年収と借入額のバランスを考える夫婦のイメージ

住宅ローンを借りる人が「どれくらいの年収で、いくらの家を買っているのか」は、これからマイホームを検討する人にとって気になるところです。かつてフラット35の取扱いで人気を集めたARUHI(現・SBIアルヒ)が、フラット35を借り入れた49,415名を対象に、年収・購入価格・居住区分を調査・分析しました。

ここではその調査結果(2011〜2016年のデータ)を紹介しつつ、住宅金融支援機構の最新調査(2025年度)でわかる「いま」の利用者像もあわせて見ていきます。当サイトが重視するのは、金利の数字だけでは見えてこない年収に対する借入額のバランスと、諸費用まで含めた総コストです。年収別にどんな住宅を選んでいるかを知ることで、自分の無理のない借入額の目安が見えてきます。

<調査概要> ・調査地域:全国 ・調査期間:2011年6月1日〜2016年6月14日 ・調査数:49,415名 ・調査データ:ARUHIでフラット35を利用した方の成約データより ※データ内の数字は10万円以下切り捨てで記載 ※フラット35を単独で組んだ場合(収入合算はしていない方)

※以下の「平均年収」「平均物件購入価格」「年収別の購入価格」は、上記2011〜2016年のARUHIの成約データにもとづく当時の集計結果です。現在の水準は後半の「最新データで見る『いま』の利用者像」でご確認ください。

利用者の平均年収は?(2011〜2016年の調査)

調査対象者の平均年収は510万円、最も多い年収帯は600万円でした(最大9,000万円、最小40万円。最小の40万円は記入時の誤りの可能性があります)。

利用者の平均物件購入価格は?(2011〜2016年の調査)

土地と建物を合わせた物件購入価格は、平均2,820万円でした(最大は当時のフラット35の融資上限であった1億円、最小200万円)。当時よく言われた「借入額は年収の5倍以内」という目安に対し、平均年収510万円から見るとやや上回る水準で、住宅ローン金利が低かったことが背景にあると考えられます。

※フラット35の融資限度額はその後引き上げられ、2026年4月の資金受取分から1億2,000万円となっています(住宅金融支援機構)。上記の「1億円」は調査当時の上限です。

年収別・平均物件購入価格は?(2011〜2016年の調査)

年収人数割合平均物件購入価格
40万円以上200万円未満9792%1,440万円
200万円以上300万円未満5,30011%1,750万円
300万円以上400万円未満11,63224%2,240万円
400万円以上500万円未満12,78426%2,840万円
500万円以上600万円未満7,06514%3,120万円
600万円以上700万円未満4,1968%3,340万円
700万円以上800万円未満2,2825%3,550万円
800万円以上900万円未満1,1523%3,770万円
900万円以上9,000万円未満3,6657%4,430万円

年収400〜500万円未満の購入者が最も多く26%を占めました。年収が上がるほど借入可能額が増え、購入物件価格も上がる傾向がはっきり出ています(年収200万円未満で約1,440万円、年収900万円以上で約4,430万円)。

最新データで見る「いま」の利用者像(2025年度調査)

住宅価格はその後も上昇し、利用者像は当時から大きく変わりました。住宅金融支援機構が2026年7月24日に公表した「2025年度フラット35利用者調査」(2025年4月〜2026年3月の買取承認・付保承認案件のうち、借換えを除く35,553件を集計)から、全国平均の主な数字を挙げます。

  • 平均世帯年収は716万円(前年度+47万円)。2011〜2016年調査の平均年収510万円とは前提が異なり、こちらは本人と収入合算者を合わせた世帯ベースです。
  • 平均所要資金は4,203万円(前年度3,868万円)。物件取得にかかる総額で、10年前の水準からは大きく上がっています。
  • 平均年収倍率は6.6倍。「年収の5倍以内」という昔の目安は、実態としてはすでに過去のものになっています。
  • 平均年齢は43.3歳(前年度-1.2歳)。2017年度以降は上昇傾向が続いていましたが、2025年度は低下に転じ、30歳代以下の割合が45.1%(前年度比+4.9ポイント)まで戻りました。
  • 平均総返済負担率は22.8%(前年度-0.4ポイント)。借入額が増える一方で、返済負担率そのものは前年度より下がっています。

注目したいのは、物件価格も借入額も上がっているのに、返済負担率と平均年齢は下がっているという点です。世帯年収の上昇と、共働き世帯による収入合算の広がりが、価格上昇をある程度吸収していると読めます。

年収倍率は「何を買うか」で大きく変わる

年収倍率(所要資金 ÷ 世帯年収)は全国平均で6.6倍ですが、これは平均にすぎません。融資区分別に見ると、同じフラット35の利用者でも借り方はかなり違います。

融資区分別の年収倍率を比較した棒グラフ。土地付注文住宅7.8倍が最も高く、中古戸建5.3倍が最も低い
年収倍率=所要資金 ÷ 世帯年収。全国平均は6.6倍(2025年度)。

