
住宅ローンの借り換えができないのは、借り換えに使えない融資を選んでいる場合、団信に加入できない場合、返済の延滞記録がある場合、返済負担率が基準を超えている場合、物件の担保評価が残高に届かない場合の5つが中心です。
フラット35への借り換えでは、これに加えて住宅取得時の借入から1年たっていない、直近1年間に延滞がある、物件が機構の技術基準を満たさないといった制度上の条件でも申し込めません。さらに審査に通っても、諸費用を差し引くと総支払額が減らずに借り換えが失敗に終わる例もあります。
借り換えができない5つのケース
借り換えは、今のローンを新しいローンで返し直す手続きです。そのため、新規で借りたときと同じ審査に加えて、借り換えならではの条件が問われます。
借り換えに使えない公的融資がある
公的な住宅融資のなかには、資金使途が住宅の建設・購入・リフォームに限られ、借り換えには使えないものがあります。たとえば財形住宅融資は、財形住宅金融の商品概要でも資金使途について借換え融資としては利用できないと明記されています。
これは審査に落ちるという話ではなく、そもそも申し込みの対象外という意味です。勤務先の融資制度で借り換えを考えている場合は、資金使途の要件を最初に確認しておくと、手続きの無駄を省けます。一方、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する【フラット35】には借換融資が用意されており、条件を満たせば利用できます。
健康状態が悪化して団信に加入できない
民間銀行の住宅ローンは、団体信用生命保険(団信)への加入を借入れの条件にしているのが一般的です。というのも、借り換えでは今の団信の保障が終わり、新しいローンで改めて団信に加入し直すため、最初に借りたときは健康でも、その後の持病や治療歴で加入を断られることがあるからです。
この場合の現実的な選択肢は2つあります。1つは引受基準を緩和したワイド団信で、持病があっても加入できる可能性がある代わりに金利の上乗せがあり、取扱いの有無や上乗せ幅は金融機関ごとに違います。
もう1つは、団信の加入が任意の【フラット35】での借り換えです。住宅金融支援機構は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も借換融資を利用できるとしており、その場合の借入金利は新機構団信付きの金利から年0.200%引き下げられます。ただし団信に加入しなければ、万一のときにローンがそのまま家族に残ります。
今の住宅ローンで滞納したことがある
過去に住宅ローンの返済を滞納した経験は、借り換えの審査に影響します。数日程度で1回限りの遅れなら重く見ない金融機関もありますが、返済の入金状況は信用情報として記録され、金融機関は申込みのたびにそれを照会するからです。
信用情報の保有期間は、情報の種類と信用情報機関で異なります。たとえばCIC(指定信用情報機関)では、申込みに関する情報が6か月、契約内容や毎月の入金状況は契約期間中および契約終了後5年以内とされています。銀行の住宅ローンでは全国銀行個人信用情報センター(KSC)も照会されるため、記録は複数の機関に残っていると考えておくほうが安全です。
延滞を何度も繰り返している場合、借り換えの審査を通るのは難しくなります。自分の信用情報は各機関に開示請求できるので、心当たりがあれば申し込む前に内容を見ておくと、通らない申込みを重ねて記録を増やす事態を避けられます。
返済負担率が基準を超えている
車のローン、教育ローン、キャッシングなどの借入れがあると、その年間返済額も返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)に合算されます。クレジットカードのキャッシング枠は、使っていなくても借入れがあるとみなされる場合があります。
見落としやすいのは、返済負担率は借り換える住宅ローンだけでなく、ほかに返済中のローンもすべて含めて計算される点です。その結果、最初に借りたときより他の借入れが増えていれば、年収が同じでも借り換えられる金額は小さくなり、残高の全額を借り換えられないことがあります。
使っていないクレジットカードを解約する、キャッシング枠を外す、少額のローンを先に完済しておくといった準備で、審査上の負担を軽くできる場合があります。解約や枠の変更は信用情報への反映に時間がかかることもあるため、申込みの直前ではなく数か月の余裕をもって進めるのが現実的です。
物件の担保評価が残高に届かない
