有名なPayPayを提供しているZホールディングスのグループ会社となってPayPay銀行に名前を変えました。
目次
PayPay銀行の住宅ローンの特徴
※PayPay銀行の住宅ローンは、「正社員・契約社員など」は利用できますが、「個人事業主・自営業、同族企業に勤める人」は利用できません。(専用商品が用意されています)また、市街化調整区、非線引き区域の物件の場合も利用できません。後発組の住宅ローンなのでより柔軟な運用を期待してしまいますが、一般的な住宅ローンよりも利用できる条件がかなり厳しいので最初に注意点としてあげておきたいと思います。
住宅ローン金利
まず住宅ローンで気になるポイントは”金利”だと思いますので、PayPay銀行の住宅ローン金利を確認しておきましょう。PayPay銀行の住宅ローン金利は業界トップクラスの低金利です。
PayPay銀行の住宅ローン 2024年11月の金利
金利タイプ | 金利 | |
---|---|---|
変動金利 (全期間引下型) | 新規借り入れ(自己資金10%以上) | 年0.465% |
変動金利 (全期間引下型) | 新規借り入れ(自己資金10%未満) | 年0.530% |
変動金利 (全期間引下型) | 借り換え | 年0.499% |
新規借り入れの自己資金による金利優遇の条件やその他の金利タイプについては以下の公式サイトなどで確認してください。
ネット銀行の住宅ローンには無料の疾病保障が付帯するのが標準的ですが、PayPay銀行の住宅ローンにも無料(金利上乗せなし)の疾病保障が付帯しています。PayPay銀行の団信(団体信用生命保険)・疾病保障
PayPay銀行の団信保障プラン 団信保障
プラン上乗せ金利 保障の内容 一般団信 なし 死亡・所定の高度障害状態・余命6ヶ月以内と判断された場合、住宅ローン残高が「0円」となるプランです。 がん50%保障団信 なし 一般団信の保障に加えて、がんと診断確定されたら住宅ローン残高が「半分」となるプランです。 がん100%保障団信 年0.1% 一般団信の保障に加えて、がんと診断確定されたら住宅ローン残高が「0円」となるプランです。さらに、がん診断給付金による保障100万円、上皮内がん診断給付金/皮膚がん診断給付金による保障50万円が付きます。 ワイド団信 年0.3% 健康上の理由で一般団信にご加入いただけない方でも加入しやすいように引受基準を緩和したプランです。
死亡・所定の高度障害状態・余命6ヶ月以内と判断された場合、住宅ローン残高が「0円」となるプランです。
PayPay銀行の住宅ローンには「がん50%保障」が無料で付帯します。がん(所定の悪性新生物)と診断確定された時に、住宅ローンの残高が半分になるがん50%保障に加えて、診断確定一時金として100万円の給付金を受け取ることができます。
また、がん先進医療を受けた際の治療費も保障されるようになっていて、通算2,000万円/1回あたり2,000万円を限度としたがん先進医療保障を利用することができます。
なお、がん50%団信は、51歳未満の人で保険会社の加入審査に通過した場合のみ利用できます。
住宅ローン借り入れ額が5,000万円を超える場合には健康診断結果証明書の提出も必要となるので早め早めに動くことが必要になります。
諸費用・初期費用
住宅ローンを選ぶときの大切な判断材料の1つになるのが事務手数料などの諸費用です。特に手元に十分な金額の資金がない場合に重要になってきます。
PayPay銀行の住宅ローンの契約時にかかる諸費用の中で多くを占めるのは事務手数料で、PayPay銀行の住宅ローンは融資金額の2.20%(税込)を支払う必要があります。
保証料・団信の保険料・一部繰上返済手数料・収入印紙が0円
なお、保証料や団信の保険料、一部繰上返済手数料は問題ない水準です。
メガバンクや地方銀行のように保証料がかかる住宅ローンと比べれば、無料サービスが多いのは大きなメリットですが、ネット銀行では同じように保証料・団信の保険料・一部繰上げ返済手数料は無料なので、ネット銀行と比べる場合はメリットとまでは言えません。
収入印紙が0円にする電子契約も多くのネット銀行で採用されていますが、PayPay銀行もしっかりと対応しています。
まとめると、人気のあるネット銀行の住宅ローンと比べた場合、このポイントで差別化できているとは言えませんが、メガバンクや地方銀行の住宅ローンと比べるとメリットが大きいポイントです。
事務手数料には注意
PayPay銀行の住宅ローンの事務手数料は借入額の2.20%(税込)です。これは「低金利なネット銀行の住宅ローンとしては標準的」ですが、手数料水準としては高額です。そのため、ソニー銀行やSBI新生銀行などが取り扱っている、保証料・団信保険料・一部繰上返済手数料・印紙代が0円にできて、かつ、事務手数料も数万円に抑えられる住宅ローンと比較するときは、割引材料(デメリット)として考えておくようにしてください。