もっとも高いのは土地付注文住宅の7.8倍、次いでマンションの7.5倍。一方で中古戸建は5.3倍、中古マンションは5.6倍と、中古を選ぶ人は年収に対する借入額を明らかに抑えています。年収倍率の全国平均だけを見て「7倍近くまで借りるのが普通」と考えるのは早計で、どの種類の住まいを選ぶかによって、必要な資金は1.5倍近く変わります

必要な資金そのものが融資区分でこれだけ違う

融資区分別の平均所要資金を比較した棒グラフ。マンション5,882万円が最も高く、中古戸建2,783万円が最も低い
注文住宅は建設費+土地取得費、分譲住宅・中古住宅は購入価額。全国平均の所要資金は4,203万円。

マンションが5,882万円と最も高く、土地付注文住宅が5,313万円(建設費3,738万円+土地取得費1,575万円)で続きます。逆に中古戸建は2,783万円で、マンションの半分以下です。「年収がいくらなら家が買えるか」ではなく、「その年収で無理なく買えるのはどの選択肢か」という順番で考えると、検討の幅は一気に広がります。

年収から考える「無理のない借入額」(フラット35の基準)

年収別の購入価格を見たうえで、自分が無理なく借りられる額の目安も押さえておきましょう。フラット35には、年収に対する年間返済額の割合(総返済負担率)の基準があります。

  • 年収400万円未満:総返済負担率 30%以下
  • 年収400万円以上:総返済負担率 35%以下

この返済負担率には、フラット35以外の住宅ローン・自動車ローン・教育ローン・カードローンなどすべての借入れの年間返済額が含まれます(住宅金融支援機構)。「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物です。

ここで先ほどの実績値がヒントになります。2025年度の利用者の平均総返済負担率は22.8%で、基準の上限(30%・35%)とはかなりの開きがあります。実際に借りている人の平均は、基準の上限まで使い切っていないということです。基準はあくまで「審査に通る上限」であり、教育費・老後資金・将来の修繕費まで見据えるなら、20%台前半を一つの目安に置くと余裕が生まれます。

年収だけで決めない ── 諸費用まで含めた「総コスト」の視点

年収と借入額のバランスを考えるとき、意外と見落とされるのが借入時にかかる諸費用です。フラット35は保証料が原則不要ですが、そのぶん融資事務手数料が総コストを左右します。事務手数料が「借入金額×◯%」の定率型の場合、借入額が増えるほど負担は比例して重くなります。

たとえば事務手数料が2.20%(税込)の場合、借入額別の目安は次のとおりです。

借入額事務手数料2.20%(税込)の目安手元資金への影響
2,000万円440,000円頭金とは別に用意が必要
3,000万円660,000円登記費用・火災保険料が別途かかる
4,000万円880,000円借入額の増加分がそのまま上乗せ
5,000万円1,100,000円諸費用だけで100万円超

2025年度調査の平均所要資金4,203万円のクラスでは、事務手数料だけで90万円前後になる計算です。ここに登記費用・火災保険料・印紙税などが加わります。「年収の何倍まで借りられるか」だけを見て資金計画を立てると、この数十万円〜100万円超の現金支出が抜け落ちます。

加えて、団信(団体信用生命保険)の選び方も総支払額を動かします。フラット35ではデュエット(ペア連生団信)で掲載金利+0.180%、3大疾病付機構団信で+0.240%、逆に団信に加入しない場合は掲載金利-0.200%となります(2026年8月時点・住宅金融支援機構)。保障を厚くすれば安心は増えますが、35年間の総支払額では無視できない差になります。年収から借入額を決めたら、「金利+事務手数料+団信」の3点セットで比べるのが総コストで考える基本です。

いまの金利水準を正しく知っておく

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。かつては歴史的な低金利でしたが、長期金利の上昇を背景に金利水準は変わりました。2026年8月資金受取分の買取型(新機構団信付き・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下)の最も多い金利は年3.290%です(住宅金融支援機構の金利情報にて確認)。

商品・借入期間融資率9割以下(最も多い金利)融資率9割超(最も多い金利)
フラット20(20年以下)年2.970%年3.080%
フラット35(21年以上35年以下)年3.290%年3.400%
フラット50(36年以上50年以下)年3.500%年3.610%

※2026年8月資金受取分・新機構団信付き。金利は毎月1日ごろに改定されます。最新の金利は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。

ポイントは、融資率(9割以下か9割超か)・借入期間・団信の有無で金利が変わることです。「フラット35は年3.290%」と一つの数字で覚えると、自己資金が1割に届かない場合や、期間を35年超に伸ばした場合の実際の負担を読み違えます。

金融政策の面では、日本銀行が2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、7月の金融政策決定会合では据え置きました。2026年8月27日には氷見野副総裁が埼玉県金融経済懇談会で「最近の金融経済情勢と金融政策運営」と題した挨拶を行っています。先々の金利がどう動くかは、そのつどの決定会合で判断されるもので、事前に確定するものではありません。だからこそ全期間固定のフラット35は、「金利の低さ」ではなく「返済額が変わらない安心」に価値を置く人に向く商品だといえます。変動金利との金利差は開いていますので、金利差を受け入れてでも返済額を確定させたいかどうかが判断の分かれ目です。

