住宅ローン審査の基準を確認するイメージ

住宅ローンの審査に落ちた理由は教えてもらえない

住宅ローンの審査に落ちた経験のある人はたくさんいると思います。2~3社から理由もわからず「ご希望に沿えない」と審査落ちの通知を受け取ることになって、マイホームの購入や住宅ローンの借り換えを諦めてしまった人もたくさんいると思います。

審査に落ちた理由を金融機関から直接教えてもらえれば対策しやすいものですが、残念ながら金融機関は審査に落ちた理由や減額になった理由を明確に教えてくれないことが大半です。理由がわからないとやみくもに審査基準の甘そうな銀行を探して申し込むしかなくなってしまいますので、一般的な住宅ローンの審査について把握しておくことが重要です。

そんな時に非常に参考になるのが、毎年3月ごろに国土交通省が発表している「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」です。今回は、令和8年3月に発表された最新の令和7年度調査(全国の民間金融機関1,175機関を対象に実施し、1,112機関が回答)の内容を使って、民間銀行の住宅ローン審査内容について確認していきましょう。

 

住宅ローンの調査は様々な企業が行うことがありますが、この調査は何と言っても国土交通省が主体となって金融機関にアンケート形式で調査したものです。調査対象も幅広く、毎年実施・発表されており、公的な機関による多くの調査項目を数多くの金融機関に対し調査したものであり、住宅ローン審査基準を知る上で重要な資料と言えます。

 

早速、調査結果を確認していきましょう。調査結果は何十ページもあります。以下は、「住宅ローンの審査基準として採用している項目」に関する調査結果です。

 

令和7年度調査(令和8年3月発表)

審査基準に採用していると答えた率が9割前後にのぼる以下の項目は、どの金融機関でも見ていると考えましょう。

  • 完済時年齢:98.4%
  • 借入時年齢:96.2%
  • 健康状態:96.1%
  • 年収:94.2%
  • 勤続年数:93.9%
  • 担保評価:91.0%
  • 返済負担率:90.9%
  • 営業エリア:89.2%
  • 連帯保証:84.7%

もう少し細かく確認していきましょう。まず、完済時年齢は「80歳未満」とする金融機関が大半を占めています(978機関中716機関)。健康状態については、団信への加入を必須とする金融機関が9割近く(955機関中834機関)にのぼります。

担保に関しては「融資判断に影響する」(498機関)と「融資判断の参考にする」(342機関)とに分かれています。もし担保物件の問題で審査に落ちたのであれば、複数の金融機関に申し込んでみることで解決できる可能性がありそうです。

勤続年数は「1年以上」とする金融機関が最も多く(933機関中612機関)、「3年以上」とする機関は128機関にとどまります。1年以上の勤続で申し込める金融機関がいまや多数派であり、転職直後でなければ勤続年数だけで落ちるケースは以前より減っていると読み取れます。

また、以下の項目も基本的には審査されていると考えておいた方が良さそうです。

  • カードローンなど他のローンの状況や返済履歴:72.5%
  • 雇用形態:70.6%

まず、雇用形態を審査基準としていない金融機関が約3割あるのは注目に値します。審査基準としている金融機関(702機関)の内訳をみると、派遣社員を対象外とするのは368機関、契約社員を対象外とするのは312機関と、おおむね半数の金融機関では派遣社員・契約社員でも借り入れの申込みが可能です。自営業者を対象外としている金融機関はわずか10機関しかありません。派遣社員や契約社員の人で住宅ローンの審査に落ちた場合、諦めずに複数の住宅ローンに申し込むことで審査に通過できる可能性が十分あることがわかります。

また、「カードローン」などの返済履歴を審査基準としていない金融機関が3割近く存在します。もちろん個人信用情報でブラック扱いになっていれば審査には落ちるでしょうが、多少の借り入れであれば問題なく審査に通過できる可能性があります。

 

