
国税庁が公表した令和6年分の「民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円となっています(給与所得者数は6,077万人)。平均給与は3年連続の増加で、賃上げの動きが少しずつ数字に表れています。
調査では、男性は40代前半で平均年収が500万円台後半に達するなど、年収500万円台は多くの世帯にとって身近なゾーンです。
本ページをご覧いただいている方は、年代を問わず年収500万円台で住宅ローンの利用を検討されている方が多いと思います。年収500万円台の方の月々の返済額、平均・適正の借入額、いくらまで借りられるのか、住宅ローン控除など、マイホーム購入や住宅ローンの借り換えをお考えの方に少しでも有意義な情報を提供できれば幸いです。長文ですが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
※本記事の試算は2026年8月時点の金利で計算しています。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ(2026年7月末の会合は据え置き)、固定金利は上昇が続いています。金利が上がると、同じ年収・同じ返済負担率でも「借りられる額」は小さくなります。数年前の記事や試算をそのまま参考にしないよう注意してください。
年収500万円で申し込みができる金融機関は?
まず、年収500万円台の方が利用できる住宅ローンを見ていきましょう。国内の主要な金融機関の中でも年収基準が高めのソニー銀行でも年収400万円以上(前年度)で申し込みが可能で、年収500万円あれば、年収を理由に申し込めない金融機関はほぼないといえます(申込条件は変更されることがあるため、最新は各行公式サイトでご確認ください)。
年収500万円台の平均的な住宅ローン借入額は?
ARUHI(現・SBIアルヒ)などの民間金融機関と提携してフラット35を提供している住宅金融支援機構は、住宅ローン利用者の実態を毎年調査しています。その「民間住宅ローン利用者の実態調査」では、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を20%程度以下に抑えている利用者が多くを占めます。これは年収500万円の方であれば、年間の住宅ローン返済額を100万円程度以下にしているという意味合いです。

では、返済負担率20%・35年返済を前提に、無理のない借入額を試算してみましょう。ここでは変動金利の目安として年1.0%で計算しています。当編集部が2026年8月4日に各行の公式金利ページを確認したところ、主要行の変動金利(最優遇の水準)は年0.945%〜1.347%でしたので、年1.0%は実勢の下限に近い水準です。実際の適用金利は各行・時点・審査結果で異なります。
年収500万円台では、無理のない借入額の目安は約2,950万円〜3,400万円といえそうです。
| 年収 | 年間返済額(月々の返済額) | 無理のない借入額の目安 |
|---|---|---|
| 500万円 | 100万円(約8.3万円) | 約2,950万円 |
| 520万円 | 104万円(約8.7万円) | 約3,070万円 |
| 540万円 | 108万円(約9.0万円) | 約3,190万円 |
| 560万円 | 112万円(約9.3万円) | 約3,300万円 |
| 580万円 | 116万円(約9.7万円) | 約3,420万円 |
ここで見落とせないのが、選ぶ金利タイプによって同じ「負担率20%」でも借りられる額がまったく違うという点です。年収500万円・返済負担率20%・35年返済で計算すると、変動金利1.0%なら約2,950万円ですが、2026年8月のフラット35(年3.290%)で同じ月々8.3万円を前提にすると約2,080万円にとどまります。「いくら借りられるか」は金利水準に大きく左右される点に注意しましょう。
年収500万円台の適正および上限となる住宅ローン借入額は?
金融機関が審査で用いる返済負担率の上限は、年収400万円以上でおおむね35%とされています。前述の「20%以下」という実際の利用実態とは大きな開きがありますね。

では、返済負担率35%で計算すると、どの程度の借り入れが可能なのでしょうか。審査に最も寛容といえる公的な住宅ローン「フラット35」の借入可能額を試算してみました。より細かい年収で計算したい方は各社の公式シミュレーションをご確認ください。
試算はフラット35の2026年8月の適用金利3.290%(買取型・借入期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信付き)で算出しています。フラット35の金利は毎月1日ごろに改定され近年は上昇傾向のため、最新の金利は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。
税込み年収で住宅ローンの借り入れ限度額を試算
| 税込み年収 | 上限 | 月々の返済額 |
|---|---|---|
| 500万円 | 約3,630万円 | 約14.6万円 |
| 520万円 | 約3,780万円 | 約15.2万円 |
| 540万円 | 約3,930万円 | 約15.7万円 |
| 560万円 | 約4,070万円 | 約16.3万円 |
| 580万円 | 約4,220万円 | 約16.9万円 |
たとえば年収540万円は税込みですので、手取りであれば420万円程度、月々の手取りは35万円ほどです。その手取りから毎月15万円以上を住宅ローン返済に充てると、家計はかなり厳しくなりそうです。
マイホームの維持には、毎月の住宅ローン返済だけでなく、毎年の固定資産税、火災・地震保険などの費用がかかります。マンションであれば、これに管理費・修繕積立金も加わります。これらを含めると手取りの相当部分が住宅関連費用に消えていくため、上限いっぱいの借り入れは現実的とはいえません。
手取り年収で住宅ローンの借り入れ限度額を試算
では、手取りベースで借入限度額を算出するとどうなるでしょうか。こちらも返済負担率35%・フラット35の2026年8月の適用金利3.290%で算出しています。
| 年収(手取り) | 上限 | 月々の返済額 |
|---|---|---|
| 500万円(手取り400万円) | 約2,910万円 | 約11.7万円 |
| 520万円(手取り410万円) | 約2,980万円 | 約12.0万円 |
| 540万円(手取り420万円) | 約3,050万円 | 約12.3万円 |
| 560万円(手取り440万円) | 約3,200万円 | 約12.8万円 |
| 580万円(手取り450万円) | 約3,270万円 | 約13.1万円 |
税込み年収ベースと手取り年収ベースの借り入れ限度額では、700万円以上の差が出ることが分かります。
つまり、金融機関が提示する「借りられる額」と、実際に無理なく返していける額は別物だと理解いただけると思います。考え方としては、
①税込み年収の20%程度を年間返済額の上限の目安と考える
②手取り年収をベースに金融機関が提示する借入可能額を見直す
の2つを意識すると、堅実な資金計画になります。
【判定】年収500万円台の住宅ローン借入額を判定!
