広島県でフラット35を使ってマイホームを購入する家族のイメージ

中国・四国地方最大の都市を擁する広島県。住宅ローンとなれば広島銀行ともみじ銀行が最初に思い浮かぶ方が多いでしょう。両行とも【フラット35】を取り扱っており、公式サイトで条件を確認できます。この点で広島県は、取扱いの有無すら分かりにくい県と比べて比較しやすい地域です。

ただし、比較しやすいことと「分かりやすい」ことは別です。広島県で【フラット35】を調べると、同じ「フラット35」という名前で、中身の違う商品が並んでいることに気づきます。広島銀行には買取型と保証型という2つの【フラット35】があり、もみじ銀行の【フラット35】にも手数料の方式が2種類あります。

そして、この違いは金利だけでなく繰上返済の手数料や、借りられる住宅の条件にまで及びます。このページでは、返済終了まで金利が変わらない全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】について、広島県内で選ぶときに見落としやすい違いを整理します。

広島県で【フラット35】を扱う主な金融機関

公式サイトで確認できる範囲では、県内の主な取扱先は次のとおりです。

  • 広島銀行(広島市中区・県および広島市の指定金融機関)/【フラット35】買取型・保証型の両方を取扱い
  • もみじ銀行(広島市中区・山口フィナンシャルグループ傘下)/機構買取型の【フラット35】を取扱い
  • 広島信用金庫(広島市)/住宅ローンのページで【フラット35】を案内

これに加えて、全国どこからでも申し込めるネット銀行・住宅ローン専門会社が選択肢になります。

広島銀行には【フラット35】が2種類ある ― 買取型と保証型

まず押さえておきたいのが、この2種類の違いです。名前は同じでも、仕組みが違います。

買取型(手数料定率タイプ)― 一般的な【フラット35】

住宅金融支援機構が住宅ローン債権を買い取る、いわゆる標準的な【フラット35】です。広島銀行の商品概要説明書(2026年4月1日現在)によると、主な条件は次のとおりです。

  • 融資金額:100万円以上1億2,000万円以下
  • 取扱手数料:融資金額の2.20%(消費税込)
  • 繰上返済手数料:不要
  • 保証人:不要
  • 床面積:一戸建て50㎡以上/共同住宅30㎡以上
  • 取扱店舗:広島・岡山・山口・愛媛県内の支店

保証型 ― 機構の住宅融資保険を使い、銀行が独自に貸し出す

保証型は、機構が債権を買い取るのではなく住宅融資保険を付け、金融機関が自ら貸し出す方式です。金利は各金融機関が独自に設定するため、買取型の最頻金利とは別物になります。広島銀行は「保証型の新規受付を行っている金融機関は9機関のみ」と案内しており、取扱先が限られる商品です。条件は買取型とかなり違います。

  • 融資金額:100万円以上8,000万円以内融資率90%以内
  • 取扱手数料:融資金額の2.20%(消費税込)
  • 繰上返済手数料:全部・一部とも11,000円(消費税込)
  • 床面積:一戸建て70㎡以上/共同住宅30㎡以上
  • 保証人・保証料:不要
  • 団信:死亡・高度障害保障のほか、がん保障特約付・3大疾病+がん先進医療保障特約付を選択可(特約には所定の金利上乗せ)

一戸建てで70㎡(約21坪)未満の住宅は、保証型では対象外になります。都市部のコンパクトな戸建てを検討している場合、この一点で選択肢が絞られることがあります。

※広島銀行の保証型の紹介ページに掲載されている融資金利は更新時点が古い場合があります(2026年8月時点の同ページ掲載金利は2024年3月1日現在のものと注記されています)。保証型は取扱条件や金利の見直しが行われることがあるため、最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。

買取型と保証型、どこが違うのか

比較の観点買取型(手数料定率タイプ)保証型
仕組み機構が住宅ローン債権を買い取る機構の住宅融資保険を付け、銀行が自ら貸し出す
金利の決まり方取扱金融機関でほぼ同水準(機構が公表する最頻金利に収れん)金融機関が独自に設定
融資金額100万円以上1億2,000万円以下100万円以上8,000万円以内
融資率9割超も可(金利は上がる)90%以内
床面積(一戸建て)50㎡以上70㎡以上
繰上返済手数料不要全部・一部とも11,000円(税込)
取扱手数料融資金額の2.20%(税込)融資金額の2.20%(税込)

