
日本銀行がマイナス金利政策を解除して以降、住宅ローン金利は上昇局面に入っています。政策金利は2026年6月の金融政策決定会合で「年1.0%程度」へ引き上げられ、2026年7月30日・31日の会合では同水準で据え置かれました。返済中のローンを少しでも有利な条件に見直したいと、借り換えを検討する方も増えています。
しかし、借り換えのときにも新規で借り入れたときと同じように審査が行われます。さらに、審査以前の問題として「制度上そもそも借り換えができない」ケースがあるのをご存じでしょうか。
この記事では、借り換えができない5つの条件を整理したうえで、審査に通っても諸費用まで含めると「得にならない」ケースまで踏み込んで説明します。
借り換えのできないケース
以下の場合は借り換えができないことがあります。一部の公的住宅ローンへの借り換えはできない
公的住宅ローンとは、財形住宅融資や自治体融資などを指しますが、これらは「借り換え」という資金使途では利用できません。たとえば財形住宅融資は住宅の建設・購入・リフォームのための資金が対象で、財形住宅金融の商品概要でも資金使途について「借換え融資としてのご利用はできません」と明記されています。 つまり、これは審査に落ちるという話ではなく、そもそも申し込みの対象外ということです。勤務先の融資制度を検討している方は、まず資金使途の要件を確認しておきましょう。 一方、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している【フラット35】には借換融資が用意されており、こちらは利用できます。健康状態が悪化してしまった
民間銀行の住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が借入れの条件になっているのが一般的です。そのため、最初に借りたときは健康でも、借り換えを考える時点で持病や治療歴があると団信に加入できず、借り換えが進められないことがあります。借り換えは「新しいローンを組み直す」手続きなので、健康状態は改めて審査されると考えてください。 このケースでの現実的な選択肢は2つあります。 1つは、引受基準を緩和したワイド団信です。持病があっても加入できる可能性がありますが、通常は金利に上乗せが発生します。取扱いの有無や上乗せ幅は金融機関ごとに異なるため、候補となる銀行の商品説明書で個別に確認してください。 もう1つは、団信の加入が任意である【フラット35】での借り換えです。住宅金融支援機構は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も【フラット35】借換融資を利用できるとしています。団信に加入しない場合、借入金利は新機構団信付きの金利から年0.200%引き下げられますが、その分、万一のときにローンが残る点は理解しておく必要があります。今、返済している住宅ローンで滞納したことがある
過去に住宅ローンの返済を滞納した経験がある方は、借り換えの審査に影響します。数日程度・1回限りの遅れであれば重く見ない金融機関もありますが、返済の入金状況は信用情報として記録され、金融機関は申込みのたびにこれを確認します。 信用情報の保有期間は、情報の種類と信用情報機関によって異なります。たとえばCIC(指定信用情報機関)では、申込みに関する情報が6か月、契約内容や毎月の入金状況は契約期間中および契約終了後5年以内とされています。銀行の住宅ローンでは全国銀行個人信用情報センター(KSC)も照会されるため、複数の機関に記録が残っていると考えたほうが安全です。 延滞を何度も繰り返している場合、借り換え時に審査を通ることは難しいと考えてよいでしょう。なお、自分の信用情報は各機関に開示請求できます。心当たりがある方は、申し込む前に一度確認しておくと、通らない申込みを重ねて記録を増やす事態を避けられます。返済負担率が増えてしまっている
車のローン、教育ローン、キャッシングなどで借入れがある場合、それらの年間返済額も返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)に合算されます。さらにクレジットカードのキャッシング枠は、実際に使っていなくても「借入れがある」とみなされる場合があります。 見落としやすいのは、返済負担率は「これから借りる分」だけでなく、現在返済中のローンも含めて計算されるという点です。最初に借りたときより他の借入れが増えていれば、年収が同じでも借り換えできる金額は小さくなり、残高全額を借り換えられないことがあります。 使っていないクレジットカードを解約する、キャッシング枠を外す、少額のローンを先に完済しておく——といった準備で、審査上の負担を軽くできる場合があります。ただし解約や枠の変更は反映まで時間がかかることもあるため、申込みの直前ではなく余裕をもって手を打つのが現実的です。物件価値が落ちてしまった
