
愛知県で「フラット35」を検討するとき、多くの人はまず金利を調べます。ところが【フラット35】は、住宅金融支援機構が資金の出し手となる仕組み上、どの金融機関で借りても金利はほぼ同じ水準に収れんします。差がつくのは金利ではなく、事務手数料と、その「払い方」です。
そして愛知県は、この「払い方」の選択肢が比較的そろっている地域です。県内に本店をおく地方銀行では、事務手数料を借入額に対する率で払う「定率型」と、金額が決まっている「定額型」の両方を選べます。定額型は手元から出ていく現金を大きく抑えられる一方、適用される金利は定率型より高くなります。どちらが有利かは、借入額・返済期間・繰上返済の予定によって入れ替わります。
このページでは、返済終了まで金利が変わらない全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】について、愛知県内で借りる場合の金利と事務手数料、そして総コストの考え方を整理します。
2025年1月に愛知銀行と中京銀行が合併し「あいち銀行」になりました
まず、県内の金融機関の顔ぶれが変わっている点を押さえておく必要があります。愛知銀行と中京銀行は2025年1月1日に合併し、現在は「株式会社あいち銀行」となっています(愛知銀行を存続会社とする吸収合併。あいちフィナンシャルグループ傘下)。数年前の情報を見て「中京銀行に相談しよう」と考えていた方は、現在はあいち銀行の窓口が受け皿になります。
その結果、愛知県に本店をおき【フラット35】を扱う地方銀行は、実質的にあいち銀行と名古屋銀行の2行という構図になりました。なお、県内の住宅ローン取扱いで大きな存在感をもつ三菱UFJ銀行は【フラット35】を取り扱っていないため、愛知県で【フラット35】を借りるなら、この2行か、全国どこからでも申し込めるネット銀行・住宅ローン専門会社を選ぶことになります。
事務手数料には「定率型」と「定額型」の2つの払い方がある
ここが愛知県で【フラット35】を検討するうえで、いちばん重要な論点です。あいち銀行・名古屋銀行はいずれも、融資事務手数料として次の2つを用意しています(いずれも公式の商品概要説明書で確認)。
- 定額型:55,000円(税込) ― 借入額がいくらでも金額は同じ
- 定率型:借入額×1.87%(税込) ― 借入額に比例して増える
そしてこの2つは、適用される借入金利が異なります。あいち銀行が公表している2026年8月適用分(融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下・新機構団信付き)は、定率型が年3.290%、定額型が年3.410%です。定額型は手数料を大きく抑えられる代わりに、金利が年0.120%高く設定されているという構造になっています。
つまり「手数料を先に払うか、金利に上乗せして払うか」の選択であり、どちらかが一方的に得ということはありません。手元資金に余裕がなく、頭金や引越し費用に現金を残したい人は定額型、手元資金に余裕があり、35年かけて払う利息を抑えたい人は定率型、というのが基本的な考え方になります。
愛知県内で利用できる【フラット35】を比べる
県内2行と、【フラット35】の取扱実績が大きいネット銀行・住宅ローン専門会社を並べました。金利はいずれも2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下の水準です。
| 金融機関 | 金利(2026年8月) | 事務手数料(税込) | 一部繰上返済手数料 | 公式サイト |
|---|---|---|---|---|
| あいち銀行 (旧・愛知銀行+中京銀行) | 定率型 年3.290% 定額型 年3.410% | 定率型 借入額の1.87% 定額型 55,000円 | 無料 | 公式サイト |
| 名古屋銀行 | 返済期間・融資率・団信・手数料型に応じて変動 (毎月改定・窓口確認) | 定率型 借入額の1.87% 定額型 55,000円 | 無料 | 公式サイト |
| 楽天銀行 | 年3.290% | 新規 借入額の1.10% 借換 借入額の0.990% ※1 | 無料 | 公式サイト |
| SBIアルヒ | 年3.290% | 借入額の2.20% (最低220,000円)※2 | 無料 | 公式サイト |
