
住宅ローンの審査とは
住宅ローンの審査は、「人」と「物件」の審査項目それぞれに点数を付け、合計点で総合的に判断するスコアリング方式が一般的です。国土交通省の調査でも、スコアリング方式を中心に、あるいは一部に使って審査している金融機関が多数を占めています。- 「人」についての審査項目
- 勤務先の規模・雇用形態
- 勤続年数
- 年収
- 借入時・完済時の年齢
- 健康状態(団信に加入できるか)
- 信用情報(他の借入れや返済履歴)
- 「物件」についての審査項目
- 価格・担保評価
- 立地や利便性
- 建築確認の有無
金融機関は実際にどこを見ているのか(公的調査データ)
とはいえ、まったくの手探りというわけでもありません。国土交通省が民間金融機関を対象に毎年実施している「民間住宅ローンの実態に関する調査」では、融資を行う際に考慮する審査項目が集計されています。令和7年度調査(2026年6月公表)では、次の項目を9割以上の金融機関が審査項目として挙げました。| 審査項目 | 考慮する金融機関の割合 | 借り手が備えられること |
|---|---|---|
| 完済時年齢 | 98.4% | 返済期間の取り方(完済時80歳が一つの上限) |
| 借入時年齢 | 96.2% | 申込時期を先延ばししすぎない |
| 健康状態 | 96.1% | 団信に入れるか。持病があるならワイド団信や団信任意のフラット35も検討 |
| 年収 | 94.2% | 収入合算・ペアローンの可否を確認 |
| 勤続年数 | 93.9% | 転職直後は取扱いが金融機関ごとに違う |
| 担保評価 | 91.0% | 物件価格に対して借入額が過大でないか |
| 返済負担率 | 90.9% | 自分で最もコントロールしやすい項目 |
出典:国土交通省 住宅局「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(2026年6月公表)
注目したいのは、上位に並ぶ項目の多くは、申込みの時点ではもう変えられないということです。年齢も勤続年数も健康状態も、直前に変えることはできません。裏を返せば、借り手が自分で調整できる余地が大きいのは「返済負担率」と「他の借入れ」の2つに絞られます。ここを整えることが、審査対策の中心になります。審査に通るためには
審査の詳細は明かされていませんが、これまで多くの人が住宅ローンを借りてマイホームを購入してきたのも事実です。対策の立てようがないと諦める必要はありません。気をつけておきたいポイントを解説します。返済負担率を考える
審査でとくに意識したいのが返済負担率です。返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のこと。一般的には25%以内に抑えると余裕をもった返済がしやすいとされています。 基準がはっきり公表されている例として、【フラット35】では次の総返済負担率が利用条件として定められています(この基準を超えると申込みできません)。| 年収 | 総返済負担率の基準 | 年収500万円なら(目安) |
|---|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 | ― |
| 400万円以上 | 35%以下 | 年間175万円(月約14.5万円)まで |
出典:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件(https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html)
ここで気をつけたいのは、「基準の上限まで借りられる」ことと「無理なく返せる」ことは別物だという点です。基準は35%でも、そこには固定資産税・修繕積立金・保険料といった持ち家になってから増える固定費は含まれていません。物件購入にいくら必要で、年収に対する返済額がいくらになるのかを把握したうえで借入額を決めましょう。返済負担率が35%に近づくほど、審査も返済も厳しくなります。希望物件に届かない場合は、頭金を増やすか、物件そのものを見直す判断も必要です。他の借り入れに注意
車のローンやキャッシングを利用中に住宅ローンを申し込むときは注意が必要です。返済負担率にはこれらの借入れも合算されるからです。フラット35では、自動車ローン・教育ローン・カードローン(キャッシングや分割払い・リボ払いを含む)などが年間合計返済額の対象になると明記されています。 住宅ローン単独なら余裕があっても、他の借入れを足すと基準を超えてしまう――というのはよくあるつまずき方です。申込みの前に、返せるものは完済して整理しておくのが確実です。ローンの返済に注意
クレジットカードの支払いをきちんと続けていれば、信用情報にはプラスに働きます。「約束どおり返済する人」と判断されるためです。逆に返済が遅延すると信用情報にマイナスの記録が残り、審査に通りにくくなります。最近はスマホ本体の分割(割賦)払いの遅延も見落とされがちです。機種変更のタイミングで前の機種の支払いが滞らないよう気をつけましょう。 また、クレジットカードのキャッシング枠は、使っていなくても借入枠として見られることがあり、返済負担率を押し上げる要因になります。使っていないカードは、住宅ローンの申込み前に整理しておくと安心です。 このポイントに注意すると審査が通りやすくなるかもしれません。・借入額を無理のない返済額に抑える
・キャッシングなどの借金をしない
・クレジットカードの保有枚数はなるべく少なくする
事前審査と本審査は別物
多くの金融機関では、事前審査(仮審査)→本審査の二段階で進みます。事前審査は申告内容をもとにした簡易な確認で、本審査では収入証明・物件資料・団信の告知などを提出して正式に判定されます。事前審査に通っても本審査で否決されることはあるため、事前審査の結果だけで安心しないことが大切です。 なお、金融機関によって進め方は異なります。たとえばSBI新生銀行は原則として仮審査を行わず、本審査のみで完結するのが特徴です。必要書類を最初に一式そろえる必要がある一方、審査が一度で済むため手続きの見通しが立てやすいという利点があります。他行と併願するなら、他行側の事前審査を先に済ませておくと段取りがスムーズです。属性別のよくある質問(FAQ)