続いて、多くの金融機関が審査時に考慮すると回答している各項目を列挙しましたので参考としてください。

項目内容
完済時年齢満80歳未満としている銀行が大半です。46歳で35年ローンでは審査に落ちることをとなります。
健康状態民間金融機関の住宅ローンでは団体信用保険(団信)という生命保険への加入が必須であり、病歴や持病によってはこの生命保険への加入審査に落ちる可能性があります。持病・病歴で心配な点がある場合、団信の加入条件を緩和した「ワイド団信」を扱うへの住宅ローン審査申し込みを検討してみてください。
担保評価新築の場合には購入費用や建設費用を担保評価額としてる場合が多く金融機関によっては100%借り入れも可能になります。
一方問題となる可能性があるのが借り換えです。マイホームの評価額を住宅ローン残高が上回る場合には担保割れとなり、借り換えが困難となるでしょう。住宅価格が右下がり市況では要注意と言えます。
借入時年齢満18歳~20歳以上としている金融機関が大半です。
勤続年数1年以上としている金融機関が654社、3年以上としてる金融機関が195社となりました。転職直後でも住宅ローン審査をあきらめる必要はないかもしれません。
年収150万円以上としている金融機関が550社と半数を占めました。
連帯保証多くの金融機関では金融機関の系列の保証会社による保証が必要となります。保証料が2.20%必要となります。
ネット専業銀行では保証会社を利用しない住宅ローンとなるため、住宅ローン審査申し込み時にはネット専業銀行にも申し込みをされてはいかがでしょうか。
金融機関の営業エリア地方銀行を中心に住宅ローンの融資可能なエリアが定めらていますので、住宅ローン審査申し込み前に、申し込む地方銀行が対象エリアなのか確認をしましょう。
なおネット専業銀行は全国を対象にしています。
融資率/返済負担率本調査によると45%以内としている金融機関が最多となりました。
日本国内で最も住宅ローン審査に寛容なフラット35では
年収(税込) 返済比率
400万円未満 30%以内、
400万円以上 35%以内
としています。
他ローンの状況や返済履歴クレジットカードの返済遅延やカードローン・キャッシングの利用有無・返済遅延などがないか、信用情報機関に照会されます。
返済遅延などの事故は5年程度、信用情報機関に記録されることとなります。
最近ではスマートフォンを月賦での支払いとするのが一般的ですが、これも立派なローンとなりますので、月々の携帯電話料金の支払い遅延がないように気をつけましょう。
雇用形態派遣社員や契約社員を住宅ローン融資の対象外する銀行が半数を占め、正社員・公務員・自営業を対象とする金融機関が大半です。
日本国内で最も住宅ローン審査に寛容なフラット35ではアルバイト、派遣社員、契約社員も住宅ローン審査申し込み可能となっています。

 

主要な住宅ローンの審査基準とは?

次に主な住宅ローンの審査基準をチェックしておきましょう。

年収職業・雇用形態勤続年数年齢
auじぶん銀行のロゴ画像です200万円個人事業主も可能規定なし(個人事業主、会社役員は3年)満18歳以上満65歳未満、完済時年齢80歳
ARUHIのロゴ画像です
100万円程度でも可能パート、アルバイト、個人事業主、契約社員、派遣社員、会社役員も可能規定なし(個人事業主、会社役員は2年)70歳未満、完済時年齢が満80歳未満
ジャパンネット銀行のロゴ画像です200万円以上正社員、契約社員規定なし20歳以上65歳未満で、完済時に80歳未満の方
300万円以上個人事業主、契約社員、会社役員も可能2年以上20歳以上65歳未満、完済時年齢が満80歳未満
100万円以上個人事業主、契約社員、派遣社員、会社役員も可能半年以上(個人事業主、会社役員は3年)満20歳以上71歳未満、完済時年齢が満80歳未満
ソニー銀行のロゴ画像です400万円以上個人事業主、会社役員(経営者)も可能規定なし(個人事業主、会社役員は3年)満20歳以上満65歳未満、完済時年齢が満80歳未満
三菱UFJ銀行のロゴ画像です200万円以上個人事業主も可能1年(個人事業主、会社役員は3年)65歳6ヶ月未満で、完済時年齢が満80歳未満
みずほ銀行のロゴ画像です安定かつ継続的な収入があること個人事業主・契約社員・派遣社員も可基準なし(個人事業主・法人代表は2年以上)満20歳以上71 歳未満、完済時年齢が満81歳未満
三井住友銀行のロゴ画像です安定かつ継続的な収入があること個人事業主・契約社員・派遣社員も可基準なし(個人事業主・法人代表は3年以上)満20歳以上70 歳未満、完済時年齢が満80歳未満

 

住宅ローン審査に通らない、落ちた方が考える審査落ち理由とは?