※【フラット35】の借入金利は資金受取時のものが適用され、毎月改定されます。上記は2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下の水準です(機構が公表する最も多い金利は年3.290%、20年以下は年2.970%)。デュエット(ペア連生団信)は+0.180%、新3大疾病付機構団信は+0.240%。健康上の理由等で団信に加入しない場合はマイナス0.200%となります。最新の金利・手数料は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。
※1 楽天銀行を返済口座に指定した場合の融資事務手数料です。楽天銀行以外を返済口座に指定した場合は借入額の1.430%(税込)。最低手数料は購入・建築110,000円(税込)、借り換え165,000円(税込)です。
※2 SBIアルヒの事務手数料は新規・借り換えとも借入額の2.20%(税込)・最低220,000円(税込)です。Web申込向けの手数料割引が実施されることがあるため、適用条件と金額は公式サイトでご確認ください。
3,000万円を35年で借りると、手数料の差はいくらになるか
手数料率の違いは、借入額が大きいほど金額として効いてきます。借入額3,000万円で試算すると、契約時に支払う事務手数料は次のようになります(率に借入額を掛けただけの単純計算です)。

定率型どうしで比べると、楽天銀行の1.10%(33万円)がもっとも低く、SBIアルヒの2.20%(66万円)との差は33万円。県内2行の1.87%(56万1,000円)はその中間に位置します。一方で定額型の55,000円は、金額そのものが一桁違います。
ただし、繰り返しになりますが定額型は金利が年0.120%高いため、その差は35年かけて利息として戻ってきます。返済期間が長いほど、また借入額が大きいほど、金利差の影響は大きくなります。「手数料が安いから定額型が得」と単純に判断せず、必ず両方の総支払額(手数料+利息)を出してもらって比べてください。あいち銀行・名古屋銀行の窓口では、どちらの型でも試算を出してもらえます。
定額型が向きやすい人・定率型が向きやすい人
総支払額は個々の条件で変わるため断定はできませんが、判断の軸は次のように整理できます。
- 定額型が向きやすい:頭金を厚く入れて借入額を抑えた人/繰上返済を積極的に予定している人(早く完済するほど金利差の影響が小さくなる)/自己資金を手元に残しておきたい人
- 定率型が向きやすい:契約時の現金に余裕があり、35年かけて完済する前提の人/借入額が大きく、金利差の累積が効いてくる人
自営業・個人事業主の方や、転職して間もない方にとっては、この選択はより重要になります。【フラット35】は勤続年数や雇用形態による一律の制限がなく(給与所得者は1回以上の給与支払、自営業者は1回以上の確定申告があれば申込可能)、収入の安定性を厳しく問われがちな民間ローンに比べて申し込みやすい商品ですが、その分開業直後や転職直後は手元の現金を厚く残しておきたい局面でもあります。定額型で初期費用を圧縮するという判断は、こうしたケースで効いてきます。
2026年8月の金利環境をどう受け止めるか
【フラット35】の金利は、長期金利(10年国債利回り)の動きを反映します。2026年8月18日の東京債券市場では、長期金利が一時2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高い水準を連日で更新しました(引けは2.910%前後)。同じ日に日経平均株価も大幅に下落し、円相場も下落する「トリプル安」となっており、金利上昇が景気の強さを映しているとは限らない点には注意が必要です。
実際、【フラット35】の2026年8月の最も多い金利(融資率9割以下・21年以上35年以下)は年3.290%で、前月から0.150%上昇しています。2026年9月の適用金利は9月1日ごろの発表予定で、この記事の執筆時点では未発表です。資金受取時の金利が適用されるため、実行月がずれると条件も変わります。
金利が上がっている局面では「固定にしておくべきか」と迷いやすくなりますが、変動と固定のどちらが適しているかは、返済期間・家計が金利上昇に耐えられる余力・繰上返済の予定によって変わります。なお全期間固定は【フラット35】だけではなく、民間銀行にも35年固定はあります。当編集部が2026年8月に各行公式サイトで確認した35年固定の金利では、たとえばSBI新生銀行が年4.030%でした(2026年8月4日確認)。同時期の【フラット35】年3.290%と比べると、全期間固定という条件で見れば【フラット35】の金利水準には競争力があることが分かります。ただし民間ローンは疾病保障付き団信が上乗せなしで付くなど保障面の設計が異なるため、金利だけでなく団信の内容も含めて比べる必要があります。
