福岡県でフラット35を使ってマイホームを購入するイメージ

九州最大の経済圏を抱える福岡県には、メガバンクから地方銀行、信用金庫まで多くの金融機関があります。住宅ローンとなれば、まず福岡銀行と西日本シティ銀行が候補に挙がるという方も多いでしょう。

ところが【フラット35】に限っていうと、事情が少し変わります。【フラット35】は住宅金融支援機構が債権を買い取る仕組みのため、借入金利はどの取扱金融機関でもほぼ同じ水準に収れんします。差がつくのは融資事務手数料で、しかもこの手数料は金融機関によって、そして「払い方のタイプ」によって大きく違います

もうひとつ、福岡県で調べていて気づくのが「情報がどこまで公開されているか」の差です。手数料率まで公式サイトに明記している銀行もあれば、取扱いの有無すら分かりにくい銀行もあります。このページでは、返済終了まで金利が変わらない全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】について、福岡県内で確認できる条件を整理し、総コストで比べるための材料をそろえます。

福岡県で【フラット35】を扱う金融機関と、公開情報の差

まず県内の状況を、公式サイトで確認できる範囲で整理します。

福岡銀行 ― 条件を最も詳しく公開している

福岡市中央区に本店をおく、ふくおかフィナンシャルグループの中核行です。【フラット35】は「フラットミックスプラン」として案内されており、公式サイトの融資概要ページに手数料のタイプと料率まで明記されています。県内では最も比較しやすい情報公開といえます。融資金額は100万円以上1億2,000万円以下、保証人不要、繰上返済手数料は無料です。

北九州銀行 ― 専用ページと商品概要説明書がある

北九州市小倉北区に本店をおく、山口フィナンシャルグループ傘下の地方銀行です。公式サイトに【フラット35】の専用ページがあり、商品概要・融資期間・金利ページへのリンク・商品概要説明書のPDFがそろっています。ただし融資事務手数料の額は専用ページに記載がなく、窓口または商品概要説明書での確認が必要です。また同ページでは融資金額を「100万円以上8,000万円以下」と案内していますが、機構が定める【フラット35】の上限は現在1億2,000万円です(後述のFAQ参照)。

西日本シティ銀行・筑邦銀行・福岡中央銀行 ― 窓口確認が前提

西日本シティ銀行は2004年に西日本銀行と福岡シティ銀行が合併して発足した、県内有数の規模をもつ地方銀行です。筑邦銀行は久留米市、福岡中央銀行は福岡市中央区に本店をおきます。この3行については、【フラット35】の取扱いの有無や条件が公式サイトからは判断しづらく、金利・手数料を含めて窓口での確認が必要です。取扱いがないと断定できる情報は確認できていないため、検討先に入れたい場合は各行に直接ご確認ください。

福岡銀行の融資事務手数料は「定率1.52%」または「定額55,000円」

ここが、福岡県で【フラット35】を検討するうえで押さえておきたいポイントです。福岡銀行は公式サイトの融資概要で、手数料を次の2タイプから選ぶ形式と明記しています。

  • 定率型:融資金額×1.52%(消費税込)
  • 定額型:55,000円(消費税込)

注目すべきは定率型の1.52%という水準です。【フラット35】の融資事務手数料は借入額の2.20%前後を設定する取扱先が少なくないなかで、地方銀行としてはかなり抑えられた料率です。「地銀の手数料は高い、ネット銀行は安い」という一般論が、そのままは当てはまらないことが分かります。

一方の定額型55,000円は、借入額がいくらでも金額が変わりません。ただし【フラット35】では一般に、定額型を選ぶと適用される借入金利が定率型より高く設定されます。福岡銀行も「全期間固定金利型(定率型と定額型からご選択いただきます)」としており、タイプによって適用利率が変わる構成です。手数料の安さだけで定額型を選ぶ前に、必ず両タイプの適用金利を確認してください。

2026年8月時点の金利と事務手数料

公式サイトで確認できた条件を並べます。金利はいずれも2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下の水準です。

金融機関金利(2026年8月)融資事務手数料(税込)一部繰上返済手数料公式サイト
福岡銀行年3.290%
(定額型は定率型より高い利率が適用)
定率型 融資金額の1.52%
定額型 55,000円
無料公式サイト
北九州銀行年3.290%公式サイトに記載なし
(窓口・商品概要説明書で確認)
無料公式サイト
西日本シティ銀行取扱い・条件とも公式サイトから確認できず(要問い合わせ)公式サイト
筑邦銀行取扱い・条件とも公式サイトから確認できず(要問い合わせ)公式サイト
福岡中央銀行取扱い・条件とも公式サイトから確認できず(要問い合わせ)公式サイト
楽天銀行年3.290%新規 借入額の1.10%
借換 借入額の0.990% ※1
無料公式サイト
SBIアルヒ年3.290%借入額の2.20%
(最低220,000円)※2
無料公式サイト