インターネットでは「年収+借入可能額」で検索する方が多いようです。そこで、年収500万円の方が各借入額をどの程度の負担で返済できるのかを、フラット35の2026年8月金利3.290%・35年返済・頭金なしを前提に、返済負担率で判定しました。

| 借入額(年収500万円) | 判定 | 返済負担率 | コメント |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン 2,000万円 | ◎ | 約19.3% | 余裕を持った返済が可能です。 |
| 住宅ローン 2,500万円 | ◎ | 約24.1% | おおむね無理のない範囲です。 |
| 住宅ローン 2,700万円 | ○ | 約26.0% | 適正の範囲内ですが、固定費の管理は意識したいところ。 |
| 住宅ローン 3,000万円 | ○ | 約28.9% | 返済は可能ですが、教育費などの増加に備えた余裕が必要です。 |
| 住宅ローン 3,500万円 | △ | 約33.7% | 借入は可能ですが返済負担率は高め。年収500万円台後半や変動金利の選択で負担は下がります。 |
| 住宅ローン 4,000万円 | ✕ | 約38.5% | フラット35の返済負担率上限(35%)を超え、年収500万円では難しい水準です。 |
※上記はフラット35(全期間固定・年3.290%)での試算です。金利の低い変動金利を選べば、同じ借入額でも返済負担率は下がります。ただし変動金利は今後の金利上昇で返済額が増えるリスクがある点を踏まえて選びましょう。2026年に入ってからも変動金利を引き上げた金融機関があり、「変動なら安全」とはいえない局面です。
年収500万円で頭金なしの住宅ローンは避けるべき?
「住宅購入時には2割程度の頭金が必要」とよく言われます。実際はどうなのでしょうか。住宅金融支援機構のフラット35利用者調査では、頭金(手持金)の割合は物件によって異なり、平均的には1〜2割程度を用意するケースが多くなっています。
あくまで平均値では頭金を用意するのが一般的ですが、auじぶん銀行のように、金利を変えずに住宅ローン融資事務手数料や不動産の仲介手数料まで借り入れできる金融機関も増えており、頭金なしでもマイホームを購入できるようになっています。
ただし金利が上がった局面では、頭金の有無が総返済額に効く度合いも大きくなります。フラット35は融資率9割以下と9割超で適用金利が異なり、2026年8月は9割以下が年3.290%、9割超が年3.400%と0.110%の差がつきます。頭金を1割入れられるかどうかで金利そのものが変わる商品もある、と覚えておきましょう。
頭金の有無を過度に気にするよりも、継続的に返済が可能か、購入のタイミングや物件価格が妥当かを優先的に考えるとよいでしょう。
年収500万円台の方々が選んでいる人気の住宅ローンとは?