※広島銀行の商品概要説明書および商品紹介ページ(2026年8月確認)にもとづく整理です。条件は改定されることがあるため、申込前に必ず公式サイト・窓口でご確認ください。

広島県内の【フラット35】を金利と事務手数料で比べる

買取型の金利は、機構が公表する水準に収れんします。2026年8月資金受取分(新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下)の最も多い金利は年3.290%、20年以下は年2.970%です。

金融機関金利(2026年8月・買取型)融資事務手数料(税込)一部繰上返済手数料公式サイト
広島銀行(買取型)年3.290%融資金額の2.20%無料公式サイト
広島銀行(保証型)広島銀行が独自に設定
(公式サイトで要確認)
融資金額の2.20%11,000円公式サイト
もみじ銀行年3.290%
(手数料のA方式・B方式で適用金利が異なる)
公式ページに記載なし
(商品概要説明書・窓口で確認)
無料公式サイト
広島信用金庫年3.290%公式サイトで要確認要確認公式サイト
楽天銀行年3.290%新規 借入額の1.10%
借換 借入額の0.990% ※1
無料公式サイト
SBIアルヒ年3.290%借入額の2.20%
(最低220,000円)※2
無料公式サイト

※【フラット35】買取型の借入金利は資金受取時のものが適用され、毎月改定されます。上記は2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下の最も多い金利です。デュエット(ペア連生団信)は+0.180%、新3大疾病付機構団信は+0.240%、団信に加入しない場合はマイナス0.200%となります。
※1 楽天銀行を返済口座に指定した場合の融資事務手数料です。楽天銀行以外を返済口座に指定した場合は借入額の1.430%(税込)。最低手数料は購入・建築110,000円(税込)、借り換え165,000円(税込)です。
※2 SBIアルヒの融資事務手数料は新規・借り換えとも借入額の2.20%(税込)・最低220,000円(税込)です。Web申込向けの手数料割引が実施されることがあるため、適用条件と金額は公式サイトでご確認ください。

事務手数料の料率だけで見ると、楽天銀行の1.10%(借り換えは0.990%)が低い水準で、県内の金融機関の2.20%とは借入額3,000万円で33万円ほどの差になります。ただし、広島県で本当に見落としてはいけないのは、次の項目です。

繰上返済を予定しているかどうかで、答えが変わる

【フラット35】は繰上返済手数料が無料の商品が多く、そのつもりでいる方も多いはずです。ところが広島銀行の保証型は、全部繰上返済・一部繰上返済のいずれも11,000円(税込)がかかります。

これは軽視できません。ボーナスのたびに一部繰上返済をする、といった返済計画を立てている場合、手数料は回数に比例して積み上がっていきます。

広島銀行の買取型と保証型で一部繰上返済手数料の累計を比較した棒グラフ
広島銀行の保証型は全部・一部とも1回11,000円(税込)。買取型・楽天銀行・SBIアルヒは繰上返済手数料が無料。

10回繰り返せば11万円。事務手数料の料率差ほどではありませんが、「繰上返済で利息を減らすつもりが、手数料で目減りする」という構図になります。逆にいえば、繰上返済をほとんどしない前提なら、この差は発生しません

繰上返済の手数料は商品ごとに設計が違います。たとえば全期間固定ではなく民間銀行の住宅ローンに目を向けると、SBI新生銀行の住宅ローンは一部繰上返済手数料が0円で、1円から何度でも返済できます。保証料も不要で、諸費用の見通しが立てやすい設計です。「金利」「事務手数料」「繰上返済手数料」の3つをセットで見る——これが総コストで比べるということです。

自分がどちらのタイプかを先に決める

判断の順番としては、借入先を選ぶ前に自分の返済スタイルを決めてしまうのが早道です。

  • 繰上返済を積極的に行う予定:繰上返済手数料が無料の商品を優先する。回数を重ねるほど差が開く
  • 約定返済のみで完済する予定:繰上返済手数料は実質的に効かないため、事務手数料と金利で比べてよい
  • 自営業・個人事業主で収入に波がある:余裕がある年にまとめて返したい場面が出やすいため、繰上返済手数料が無料かどうかは重要度が上がる