Q. 自営業・個人事業主でも住宅ローンは組めますか?
組めます。ただし審査で見られるのは売上ではなく所得(確定申告の所得金額)で、複数期分の申告書を求められることが多くなります。開業して間もない場合、【フラット35】では前年の確定申告書をもとに、起業後の所得を「所得を得た期間」で1年分に割り戻して年収とみなす取扱いが公表されています(住宅金融支援機構 よくある質問)。節税のために所得を圧縮しすぎると借入可能額が下がる点にも注意が必要です。Q. 転職したばかりですが、勤続年数が足りず申し込めませんか?
勤続年数は9割超の金融機関が審査項目としていますが、「◯年未満は一律不可」と決まっているわけではありません。【フラット35】では、転職後の収入証明書類をもとに支給月数で割り戻して年収とみなす取扱いがあり、借入申込日から遡って12か月以上の給与支給があれば、その実額を年収とみなすと案内されています。同業種へのステップアップ転職か、収入が下がる転職かでも見られ方は変わります。取扱いは金融機関ごとに差が大きいため、複数行で確認するのが現実的です。Q. 夫婦でペアローンを組めば審査は通りやすくなりますか?
借入可能額は増えますが、審査が「甘くなる」わけではありません。2人がそれぞれ債務者になるため、事務手数料や登記費用などの諸費用が2本分かかる点、どちらかが仕事を離れると返済が一気に苦しくなる点は総コストで見ておく必要があります。片働きに戻る可能性があるなら、収入合算(連帯保証・連帯債務)や単独ローンとの比較も含めて検討しましょう。Q. 健康に不安があります。団信に入れないと借りられませんか?
民間の住宅ローンは団信加入が必須の商品が大半です。ただし、引受基準を緩やかにしたワイド団信を扱う金融機関もあり、【フラット35】は団信に加入しない場合でも利用できる(その分金利が下がる取扱い)とされています。健康状態は自分では動かせない審査項目だからこそ、「団信の選択肢が広い金融機関」を早めに探しておくことが対策になります。Q. 審査に落ちたら、すぐ別の銀行に申し込んでもいいですか?
申込みの事実は信用情報機関に一定期間記録されるため、短期間に何行も申し込むと不利に働くことがあります。落ちた原因(返済負担率が高い、他の借入れが残っている、物件評価が届かない など)を推測して手当てをしてから、次に進むほうが確実です。まとめ:変えられない項目より、変えられる項目に手を打つ
審査項目の上位を占める年齢・健康状態・勤続年数は、申込み直前にはほとんど動かせません。だからこそ、返済負担率を下げる・他の借入れを整理する・信用情報を汚さないという、自分でコントロールできる3点に集中するのが最も効率のよい審査対策です。 そのうえで、金利の低さだけで申込先を選ばないことも忘れないでください。事務手数料・保証料・団信の上乗せまで含めた総支払額で見ると、順位が入れ替わることは珍しくありません。団信の保障が手厚い金融機関や、SBI新生銀行のように保証料・一部繰上返済手数料が0円で費用構造が分かりやすい金融機関も、選択肢として検討する価値があります。審査に関する条件・必要書類は改定されることがあるため、最新の内容は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。 銀行ごとや年収ごと、さらには審査に通りやすいと考えられる住宅ローンなど”審査”に焦点を当てた以下の記事を参考にしてみてください。 <住宅ローン審査の関連コンテンツ>
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