借り換え特有の条件です。担保となる物件は、借り換えの申込み時点で改めて評価されます。新築から時間が経って不動産の価値が大幅に下がっている場合や、住宅ローン残高が物件の評価額を上回る「オーバーローン」の状態になっている場合には、審査に通らないことがあります。 この場合の対処は限られており、不足分を自己資金で補って残高を減らすか、繰上返済を進めて残高が評価額を下回るのを待つか、のどちらかになります。借り換えを急いでいる方ほど、まずは残債と物件評価のバランスを確認しておくとよいでしょう。審査に通っても「得にならない」ケースがある
借り換えでもう一つ見落とされがちなのが、審査に通ることと、借り換えて得をすることは別問題だという点です。借り換えは新しいローンを組み直す手続きなので、新規借入れと同じように諸費用がかかります。| 費用の種類 | 誰に払うか | 見落としやすいポイント |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 借り換え先の金融機関 | 借入額×2.20%(税込)の定率型と、数万円〜十数万円の定額型がある。定額型は金利が高めに設定されることが多く、単純比較できない |
| 保証料 | 保証会社(銀行経由) | 0円の銀行もあれば、金利上乗せや一括前払いで負担する銀行もある |
| 抵当権の抹消・設定にかかる登録免許税 | 国(法務局) | 抹消は不動産1個につき1,000円。設定は債権額の0.4%で、住宅取得資金向けの軽減税率(0.1%)は借り換えでは原則使えない |
| 司法書士報酬 | 司法書士 | 抹消と設定の2件分。金融機関が指定する司法書士になることが多い |
| 印紙税または電子契約利用手数料 | 国/金融機関 | 電子契約なら印紙税は不要だが、代わりに利用手数料がかかる金融機関がある |
| 全額繰上返済手数料 | 現在の借入先 | 今のローンを一括返済するための費用。金額は契約内容による |
住宅ローンの借り換えが出来ない場合のまとめ
住宅ローンの借り換えが出来ない場合には、繰上返済で元金を直接減らすことが有効です。借り換えをしても元金そのものが減るわけではありませんからね。 しかし月々の返済をしながら貯蓄を行うのは大変です。借り換えにより返済総額が減れば月々の返済額も減り、貯蓄を行う余裕が大きくなる可能性があります。 ただし、借り換えで得をするかどうかは「金利差」と「諸費用」次第です。金利が上昇局面にある今は、まずご自身の今の金利と、借り換え候補の最新金利を比べることから始めましょう。そのうえで、上で挙げた諸費用を差し引いても手元に残るメリットがあるかを確認します。 借り換えシミュレーションは各金融機関が無料で用意しているので、気軽に試してみることをおすすめします。フラット35への借り換えという選択肢
団信の加入に不安がある方や、返済額を完済まで固定したい方は、【フラット35】での借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。 新規の借入れと同様に、借り換えの審査基準も金融機関によって違いますが、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している【フラット35】には独自の基準があり、その一つが『総返済負担率』です。 【フラット35】では審査の際の総返済負担率が以下のように明確にされています。| 年収400万円未満 | 年収400万円以上 |
|---|---|
| 30%以下 | 35%以下 |
フラット35は金利上昇局面にある
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に利上げを進めています。これに伴い、長期金利を指標とする【フラット35】の金利も上昇しました。 2026年8月資金受取分の【フラット35】(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)の最も多い金利は年3.290%で、前月の年3.140%から0.150%上昇し、現行制度となった2017年10月以降で最も高い水準となりました(2026年8月時点・住宅金融支援機構の公表値)。
借り換え先として検討したい住宅ローン
借り換え先を選ぶときは、金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料などの諸費用を含めた総支払額で比べることが大切です。ここでは、長期固定で考えたい方向けの【フラット35】と、変動・固定を含めて諸費用も抑えたい方向けの選択肢を紹介します。SBIアルヒ(ARUHI)のフラット35
フラット35の実行件数シェアは国内トップクラス
【フラット35】の取り扱い実績が豊富で、実行件数シェアでは長年にわたり業界トップクラスを維持しています。同社の公表によると、2025年度の【フラット35】実行件数シェアは27.7%で16年連続1位とされています。※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
Web申込みで事務手数料が引き下げられるキャンペーンがある