申し込みから契約、借り入れまでの流れ
PayPay銀行の住宅ローンは申し込みから契約までパソコンかスマホがあれば完了できますのでパソコンやスマホの操作に慣れている人であればスムーズに手続きを進めることができると思います。PayPay銀行の住宅ローンの審査期間
- 事前審査 – 最短30分~5営業日
- 本審査 – 3~10営業日
事前審査は最短30分で回答がもらえます。最大で5営業日とあるので時間がかかる可能性もあるようです。事前審査の後の本審査は3~10営業日なのでまずますの審査スピードと言えます。
商品概要
続いて、PayPay銀行の住宅ローンを利用できる人などの商品の基本的な内容を確認していきます。特に、仮審査・本審査などでみられる審査基準にも影響する内容も含まれていますので審査に不安がある人は参考にしてください。
PayPay銀行の住宅ローン 利用条件 | |
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利用条件 | ・PayPay銀行の普通預金口座をお持ちの方 ・年齢が20歳以上65歳未満で、完済時に80歳未満の方 ・前年度年収が200万円以上の方 ・日本国籍の方または日本の永住許可を受けている外国籍の方 ・PayPay銀行指定の団体信用生命保険に加入できる方 ※PayPay銀行の住宅ローンは正社員・契約社員が利用可能で、個人事業主・自営業、同族企業に勤める方は利用できません。また、市街化調整区、非線引き区域の物件は借入不可となっています。 |
借入金額 | 500万円以上2億円以下(10万円単位) |
借入期間 | 1年以上35年以内(1ヶ月単位) |
完済時年齢や年収は申込みの前に確認しておくようにしましょう。特に、PayPay銀行の住宅ローンは正社員・契約社員は利用可能ですが、個人事業主・自営業、同族企業に勤める方は利用できず、市街化調整区、非線引き区域の物件は借入不可なので注意が必要です。
(審査が甘いというと内部の人に怒られそうですが、住宅ローンの審査に不安がある人はイオン銀行の住宅ローンを候補に加えることをおすすめします。年収100万円以上でかなり幅広い人が利用できる可能性がある基準になっています)
PayPay銀行の住宅ローンのメリット
変動金利・10年固定金利が非常に魅力的な水準
PayPay銀行の最大の特徴は変動金利が非常に魅力的な水準であることです。貸出対象者を正社員や公務員に限定することで審査基準を厳しくしていることで貸し倒れリスクを抑えることで低金利を実現していく戦略をとっていると思われます。
大企業や公務員勤務の方などには適した住宅ローンをいえるでしょう。
ペアローン向けの連生団信の取り扱いを開始
PayPay銀行では2024年6月1日より連生団信の取り扱いを開始しました。連生団信では、夫婦やパートナーのうちどちらか一方に万が一のことが起こった場合でも、両名分の残りのローン残高が全額支払われます。通常の団信ではローン契約者本人のみが保険の対象ですが、連生団信では共同名義のため、両方が保険の対象となります。これにより、どちらかが亡くなったり高度障害になった場合でも、もう一方に経済的な負担がかかることなく安心して生活を続けることができるメリットがあります。
PayPay銀行の連生団信は必要な保障に応じて複数のプランを用意しているため、契約者の選択肢が広いものとなっています。
PayPay銀行の住宅ローン デメリット
続いて、PayPay銀行の住宅ローンのデメリットとなりそうなポイントを紹介します。
諸費用が高い
PayPay銀行の事務手数料は借入額の2.20%(税込)必要です。 手数料水準自体は一般的ですが、借入額の2.20%(税込)では金額に応じて以下のように高額の手数料の支払が必要になります。
借入額 | 事務手数料(税込) |
---|---|
2,000万円 | 440,000円 |
3,000万円 | 660,000円 |
4,000万円 | 880,000円 |
5,000万円 | 1,100,000円 |
借入額が増えるほど事務手数料の金額も増えていくことになります。事務手数料が安いと住宅ローン契約時に用意するお金がかなり少なく済むので、できれば事務手数料を安く済ませたいという人も多いと思います。その場合、非常に魅力的な水準の事務手数料で住宅ローンを提供しているソニー銀行が選択肢にあがってきます。
事務手数料の違い | |
---|---|
銀行名 | 事務手数料(税込) |