これは借り換え特有の条件です。担保となる物件は借り換えの申込み時点で改めて評価されるため、築年数がたって評価が大きく下がっていたり、住宅ローン残高が物件の評価額を上回るオーバーローンの状態になっていたりすると、審査に通らないことがあります。
この場合の対処は限られ、不足分を自己資金で補って借り換える額を減らすか、繰上返済を進めて残高が評価額を下回るのを待つかのどちらかになります。借り換えを急いでいる人ほど、残高と物件評価のバランスを申込み前に見積もっておく必要があります。
フラット35に借り換えできないケース
【フラット35】の借換融資は審査基準が公表されているぶん、条件に当てはまらないと金融機関を変えても申し込めません。住宅金融支援機構が定める主な条件は次のとおりで、どれか一つでも満たさなければ借り換えはできません。
| 条件 | 内容 | 借り換えできない例 |
|---|---|---|
| 借入からの経過と返済状況 | 住宅取得時の借入日から申込日まで1年以上たち、申込日の前日までの1年間を正常に返済している | 購入から1年未満で借り換えようとした/直近1年に延滞がある |
| 年齢・国籍 | 申込時に満70歳未満(親子リレー返済を除く)。日本国籍、永住許可または特別永住者 | 満70歳以上で後継者がいない |
| 総返済負担率 | 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下(ほかの借入れも含む) | 車のローンなどを合算すると基準を超える |
| 借換対象のローン | 住宅取得時の借入額が建設費または購入価額の100%以内の住宅ローン | 諸費用まで含めて物件価格を超えて借りた(ただし申込時の残高が価額以内なら対象になる例もある) |
| 対象の住宅 | 機構の技術基準に適合し、床面積が一戸建て等50㎡以上・マンション30㎡以上 | 建築確認日が1981年5月31日以前で耐震評価基準を満たさない |
| 借入額 | 100万円以上1億2,000万円以下で、借換対象ローンの残高と機構の担保評価額の200%のいずれか低い額まで | 担保評価が低く、残高の全額に届かない |
技術基準への適合は、物件検査を受けて適合証明書を出すか、所定の確認書類で確かめる仕組みで、物件検査手数料は借り手の負担です(住宅金融支援機構「借換融資のご利用条件」)。また借換融資では、新規で使える【フラット35】Sなどの金利引下げメニューは使えません。
なお、【フラット35】から別の金融機関の【フラット35】へ借り換えること自体は可能です。その場合の損得の考え方はフラット35からフラット35へ借り換えできる?得する条件と諸費用で詳しく比べています。
審査に通っても得にならない、借り換えの失敗例
借り換えでもう一つ見落とされやすいのが、審査に通ることと借り換えで得をすることは別問題だという点です。というのも、借り換えは新しいローンを組み直す手続きなので、新規借入れと同じように諸費用がかかるからです。
| 費用の種類 | 誰に払うか | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 借り換え先の金融機関 | 借入額×2.20%(税込)の定率型と、数万円〜十数万円の定額型がある。定額タイプは金利が高めに設定されることが多く、単純比較できない |
| 保証料 | 保証会社(銀行経由) | 0円の銀行もあれば、金利上乗せや一括前払いで負担する銀行もある |
| 抵当権の抹消・設定にかかる登録免許税 | 国(法務局) | 抹消は不動産1個につき1,000円。設定は債権額の0.4%で、住宅取得資金向けの軽減税率(0.1%)は借り換えでは原則使えない |
| 司法書士報酬 | 司法書士 | 抹消と設定の2件分。金融機関が指定する司法書士になることが多い |
| 印紙税または電子契約利用手数料 | 国/金融機関 | 電子契約なら印紙税は不要だが、代わりに利用手数料がかかる金融機関がある |
| 全額繰上返済手数料 | 現在の借入先 | 今のローンを一括返済するための費用。金額は契約内容による |
| 物件検査手数料(フラット35のみ) | 検査機関・適合証明技術者 | 技術基準への適合を物件検査で確認する場合に必要 |
借り換えの効果は、ローン残高が多く、残りの返済期間が長く、今の金利との差が大きいほど出やすいと言われてきました。とはいえこれは目安にすぎず、上の諸費用を差し引いても総支払額が減るかは、自分の残高と残期間で試算して初めて分かります。
実際に借り換えが失敗に終わりやすいのは、次のような場合です。
- 月々の返済額だけを見て決め、諸費用を含めた総支払額では逆に増えていた