2026年3月2日から2027年3月31日までの間に「Web申込」(本申込)および電子契約を利用して【フラット35】または「スーパーフラット」を借り入れた方を対象に、1債権あたり融資事務手数料を33,000円(税込)引き下げるキャンペーンが実施されています(2026年8月時点)。かつて案内されていた「事務手数料が半額(1.10%)になる」といった割引は現在は行われていませんので、古い情報を前提にしないよう注意してください。適用条件と最新の内容は公式サイトでご確認ください。
金利が低いスーパーフラット
手持ち金(自己資金)の割合に応じて金利の優遇を受けられる「スーパーフラット」があります。自己資金の割合が大きいほど金利が下がる仕組みで、借り換えでも利用できます。 なお、運営会社は旧アルヒ株式会社(ブランド名ARUHI)からSBIグループ入りに伴い「SBIアルヒ株式会社」へ名称が変わっています。SBIアルヒ(ARUHI)では手持金を多く用意できるほど、通常の【フラット35】よりも有利な金利で借入れができる場合があります。
さらに「フラット35リノベ」など中古住宅のリノベーションに対応した商品を用意するなど、幅広いラインアップが特徴です。 そして大きな特徴は、専門家に対面相談できる店舗を全国に展開している点ですね(約90拠点・2026年3月末現在)。オンラインで完結させたい方向けの「SBIアルヒ ダイレクト支店」も用意されていますが、同支店のWeb事前審査は2026年7月1日に取り扱いを終了し、現在はWeb本申込のみとなっています。 金利と事務手数料の水準に加え、対面相談で住宅ローンの不安な悩みを相談しながら【フラット35】を借り入れることができるSBIアルヒ(ARUHI)に注目です。 SBIアルヒ(ARUHI)のフラット35の評判や口コミから分析したこちらの特集記事も参考にしてみて下さい。 >>アルヒ(ARUHI)の住宅ローン(フラット35)の評判・口コミについて諸費用も含めて比べたいならSBI新生銀行も選択肢に
変動・固定を含めて検討したい方には、SBI新生銀行も借り換え先の候補として挙げられます。保証料は0円で、手動の一部繰上返済は1円から手数料0円で何度でも利用できるため、余裕ができたときに元金を減らしやすいのが特徴です。 事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、保証料がかからないぶん初期費用の全体像が見通しやすくなっています(電子契約を利用する場合は別途、電子契約利用手数料5,500円(税込)がかかります)。団信は一般団信が上乗せ0円で、ガン団信や全疾病保障付団信も用意されています。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、借り換えで諸費用まで含めた総支払額を抑えたい方は比較してみるとよいでしょう(金利・手数料・団信の最新条件は公式サイトでご確認ください)。借り換えの審査に関するよくある質問
Q. 借り換えの審査に落ちました。すぐに別の銀行へ申し込んでも大丈夫ですか?
申し込んだ記録は信用情報に残ります。CICでは申込みに関する情報の保有期間は6か月とされており、短期間に何件も申し込むと「資金繰りに困っているのでは」と見られる可能性があります。落ちた理由に心当たりがあるなら、まずは他のローンを整理する、信用情報を開示して確認するなど、原因を潰してから次に進むほうが確実です。Q. 団信に加入できないと、借り換えは絶対にできませんか?
いいえ。引受基準を緩和したワイド団信を扱う金融機関を探す方法と、団信の加入が任意である【フラット35】を利用する方法があります。ただしワイド団信は金利上乗せがあり、団信に加入しない場合は万一のときにローンが残ります。保障を外す判断は、ご家族の生活設計とあわせて検討してください。Q. 借り換えのとき、残高の全額を借り換えられないことはありますか?
あります。返済負担率の基準を超えている場合や、物件の評価額が残高を下回っている場合には、希望額に届かないことがあります。この場合は不足分を自己資金で補うのが一般的な対応です。Q. 借り換えの諸費用は、借入額に含められますか?
金融機関によります。諸費用を借入金額に含めて申し込める銀行もありますが、その分だけ借入残高が増えて利息の負担も増えます。「手元の現金を減らさない」ことと「総支払額を減らす」ことは別なので、どちらを優先するかを決めたうえで選びましょう。Q. 自営業や転職直後でも借り換えできますか?
勤続年数や事業年数、直近の所得の安定性は審査で見られます。ただし借り換えの場合は、現在の住宅ローンを何年、どのように返してきたかという返済実績も評価の材料になります。同じ属性でも金融機関ごとに判断が分かれる部分なので、1行の結果だけで諦めず、条件の異なる複数の金融機関を比較することをおすすめします。 <「フラット35」おすすめ関連コンテンツ>
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