PayPay銀行 | 借入額の2.20% |
SBI新生銀行 | 借入額の2.20% |
ソニー銀行 | 一律44,000円※ |
※ 住宅ローンの場合の事務手数料です。変動セレクト住宅ローン、固定セレクト住宅ローンは借入額の2.20%(税込) |
このように、PayPay銀行の住宅ローンは3,000万円を借り入れた場合660,000円(税込)の事務手数料が必要になりますが、ソニー銀行の住宅ローンではいくら借り入れても一律で44,000円(税込)なのでかなり安く済むことがわかります。
住宅ローンの契約時にできるだけ出費を減らしたい人や、借り入れ金額が大きくなる予定の人はソニー銀行の住宅ローンをチェックしておくことをおすすめします。
審査が厳しい
住宅ローンの審査内容の詳細はどの銀行からも正確に公表されることはありませんが、商品説明書などをもとに概要を把握することは可能です。それらの情報から総合的に判断すると、PayPay銀行の住宅ローンの審査基準はかなり厳しいと考えておいて方が良さそうです。以下に参考情報をいくつか記載していますので参考としてください。
自営業者・個人事業者はもちろん、同族企業経営者も申込みできない
前年度年収が200万円以上で利用できるのはよいのですが、「自営業者・個人事業者、ご自身またはご家族が経営する会社にお勤めの方は、原則ご利用いただけません。」と明確に拒絶されています。個人事業主や同族企業で働く人は、審査もしないで門前払いしていて、正直、日本経済を陰ながら支えている中小企業で働いている人に対して失礼だと思います。
購入する物件に対しても条件あり
就業形態や年収による条件に加えて、購入する物件に対しても条件があり、市街化調整区、非線引き区域の物件では借入れが不可となっています。 対象外の物件を購入する場合では申し込んでも審査を通ることはないので、申し込みの条件を満たしているか注意しましょう。
転職にも厳しい?
一般的に転職してから3年未満でも審査に不利になると言われていますが、PayPay銀行の住宅ローンも同様で、転職して3年未満の場合は職務経歴書、さらに1年未満の方は雇用契約書と直近3ヶ月の給与明細と直近1年分の賞与明細の提出を求めています。
正直面倒だと思います。契約社員の場合も、1ヶ月分の給与明細と雇用契約書の提出を求めています。
このような面倒な書類提出や働き方による差別のような基準がほとんどないのがフラット35です。 審査に不安を抱えている人、個人事業主の人、会社を立ち上げたばかりの人は、比較的審査に通りやすいARUHIのフラット35を申込先の1つに加えておくと良いでしょう。
変動金利タイプの住宅ローンに5年ルール・125%ルールがない
PayPay銀行の住宅ローンは、変動金利の金利が非常に低く、かつ、「5年ルール」と「125%ルール」を採用していません。
一般的な住宅ローンの変動金利には「5年ルール」「125%ルール」というルールがあります。
住宅ローン返済中に世の中の金利が上がったら変動金利で借りている場合、適用金利があがる可能性があります。金利があがると毎月の返済額が増えることになりますが、急に返済額があがると返済に困る家庭が増えてしまうので、「急激な返済額の増加を防ぐために、「5年ルール」と「125%ルール」というルールが用意されています。
PayPay銀行の住宅ローンはこのルールを採用していないので市場金利が急上昇したときなどは、急に毎月の返済が増えるリスクがあります。また、住宅ローンを開始してから間もないので実績や信頼性が不足している面もあるので、PayPay銀行の住宅ローンで変動金利を借りようとする人は十分注意するようにしましょう。
※一方で「5年ルール」と「125%ルール」があるから良い住宅ローンというわけではありません。5年ルールや125%ルールで月々の返済額が変わらなかったとしても、総返済額が変わるわけではありません。金利が大きく上昇した場合、返済額に占める利息部分の比率が増加し元金部分の比率が減少するのです。その場合、元金部分の返済は遅れていくので返済期限に住宅ローン残高が大きく残っている状態になり、住宅ローン契約の終盤にまとめて返済を求められます。
「5%ルール」と「125%ルール」は返済額をコントロールすることができる制度ですが、大きな金利上昇時にはリスクを伴うことになるため、しっかりと理解した上で利用するようにしましょう。
PayPay銀行の住宅ローンの評判・口コミは?
最後にPayPay銀行の住宅ローンの評判・口コミ情報をいくつか紹介しておきたいと思いますので参考にしてください。
PayPay銀行のライバル銀行の動向は?
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