※【フラット35】の借入金利は資金受取時のものが適用され、毎月改定されます。上記は2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下の最も多い金利(年3.290%)で、20年以下は年2.970%、フラット50は年3.500%です。デュエット(ペア連生団信)は+0.180%、新3大疾病付機構団信は+0.240%、団信に加入しない場合はマイナス0.200%となります。金融機関や手数料タイプによって適用利率が異なる場合があります。
※1 楽天銀行を返済口座に指定した場合の融資事務手数料です。楽天銀行以外を返済口座に指定した場合は借入額の1.430%(税込)。最低手数料は購入・建築110,000円(税込)、借り換え165,000円(税込)です。
※2 SBIアルヒの融資事務手数料は新規・借り換えとも借入額の2.20%(税込)・最低220,000円(税込)です。Web申込向けの手数料割引が実施されることがあるため、適用条件と金額は公式サイトでご確認ください。

借入額3,000万円なら、手数料はいくら変わるか

料率は数字が小さいので実感が湧きにくいものですが、借入額を掛けると差は明確になります。借入額3,000万円で計算すると次のとおりです。

借入額3,000万円で比較した融資事務手数料の横棒グラフ
各社が公表する料率に借入額3,000万円を掛けた金額。定額型は借入額にかかわらず55,000円だが、適用金利は定率型より高くなる。

もっとも低いのは福岡銀行の定額型55,000円、料率タイプでは楽天銀行の1.10%(33万円)、福岡銀行の1.52%(45万6,000円)、SBIアルヒの2.20%(66万円)という並びになります。上下の差は60万円以上。同じ商品、同じ金利で、契約時に出ていく現金だけがこれだけ違うということです。

ただし手数料の安さだけで決めるのは早計です。定額型は前述のとおり適用金利が上がりますし、繰上返済を前提にするかどうかでも有利不利は入れ替わります。「事務手数料+返済期間中の利息」の合計で比べる——これが唯一の正しい物差しです。

「窓口でご確認ください」と書かれている銀行をどう扱うか

福岡県内では、公式サイトから【フラット35】の条件が読み取れない銀行が複数あります。これをどう扱うかは、実務的にはなかなか悩ましいところです。

まず前提として、公式サイトに載っていない=取り扱っていない、ではありません。地方銀行はプロパー(独自)の住宅ローンに注力しており、【フラット35】は窓口相談を前提に案内しているケースが少なくありません。取扱いの有無を断定せず、候補に残したいなら電話一本で確認するのが確実です。

そのうえで検討時間には限りがあります。実務としては、条件が公開されている福岡銀行・楽天銀行・SBIアルヒなどで「相場観」をつくってから、地元の銀行に問い合わせる順番がおすすめです。基準値を持たずに窓口へ行くと、提示された条件が高いのか安いのか判断できません。手数料率という比較軸を持って相談に臨むことが、結果的にいちばん交渉力になります。

金利上昇局面で、いま何を見ておくべきか

【フラット35】の金利は長期金利(10年国債利回り)の動きを反映します。2026年8月18日の東京債券市場では長期金利が一時2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高い水準を連日で更新しました(引けは2.910%前後)。この日は債券・円・株がそろって売られる展開となっており、金利上昇が景気の強さを示しているとは限らないという点は押さえておきたいところです。

【フラット35】の2026年8月の最も多い金利(融資率9割以下・21年以上35年以下)は年3.290%で、前月から0.150%上昇しました。2026年9月の適用金利は9月1日ごろの発表予定で、本稿の執筆時点では未発表です。【フラット35】は申込時ではなく資金受取時(融資実行時)の金利が適用されるため、引き渡しの時期がずれると条件も変わります。この点は契約前に必ず確認してください。

金利が上がる局面では「早く決めなければ」という気持ちが働きがちですが、変動と全期間固定のどちらが合っているかは、返済期間・家計が金利上昇に耐えられる余力・繰上返済の予定によって変わります。急ぐ理由と、条件を吟味する理由は分けて考えてください。