住宅情報サイト「HOME’S(現:LIFULL HOME’S)」を運営するLIFULL(旧・ネクスト)が、「住宅ローンの審査に通らなかったことがあるが、住宅ローンを借りられた」人を対象とした住宅ローン調査を過去に行っています。貴重な経験者の体験談が紹介されていますのでぜひ参考にしてください(以下の割合は同調査当時のものです)。

 

1位「年収が少なかったから」(30.0%)

住宅ローンの審査では収入に対する借入額の割合に基準を設けています。細かい数字は銀行によって異なり公表されることはありません。一般的に借入額は年収の5倍、月の返済額が月給の25%以内など目安があり、住宅ローンの審査に落ちた場合、借入額を考え直してみる必要がありそうです。

国土交通省の令和7年度調査では、年収を審査項目とする金融機関(936機関)のうち、申込みの最低年収を「150万円以上」としている金融機関が390機関と最も多くなっています。最低年収のハードル自体は決して高くないため、落ちた場合は「年収の絶対額」よりも「年収に対する借入額・返済負担率」を見直すのが先です。

2位「勤続年数が短かったから」(22.0%)

銀行のホームページには「安定した収入のある方」という記述があり、やはり就職や転職したばかりの方は落ちる要因になりそうですね。さらに派遣社員や契約社員も正社員と比べると不利になる要素と言えそうです。

国土交通省の令和7年度調査では、最低の勤続年数を「1年以上」としている金融機関が612機関と最多で、「3年以上」とする機関は128機関です。転職後1年を超えていれば申し込める金融機関は多いですが、それでも落ちた場合には勤務先の規模なども関係しているかもしれません。その場合には少し勤続年数を伸ばしてみる必要がありそうです。

3位「自営業だったから」(10.0%)

これも「安定した収入のある方」に関連する事項になりますね。自営業の方の場合には過去数年分の確定申告書や収支報告書の提出を求められるなど、会社員に比べて住宅ローン審査では不利になる可能性が高いようです。

もっとも、令和7年度調査で自営業者を融資対象外としている金融機関は10機関のみです。自営業だから借りられないのではなく、所得の安定性の示し方が問われていると考え、申告所得の水準や継続年数を整えたうえで、自営業に前向きな金融機関を選ぶことが対策になります。

「思い当たることがない」(23.0%)

返済能力をみるため収入はもちろんですが、やはり勤続年数や雇用形態、勤めている企業規模も重要な要素になるようです。ちなみに、「思い当たることはまったくない」という人も23.0%とかなりの割合でいるようです。

「思い当たることはまったくない」という方は、一度ご自身の信用情報を確認してみるのもいいかもしれません。スマホ代金の割賦などの支払を忘れるなど、些細な事で金融事故扱い(ブラック登録)になっていることもあります。金融事故の場合にはまず住宅ローンの審査に通ることはありません。
気になる場合には個人で信用情報を問合せてみましょう。

国内には下記の3つの信用情報機関があります。窓口・郵送のほか、現在はインターネットでの開示請求にも対応しています。

 ・日本信用情報機構(JICC)
 ・シーアイシー(CIC)
 ・全国銀行個人信用情報センター(KSC)

審査に落ちて見直したことは?

「住宅ローンの審査に通らなかったことがあるが、住宅ローンを借りられた」ということで、審査に落ちた後に住宅ローンを借り入れるために何を見直したか聞いてみると、こんな順位になっています(同調査当時)。

  1. 「購入する物件を見直した」(19.0%)
  2. 「依頼する施工会社を見直した」(13.0%)
  3. 「購入する土地を見直した」(12.3%)

 

審査落ちに関するよくある疑問

Q. 落ちた直後に別の銀行へ申し込んでも大丈夫ですか?

A. 申込情報は信用情報機関に一定期間(一般に6か月程度)記録され、短期間に多数の申込みが並ぶと慎重に見られることがあります。ただし審査基準は金融機関ごとに異なるため、落ちた原因の見当をつけたうえで、基準の傾向が異なる金融機関(ネット銀行・フラット35など)へ2〜3社程度に絞って申し込むのが現実的です。

Q. 信用情報はどうやって確認すればよいですか?

A. JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センターの各機関に本人開示を請求します。いずれもインターネット申込みに対応しており、手数料は1機関あたり数百円〜千円程度です。心当たりのない事故情報があれば、登録元の会社に訂正を求めることもできます。

 

これまでの説明の中で何か心当たりはなかったでしょうか?住宅ローンの審査基準は金融機関で違います。その違いを利用するには、住宅ローン審査は異なる複数の金融機関に申し込むしかありません。ただ、メガバンクや地方銀行はそんなに審査基準が変わらなかったりしますので、ネット銀行や新しめの銀行など、種類を変えて申し込んでみることをおすすめします。

 

また、フラット35は勤続年数や雇用形態の要件が民間住宅ローンよりも柔軟なので、民間住宅ローンの審査に落ちた人はフラット35も活用するようにしましょう。