年収500万円以上であれば、国内ほぼすべての住宅ローンの審査に申し込めます。審査を過剰に心配する必要はありませんので、低金利や手厚い疾病保障など、メガバンクにはないコストパフォーマンスの住宅ローンも選択肢に入れて比較してみてはいかがでしょうか。申し込み時には複数の住宅ローンの仮審査を受け、通過後にご自身が納得できるものを選ぶのがおすすめです。なお、以下の各行の金利・保障内容は変わることがありますので、最新の条件は必ず各行の公式サイトでご確認ください。
がんと診断されると住宅ローン残高が半分になるauじぶん銀行の住宅ローン
ネット専業のauじぶん銀行は、住宅ローンの手続きがネット完結型です。がんと医師に診断されると住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」を上乗せ金利なしで付帯でき、さらに急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の4疾病について所定の条件に該当した場合の残高保障も付いてきます。残高が全額保障される「がん100%保障団信」は年0.05%、給付金を手厚くした「がん100%保障団信プレミアム」は年0.15%の上乗せです(特約付きのプランは加入時の年齢制限があります)。
がんへの備えが手厚いソニー銀行の住宅ローン
ソニー銀行の住宅ローンは、上乗せ金利なしで「がん団信50」(がんと診断されると残高が半分)が付帯され、年0.1%の金利上乗せで残高がゼロになる「がん団信100」へのアップグレードも可能です。がん診断給付金やがん先進医療給付金も用意されており、がん保険の代わりにもなり得ます(特約付きのプランは加入時年齢などの条件があります)。
すべてのケガや病気を保障する全疾病保障を無料付帯するドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)
メガバンクに次ぐ規模に住宅ローンの取扱いを伸ばしているのがドコモの銀行です。2026年8月24日には営業開始からの住宅ローン累計取扱額が15兆円を突破したと発表しています。すべての病気やケガに備える全疾病保障を上乗せ金利なしで付帯でき、50歳以下なら3大疾病で残高が半分になる保障も無料で付く点が支持されています。ただし変動金利の水準は行によって入れ替わるため、「ネット銀行だから最も低い」という前提では選ばず、申込時点の各行の数字で比べてください。

店舗とオンラインの両方で相談できるSBI新生銀行の住宅ローン
諸費用や保障のわかりやすさを重視するなら、SBI新生銀行も検討に値する選択肢です。保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)で、一般団信を上乗せ金利なしで付帯でき、ガン団信や全疾病保障付団信(上乗せ0円・2026年3月開始)も用意されています。事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型です。店舗での対面相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、初めての住宅ローンで相談したい方には安心材料です。金利・手数料・団信の最新条件は公式サイトでご確認ください。
年収500万円台の住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末の住宅ローン残高に応じて、納めた所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。2022年の改正で控除率は「1%」から「0.7%」に変更され、控除額は「年末残高(住宅の性能に応じた借入限度額が上限)× 0.7%」で計算します。
この制度は令和8年度税制改正で5年間延長され、入居日が令和8(2026)年1月1日から令和12(2030)年12月31日までなら適用を受けられます(関連する税制改正法は2026年3月31日に成立済み)。「住宅ローン控除がなくなる」といった情報を見かけても、2030年末入居までの延長は確定しています。
ここで重要なのは、住宅ローン控除は『納めた税金』が上限である点です。計算上の控除額が大きくても、納税額を超えて還付されることはありません(所得税で控除しきれない分は、一定の上限まで翌年の住民税から差し引かれます)。
令和8年(2026年)以降に入居する場合の借入限度額
借入限度額・控除期間は、住宅の省エネ性能と、新築か既存(中古)かによって異なります(控除率はいずれも0.7%)。
| 住宅の種類 | 新築・買取再販(子育て・若者夫婦世帯) | 新築・買取再販(その他の世帯) | 既存(中古)住宅 | 控除期間 |
|---|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 3,500万円(子育て等は4,500万円) | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,500万円(子育て等は4,500万円) | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円(子育て等は3,000万円) | 13年 |
| その他の住宅(省エネ基準を満たさない) | 新築は原則対象外(2023年末までに建築確認を受けた住宅は2,000万円・10年) | 2,000万円 | 10年 | |
※「子育て世帯」は19歳未満の扶養親族がいる世帯、「若者夫婦世帯」は夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指します。省エネ基準適合住宅(新築)は令和10(2028)年以降の入居は原則として対象外となり、2027年末までに建築確認を受けた住宅などは経過措置として2,000万円・控除期間10年が適用されます。
令和8年度改正のポイントは、既存(中古)住宅への支援が手厚くなったことです。省エネ性能の高い中古住宅について借入限度額が引き上げられ、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せが新設され、控除期間も10年から13年に拡充されました。中古も選択肢に入れている年収500万円台の方には、実質的な後押しになります。
また床面積要件が新築・既存とも40㎡以上に緩和されました(合計所得金額1,000万円超の方、および子育て世帯等への上乗せ措置を使う方は50㎡以上)。ほかに合計所得金額2,000万円以下、借入金の償還期間が10年以上などの要件があります。
年収500万円台では「控除枠を使い切れない」ことが多い
年間の最大控除額は「借入限度額 × 0.7%」です。たとえば省エネ基準適合の新築(その他の世帯)なら借入限度額2,000万円 × 0.7% = 年14万円、子育て世帯なら3,000万円 × 0.7% = 年21万円が上限になります。
ただし、繰り返しになりますが実際に戻ってくるのは「納めた所得税+一定額までの住民税」の範囲です。年収500万円台の会社員の場合、所得税と住民税を合わせても年10万円台の前半にとどまることが多く、限度額いっぱいまで借りても控除枠を使い切れないケースが少なくありません。「控除があるから多めに借りる」という発想は、年収500万円台では効きにくいと考えたほうが安全です。
住宅ローン控除の適用要件は住宅の性能証明など細かく定められており、申請には入居した年の確定申告が必要です(給与所得者は2年目以降、年末調整で控除を受けられます)。適用を受ける際は、必ず国土交通省や国税庁の最新情報をご確認ください。