対面で相談したい場合の選択肢

「ネットだけで完結させるのは不安」という方には、店舗をもつ住宅ローン専門会社という選択肢もあります。SBIアルヒは全国に店舗・取扱拠点を展開しており、福岡県内にも相談窓口があります(所在地・営業時間は変更される場合があるため、最新は公式サイトでご確認ください)。事務手数料は借入額の2.20%(税込・最低220,000円)と料率は高めですが、対面で書類の準備から相談できる点は、初めての住宅購入では小さくない価値です。

また同社は銀行代理業者としてSBI新生銀行の住宅ローンも取り扱っています。【フラット35】と民間の変動・固定を同じ窓口で比較検討できるため、「全期間固定にすべきか迷っている」段階の相談先としては使い勝手があります。SBI新生銀行の住宅ローンは保証料が不要で、一部繰上返済手数料も0円、団信の基本保障に上乗せ金利がかからない設計で、諸費用の見通しが立てやすいのが特徴です。

一方、手続きの手間を抑えて料率も下げたいなら、全国どこからでもインターネットで申し込める楽天銀行の【フラット35】が有力です。金利・事務手数料以外のメリットや注意点は以下の記事もあわせてご覧ください。
>>楽天銀行の住宅ローン「フラット35」の落とし穴とデメリット

福岡県のフラット35に関するよくある質問

Q. 【フラット35】の借入上限は8,000万円ですか、それとも1億2,000万円ですか?
A. 住宅金融支援機構が定める現在の上限は1億2,000万円です(2026年4月資金受取分から適用)。ただし金融機関の公式サイトには改定前の「8,000万円」の記載が残っていることがあり、北九州銀行の【フラット35】ページも8,000万円と案内しています。福岡銀行の融資概要は1億2,000万円と記載しています。実際の取扱い上限は申込先の金融機関にご確認ください。

Q. 福岡銀行の「フラットミックスプラン」とは何ですか?
A. 福岡銀行が【フラット35】を案内しているプラン名です。同行の融資概要ページには【フラット35】の融資概要と変動金利型住宅ローンの融資概要が並んで掲載されており、全期間固定と変動を組み合わせて借りることを想定した構成になっています。組み合わせの可否や配分の条件は同行にご確認ください。

Q. 転職して間もないのですが、福岡県内で【フラット35】に申し込めますか?
A. 【フラット35】は勤続年数や雇用形態による一律の制限がないのが大きな特徴です。給与所得者は1回以上の給与支払、自営業者は1回以上の確定申告があれば申し込み可能とされています(SBIアルヒの案内による)。審査では年収に占める年間返済額の割合(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)が基準となります。ただし各取扱金融機関の審査基準もあわせて適用されるため、最終的な可否は申込先によって変わります。

Q. 地元の銀行で借りると、返済口座も地元の銀行になりますか?
A. その金融機関で借りる場合は原則としてその銀行の口座からの引き落としになります。一方でSBIアルヒは、返済口座を全国1,000以上の金融機関から選べるとしており、すでに給与振込などで使っている口座をそのまま指定できます(新規借入の場合は給与口座または生活口座に限られます)。口座を増やしたくない方は、この点も比較材料になります。

Q. 事務手数料が安い金融機関を選べば、必ず総額も安くなりますか?
A. 必ずしもそうとは限りません。定額型のように手数料が安い代わりに金利が高く設定されるタイプがあり、返済期間が長いほど金利差の影響が大きくなるためです。また物件検査手数料・登記費用・火災保険料などは別途かかります。手数料の額だけでなく、返済期間中の利息を含めた総額で比較してください。

まとめ

福岡県で【フラット35】を検討するときの要点を整理します。

  • 【フラット35】の金利はどこで借りてもほぼ同水準。実質的な比較軸は融資事務手数料
  • 福岡銀行は定率1.52%・定額55,000円と条件を公開しており、地銀としては低い料率。「地銀は高い」という一般論は当てはまらない
  • 楽天銀行の1.10%(借り換えは0.990%)は料率タイプでは低い水準。SBIアルヒの2.20%は高めだが、対面相談の窓口がある
  • 条件が公開されていない銀行も取扱いがないとは限らない。相場観を持ってから問い合わせるのが実務的

【フラット35】は商品性が全国共通だからこそ、どこで借りるかを比べる価値がいちばん分かりやすい住宅ローンです。金利表だけを見て終わらせず、手数料のタイプと料率まで確認してください。

※本記事の金利・手数料は2026年8月時点で各金融機関および住宅金融支援機構の公式サイトにて確認したものです。最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。