- 変動金利から固定金利へ移った結果、返済額が上がり、家計の余裕がなくなった
- 借り換えで団信を入り直した際、前のローンより保障が薄いプランになった
- 審査に落ちたあと短期間に何件も申し込み、信用情報に申込み記録を重ねた
とくに金利上昇局面では、今より低い金利を見つけること自体が難しくなります。この場合の借り換えは返済額を下げる手続きというより、変動金利のまま将来の上昇リスクを抱えるか、固定金利に切り替えて返済額を確定させるかという、リスクの取り方を選び直す手続きと捉えたほうが実態に合っています。借り換えのデメリットを総コストで整理した住宅ローン借り換えのデメリットと対策もあわせて読むと、判断の抜けが減ります。
借り換えができないときの対処
借り換えができない場合は、繰上返済で元金を直接減らすのが有効です。借り換えは金利を変える手続きで、元金そのものを減らすわけではないからです。
もっとも、毎月の返済を続けながら繰上返済の資金を貯めるのは楽ではありません。借り換えで総返済額が減れば、毎月の返済額も下がって貯蓄の余裕が生まれる可能性があるため、条件が整った段階で改めて借り換えを検討する価値はあります。
借り換えで得をするかは、金利差と諸費用で決まります。自分の今の金利と借り換え候補の金利を並べ、諸費用を差し引いても手元に残るメリットがあるかを、各金融機関の借り換えシミュレーションで数字にしておくと判断がぶれません。
フラット35への借り換えという選択肢
団信の加入に不安がある人や、返済額を完済まで固定したい人には、【フラット35】での借り換えも選択肢になります。民間の住宅ローンは審査基準が金融機関ごとに異なりますが、【フラット35】は総返済負担率の基準が次のように公表されています。
| 年収400万円未満 | 総返済負担率30%以下 |
| 年収400万円以上 | 総返済負担率35%以下 |
基準が公表されているため、申し込む前に自分で当たりを付けられるのは借り換えを考えるうえで大きな利点です。この基準に収まる借入額にしておけば、審査の見通しも立てやすくなります。
フラット35の金利は上昇している
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除したあと段階的に利上げを進め、2026年9月18日の金融政策決定会合では政策金利を1.25%程度へ引き上げました。これに伴い、長期金利を指標とする【フラット35】の金利も上がっています。
2026年10月資金受取分の【フラット35】借換融資は、借入期間21年以上35年以下の最も多い金利が年3.830%です。借換融資では実際の融資率にかかわらず融資率9割以下の金利が適用され、この水準は2017年10月に現行制度となって以降で最も高いものです。【フラット35】の金利は取扱金融機関ごとに決められているため、同じ月でも申込先によって水準が異なります。
そのため、数年前の低金利で借りている人がいま【フラット35】へ借り換えると、月々の返済額はむしろ増えるのが一般的です。それでも借り換える意味があるとすれば、金利を下げるためではなく、完済までの返済額を確定させるためです。金利がこの先どう動くかは読み切れませんが、固定に切り替えれば金利の動きに家計が左右されなくなります。
どちらが合うかは、残りの返済期間、残高、家計の余裕によって変わります。借り換えシミュレーションで返済額を具体的な数字にしたうえで、新規の借入れと同じく2〜3の金融機関に並行して申し込んでおくと、1行の審査結果に左右されずに済みます。
借り換え先として検討したい住宅ローン
借り換え先は、金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料などの諸費用を含めた総支払額で比べる必要があります。ここでは、長期固定で考えたい人向けの【フラット35】と、変動金利も含めて相談しながら比べたい人向けの窓口を紹介します。そのほかの候補は住宅ローン借り換え比較ランキングで総コストの観点から並べています。
SBIアルヒ(ARUHI)のフラット35
フラット35の実行件数シェアは2025年度27.7%
SBIアルヒは【フラット35】の取扱い実績が豊富で、同社の公表によると2025年度の【フラット35】実行件数シェアは27.7%で、16年連続1位とされています。
※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
Web申込と電子契約で事務手数料が33,000円引き下げ