フラット35はどこで借りても同じではない

多くの金融機関がフラット35を扱っていますが、同じ商品でも取扱金融機関によって金利や事務手数料に違いがあります。機構が公表する「最も多い金利」は目安であり、実際の適用金利は各金融機関が設定しています。保証料が原則不要なフラット35では、比較すべきは金利だけでなく事務手数料の料率です。

check金利は機構の公表水準と同じかどうかを確認する

フラット35の取扱大手であるSBIアルヒの場合、2026年8月実行金利はフラット35(団信J加入・借入期間21〜35年・融資比率10割以下・借り換え)で年3.290%、団信に加入しない場合は年3.090%と公表されています(同社公式サイトにて確認)。機構が公表する最も多い金利と同じ水準です。まずは検討している金融機関の金利が、機構の公表水準と比べてどうかを確認しましょう。

check事務手数料は「率」と「最低額」の両方を見る

SBIアルヒの事務手数料は【スタンダードタイプ】融資金額の2.20%(税込)、最低220,000円(税込)です(新規借り入れ・借り換えとも。同社公式サイトにて確認)。かつて案内されていた「Web申込で事務手数料が半額(1.10%)」という割引は現在は行われていません。古い記事や口コミの情報を前提に資金計画を立てないよう注意してください。また電子契約を利用する場合は、別途電子契約手数料11,000円(税込)がかかります。

なお同社では、自己資金の割合に応じて金利が下がる保証型の「スーパーフラット」も扱っています(2026年8月実行金利のスーパーフラット借換は団信C加入で年3.140%)。自己資金を厚めに用意できる人は、買取型のフラット35と併せて比較する価値があります。取扱商品・適用条件・最新の金利は各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

※SBIアルヒ ダイレクト支店では、2026年7月1日をもってWeb事前審査の取り扱いが終了し、現在はWeb本申込のみの取り扱いとなっています(同社公式サイトにて確認)。事前審査から段階を踏みたい方は、申込方法を先に確認しておくと安心です。

よくある質問(年収・借入額・総コスト)

Q. 世帯年収716万円という平均を下回っていますが、フラット35は使えますか?
A. 平均はあくまで利用者全体の平均で、審査基準ではありません。フラット35の基準は総返済負担率(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)で、この範囲内であれば年収の水準そのもので一律に線引きされることはありません。2025年度調査でも、中古戸建の利用者は平均世帯年収580万円・年収倍率5.3倍と、無理のない範囲で購入している層が一定数います。

Q. 年収倍率6.6倍が平均なら、自分もそこまで借りて大丈夫ですか?
A. 平均は「実際にそう借りている人が多い」という事実であって、「その水準が安全」という意味ではありません。同じ調査の平均総返済負担率が22.8%にとどまっている点とセットで見てください。年収倍率が同じでも、金利・借入期間・団信の選び方によって毎月の返済額は変わります。倍率ではなく毎月の返済額と手元に残る額で判断するのが確実です。

Q. 頭金は物件価格の1割を用意すれば十分ですか?
A. フラット35では融資率が9割以下か9割超かで金利が変わるため、1割の自己資金には金利面の意味があります。ただし頭金とは別に、事務手数料・登記費用・火災保険料などの現金支出が必要です。2025年度調査の全国平均でも、所要資金4,203万円に対して手持金は551万円(所要資金の13.1%)が投入されています。頭金1割=手元資金1割では足りないと考えて、諸費用分を上乗せして準備しましょう。

Q. 収入合算やペアローンを使えば、借入額を増やしても大丈夫ですか?
A. 借入可能額は増えますが、二人分の収入が続くことが前提になる点は忘れないでください。フラット35で連帯債務者と共に加入できるデュエット(ペア連生団信)は掲載金利+0.180%となり、総支払額も増えます。片方の収入が減る可能性(育児・介護・転職など)を織り込んだうえで、単独収入でも返済を続けられる水準に収まっているかを確認しておくと安心です。

Q. 中古住宅を選ぶと、資金計画はどのくらい楽になりますか?
A. 2025年度調査では、中古戸建の平均所要資金は2,783万円、中古マンションは3,602万円で、マンション(5,882万円)や土地付注文住宅(5,313万円)より大幅に低い水準です。年収倍率も5倍台にとどまります。ただし中古は購入後のリフォーム費用や、築年数に応じた修繕・管理費を別途見込む必要があります。中古戸建の平均築後年数は22.7年、中古マンションは28.7年です。

フラット35(全期間固定)は返済額が確定する安心が最大の価値ですが、選択肢はそれだけではありません。変動金利や独自の長期固定を扱う民間ローン(保証料が不要で、上乗せ0円の全疾病保障付団信を選べるSBI新生銀行など)も、諸費用・団信を含めた総支払額で並べてみると、自分に合う形が見えてきます。年収・返済負担率・総コストの3点で冷静に検討しましょう。

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