愛知県で申し込むときの実務的な注意
県内2行はいずれも、インターネットからの【フラット35】の申し込みには対応しておらず、支店窓口やローン相談窓口での相談・申込が中心です。銀行窓口は平日15時まで、ローンプラザでも夕方から夜間までの営業が一般的なため、仕事をしながら手続きを進めるには時間の確保が必要になります。あいち銀行は県内にローン相談窓口を設け、平日夜間や休日に相談できる店舗も用意しています。
一方、楽天銀行やSBIアルヒは全国どこからでも申し込め、Web完結で本申込まで進められる体制があります。「対面でじっくり相談したいか」「時間を取られずに進めたいか」も、金利や手数料と同じくらい実務上は効いてくる比較軸です。
楽天銀行の【フラット35】について、金利・事務手数料以外のメリットや注意点は以下の記事もあわせてご覧ください。
>>楽天銀行の住宅ローン「フラット35」の落とし穴とデメリット
愛知県のフラット35に関するよくある質問
Q. 「中京銀行のフラット35」を調べていたのですが、いまはどこに相談すればよいですか?
A. 中京銀行は2025年1月1日に愛知銀行と合併し、現在はあいち銀行となっています。【フラット35】の相談・申込はあいち銀行の窓口が受け付けています。すでに旧行で借り入れ中の方の手続きについては、あいち銀行にご確認ください。
Q. 事務手数料の「定額型」と「定率型」で、なぜ金利が違うのですか?
A. 金融機関が受け取る手数料収入を、契約時にまとめて受け取るか(定率型)、金利に上乗せして返済期間を通じて受け取るか(定額型)の違いだからです。あいち銀行の2026年8月適用分では、定率型 年3.290%に対して定額型 年3.410%と年0.120%の差がついています。
Q. 事務手数料は自己資金で用意しなければいけませんか?
A. 【フラット35】では、機構が定める諸費用を借入額に含められる取扱いがあり、融資事務手数料や登記費用などを借入に含められる場合があります(疎明資料の提出が必要です)。ただし借入額が増えれば利息も増えるため、手元資金とのバランスで判断してください。詳しい取扱いは申込先の金融機関にご確認ください。
Q. 健康上の理由で団信に加入できない場合、【フラット35】は使えますか?
A. 利用できます。団体信用生命保険への加入は任意で、加入しない場合は借入金利が年0.200%引き下げられます。ただし万一の際に残債が保険で返済されないため、収入保障保険などで別に備えるかどうかを含めて検討してください。
Q. あいち銀行と名古屋銀行で、条件に差はありますか?
A. 融資事務手数料はどちらも定額型55,000円(税込)・定率型1.87%(税込)で同じです。融資額の上限(1億2,000万円)や保証料不要・繰上返済手数料不要といった【フラット35】共通の条件もそろっています。金利は毎月改定されるため、申し込み時点の適用金利を両行の窓口で確認して比べるのが確実です。
まとめ
愛知県で【フラット35】を借りる場合、金利そのものはどこで借りてもほぼ同じで、実質的な比較軸は事務手数料です。そのうえで、この地域には「定率型か定額型か」というもう一段の選択肢があります。
- 契約時の現金を抑えたいなら、あいち銀行・名古屋銀行の定額型55,000円という選択肢がある(ただし金利は年0.120%高い)
- 定率型で手数料率を下げたいなら、楽天銀行の1.10%(借り換えは0.990%)が低い水準
- 対面で相談しながら進めたいなら県内2行、時間をかけずWebで完結させたいならネット銀行・住宅ローン専門会社
手数料の額だけ、あるいは金利だけを見て決めると判断を誤ります。「手数料+35年分の利息」の合計で比べること——これが【フラット35】を選ぶときの、いちばん確実な物差しです。
※本記事の金利・手数料は2026年8月時点で各金融機関および住宅金融支援機構の公式サイトにて確認したものです。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。