2026年3月2日から2027年3月31日までに、Web申込(本申込)と電子契約を利用して【フラット35】またはスーパーフラットを借り入れた人を対象に、融資事務手数料を1債権あたり33,000円(税込)引き下げるキャンペーンが行われています(2026年10月時点)。かつて案内されていた事務手数料が半額(1.10%)になる割引は、現在は行われていません。
自己資金が多いほど金利が下がるスーパーフラット
自己資金の割合に応じて金利の優遇を受けられるスーパーフラットがあり、借り換えでも利用できます。運営会社は旧アルヒ株式会社(ブランド名ARUHI)からSBIグループ入りに伴い、SBIアルヒ株式会社へ名称が変わっています。
SBIアルヒ(ARUHI)では、手持ち金を多く用意できるほど通常の【フラット35】よりも低い金利で借り入れられる場合があります。中古住宅のリノベーションに対応した「フラット35リノベ」なども扱っています。
対面で相談できる店舗を全国に約90拠点(2026年3月末現在)展開しているのも特徴です。オンラインで完結させたい人向けのSBIアルヒ ダイレクト支店もありますが、同支店のWeb事前審査は2026年7月1日に取扱いを終え、現在はWeb本申込のみとなっています。
SBIアルヒ(ARUHI)のフラット35については、評判や口コミから分析した特集記事も参考になります。
>>アルヒ(ARUHI)の住宅ローン(フラット35)の評判・口コミについて
変動金利も含めて相談しながら比べるならSBIマネープラザ
SBIマネープラザは、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)を所属銀行とする銀行代理業者で、同行の住宅ローン「対面相談コース」の窓口になっています。2026年10月の対面相談コースの借り換え金利は、通期引下げプランの変動金利が物件価格の80%以下で年1.600%、当初10年固定が年3.379%です。
団信は全疾病保障が基本付帯のスゴ団信で、借入時の年齢が満50歳以下なら3大疾病50%保障も上乗せなしで付きます。一方、審査結果によっては表示金利に最大年0.55%が上乗せされるため、適用金利が確定してから総支払額を比べる必要があります。同行のWEB申込コースは、仮審査申込の受付を2026年10月30日(金)17時で終了する予定です。
店舗やオンラインで担当者に相談しながら、諸費用を含めた借り換えの損得を確かめたい場合は、SBIマネープラザの対面相談が候補になります。
※PR SBIマネープラザは、ドコモSMTBネット銀行を所属銀行とする銀行代理業者です。
借り換えの審査に関するよくある質問
Q. 借り換えの審査に落ちました。すぐ別の銀行へ申し込んでも大丈夫ですか?
A. 申込みの記録は信用情報に残り、CICでは保有期間が6か月です。短期間に何件も申し込むと資金繰りを疑われる可能性があるため、他のローンの整理や信用情報の開示など、落ちた原因を解消してから次に進むほうが確実です。
Q. フラット35に借り換えできないと言われたのはなぜですか?
A. よくある理由は、住宅取得時の借入から1年たっていない、直近1年間に延滞がある、総返済負担率が基準を超える、物件が機構の技術基準を満たさないの4つです。申込先を変えても機構の条件は同じなので、該当する条件を解消してから申し込む必要があります。
Q. 団信に加入できないと、借り換えはできませんか?
A. 引受基準を緩和したワイド団信を扱う金融機関を探す方法と、団信の加入が任意の【フラット35】を使う方法があります。ただしワイド団信は金利の上乗せがあり、団信に入らない場合は万一のときにローンが家族に残るため、生活設計とあわせて判断する必要があります。
Q. 借り換えの諸費用は、借入額に含められますか?
A. 金融機関によります。諸費用を借入金額に含めて申し込める銀行もありますが、その分だけ残高が増えて利息も増えます。手元の現金を減らさないことと総支払額を減らすことは別なので、どちらを優先するかを決めてから選ぶと後悔が少なくなります。
Q. 自営業や転職直後でも借り換えできますか?
A. 勤続年数や事業年数、直近の所得の安定性は審査で見られます。そのうえで借り換えでは、今の住宅ローンを何年きちんと返してきたかという返済実績も評価の材料になり、属性が同じでも金融機関によって判断が分かれるため、条件の異なる複数の金融機関で比べる価値があります。
手数料・団信の条件は改定されることがあります。総額で比べる際は、各金融機関の最新の条件表を基にしてください。
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