2026年8月の金利水準と、「資金受取時の金利」という落とし穴

【フラット35】の金利は長期金利(10年国債利回り)の動きを反映します。2026年8月18日の東京債券市場では長期金利が一時2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高い水準を連日で更新しました(引けは2.910%前後)。この日は債券・円・株がそろって下落しており、金利上昇の背景は景気の強さだけでは説明できません。

【フラット35】の2026年8月の最も多い金利は年3.290%で、前月から0.150%上昇しています。2026年9月の適用金利は9月1日ごろの発表予定で、本稿の執筆時点では未発表です。

ここで注意したいのが、【フラット35】は申込時ではなく「資金受取時(融資実行時)」の金利が適用されるという仕組みです。広島銀行の商品概要説明書にも「当月の適用金利は当月第1営業日にお知らせします」と明記されています。新築の建築中など引き渡しが数か月先になる場合、申込時に見ていた金利で借りられるとは限りません。金利が動く局面では、実行月がずれたときの返済額も試算しておくと安心です。

広島県のフラット35に関するよくある質問

Q. 買取型と保証型は、どちらを選べばよいのですか?
A. 一概には言えません。保証型は金融機関が独自に金利を設定するため買取型より低い金利が出ることがある一方、広島銀行の場合は融資率90%以内・一戸建て70㎡以上・繰上返済手数料11,000円と条件が厳しくなります。頭金を1割以上用意でき、床面積の条件を満たし、繰上返済をあまり予定していない方であれば保証型の検討余地があります。両方の適用金利と総額を出してもらって比べてください。

Q. 一戸建てが70㎡未満だと、【フラット35】は使えませんか?
A. 使えます。機構が定める【フラット35】の床面積要件は一戸建て50㎡以上・共同住宅30㎡以上で、70㎡以上というのは広島銀行の保証型に固有の条件です。買取型であれば50㎡以上で対象になります。

Q. 広島銀行の【フラット35】は、広島県外の物件でも使えますか?
A. 商品概要説明書には、買取型(手数料定率タイプ)は広島・岡山・山口・愛媛県内の支店で取り扱うと記載されています。取扱店舗の範囲と、物件の所在地に関する条件は別ですので、県外物件を検討している場合は事前に窓口でご確認ください。

Q. もみじ銀行の「A方式・B方式」とは何ですか?
A. もみじ銀行の【フラット35】は、当初借入時の手数料の方式(A方式またはB方式)と返済期間に応じて適用金利が異なると案内されています。手数料の具体的な金額は公式ページに記載がないため、商品概要説明書または窓口でご確認ください。方式によって金利が変わる以上、手数料の金額だけを聞いて比べると判断を誤ります。

Q. 事務手数料は、あとから返してもらえますか?
A. 融資事務手数料は融資実行時に支払う対価で、原則として繰上完済しても返金されません(保証料を分割で支払う方式の住宅ローンとは扱いが異なります)。短期間で完済する可能性が高い方ほど、契約時に支払う手数料の重みは大きくなります。取扱いの詳細は各金融機関にご確認ください。

まとめ

広島県は【フラット35】の情報が比較的よく公開されている地域です。だからこそ、金利以外の条件まで踏み込んで比べる価値があります。

  • 買取型の金利はどこで借りてもほぼ同水準。差がつくのは事務手数料と繰上返済手数料
  • 広島銀行には買取型と保証型があり、保証型は融資率・床面積・繰上返済手数料の条件が異なる
  • もみじ銀行も手数料の方式で適用金利が変わる。手数料額だけを比べない
  • 事務手数料の料率で見れば楽天銀行の1.10%(借り換え0.990%)が低い水準

同じ「フラット35」という名前でも、契約書の中身は同じではありません。金利・事務手数料・繰上返済手数料の3点を並べて、自分の返済スタイルに当てはめる。手間はかかりますが、35年の付き合いになる商品です。

楽天銀行の【フラット35】について、金利・事務手数料以外のメリットや注意点は以下の記事もあわせてご覧ください。
>>楽天銀行の住宅ローン「フラット35」の落とし穴とデメリット

※本記事の金利・手数料は2026年8月時点で各金融機関および住宅金融支援機構の公式サイトにて確認したものです。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。

   

住宅ローン比較ネット 編集部

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