
兵庫県で「フラット35」を検討するとき、多くの方がまず金利表を見比べます。ところがフラット35はどの窓口で借りても商品の中身が同じで、金利も住宅金融支援機構が公表する水準に集約されやすい住宅ローンです。実際に総支払額の差を生むのは、その裏側にある融資事務手数料の「方式」と、選んだ方式に応じて動く適用金利のほうです。
この記事では、兵庫県内に窓口があるみなと銀行・但馬銀行と、フラット35の取扱実績が大きいSBIアルヒ(旧ARUHI)を材料に、初期費用と総返済額を合わせた「総コスト」で窓口を選ぶ考え方を整理します。
出発点:2026年8月のフラット35の金利水準
フラット35の金利は毎月1日ごろに改定され、申込時ではなく資金を受け取る月(融資実行月)の金利が適用されます。2026年8月資金受取分の金利(新機構団信付き・最も多い金利)は次のとおりです。
| 商品・借入期間 | 融資率9割以下 | 融資率9割超 |
|---|---|---|
| フラット35(21年以上35年以下) | 年3.290% | 年3.400% |
| フラット20(20年以下) | 年2.970% | 年3.080% |
| フラット50(36年以上50年以下) | 年3.500% | 年3.610% |
| ※住宅金融支援機構が公表する2026年8月資金受取分の「最も多い金利」(新機構団信付き)。2026年8月29日に公式サイトにて確認。金利は毎月改定されるため、実行予定月の金利は公式サイトでご確認ください。 | ||
まず押さえたいのが、融資率(住宅の建設費・購入価額に対する借入額の割合)が9割を超えるかどうかで金利が0.110%変わる点です。3,000万円の物件で自己資金を300万円用意できるかどうか、という分岐がそのまま金利に効いてきます。
団信は保障の種類で上乗せがあります。デュエット(夫婦連生団信)は掲載金利+0.18%、3大疾病付機構団信は+0.24%。健康上の理由などで団信に加入しない場合は掲載金利から−0.20%になりますが、その分の保障はなくなります。金利だけを見て団信なしを選ぶ判断は、遺族に残る負担とセットで考える必要があります。
兵庫県の窓口で本当に違うのは「手数料の方式」
兵庫県内でフラット35(機構買取型)を取り扱う代表的な窓口の、融資事務手数料を公式資料で確認すると次のようになっています。みなと銀行も但馬銀行も、定額型と定率型を選べる形になっているのが特徴です。
| 窓口 | 融資事務手数料(税込) | 公式資料で確認できるポイント |
|---|---|---|
| みなと銀行 みなと機構提携型住宅ローン「フラット35」 | A方式 33,000円 または B方式 融資額×1.10% (いずれかを選択) | 保証料・保証人不要/繰上返済手数料は不要/選ぶ方式によって適用金利が異なると明記 |
| 但馬銀行 たんぎん固定金利住宅ローン フラット35 | 定額方式 55,000円 または 定率方式 融資額×2.20% (いずれかを選択) | 繰上返済手数料・返済条件変更手数料は不要 |
| SBIアルヒ(旧ARUHI) フラット35 | 融資額×2.20% (最低220,000円) | 2026年3月2日〜2027年3月31日にWeb申込+電子契約で借り入れた場合、1債権あたり33,000円の引き下げあり |
| ※みなと銀行は商品概要説明書(2021年10月15日現在)、但馬銀行は商品説明書(令和5年4月1日現在)、SBIアルヒは公式サイトの記載にもとづきます。手数料・キャンペーンは改定されることがあるため、申込前に各社公式サイトで最新の内容をご確認ください。 | ||
ここで見落とされがちなのが、「安い手数料を選べば得」とは限らないことです。みなと銀行の商品概要説明書には、手数料の方式(A方式・B方式)によって適用される融資利率が異なると明記されています。定額型は初期費用こそ安く済みますが、その分だけ金利が高く設定されるのが一般的な設計です。
借入額が増えるほど、方式の差は広がる
公表されている料率をそのまま当てはめると、融資事務手数料は借入額に応じて次のように開きます。

| 借入額 | 定額 33,000円 | 定率 1.10% | 定率 2.20% |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 33,000円 | 220,000円 | 440,000円 |
| 3,000万円 | 33,000円 | 330,000円 | 660,000円 |
| 4,000万円 | 33,000円 | 440,000円 | 880,000円 |
| 5,000万円 | 33,000円 | 550,000円 | 1,100,000円 |
| ※各方式の料率(税込)を借入額に当てはめた金額です。実際に適用される方式・料率・下限額は窓口によって異なります。 | |||
3,000万円を借りる場合、定率2.20%なら66万円、定率1.10%なら33万円、定額なら3.3万円。手数料は原則として現金で用意する初期費用なので、頭金や引っ越し費用と競合します。
一方で、金利の差は35年にわたって効き続けます。初期費用で数十万円を浮かせても、金利が高い方式を選べば総返済額で逆転することがある——これが、フラット35の窓口選びで最初に確認すべきトレードオフです。どちらの方式を選ぶと金利が何%になるのかは公表資料に載っていないことが多いため、「A方式・B方式それぞれの適用金利」を窓口に確認したうえで、初期費用+総返済額の合計で比べるのが唯一の確実な方法です。
総返済額のイメージをつかんでおく
当編集部が各金融機関の公式サイトで実測した2026年8月適用金利にもとづく試算では、フラット35(買取型・融資率9割以下・年3.290%)で3,000万円を35年借りた場合、毎月の返済額は120,364円、総返済額は約5,055万円となります(当編集部調べ・当社試算)。
※前提:元利均等・毎月返済のみ(ボーナス返済なし)、金利のみの試算で事務手数料・登記費用などの諸費用は含みません。月々返済額は円未満切り捨て、総返済額は月々返済額×回数の概算のため、金融機関の公式試算とは数円〜数十円のずれが生じることがあります。
ここに、上で見た66万円(定率2.20%)や33万円(定率1.10%)の事務手数料が別途乗ると考えると、総コストの全体像が見えてきます。金利表だけを眺めていると、この数十万円は視界に入りません。
兵庫の地方銀行を使うときに確認したい実務条件
地元の銀行でフラット35を借りる場合、金利や手数料の前にそもそも申し込めるかを確かめておくと無駄がありません。みなと銀行の商品概要説明書からは、次のような条件が読み取れます。
- 営業区域の要件:勤務地または(新)居住地、および担保物件が銀行の営業区域内にあることが条件とされています。兵庫県内に家を建てるつもりでも、勤務地が遠方の場合は事前の確認が要ります。
- 年齢の要件:申込時70歳未満・最終返済時80歳未満。返済期間は「15年以上35年以内」と「80歳−申込時年齢」の短いほうです。
- 借り換えのときの金利:みなと銀行では、借換融資は融資率にかかわらず「融資率9割以下」の金利が適用されると明記されています。借り換え検討者にとっては地味に効く条件です。
- 繰上返済の下限:一部繰上返済は原則100万円以上、インターネットサービス「住・My Note」からの申込なら10万円以上とされています。こまめに繰り上げたい人は、この下限の違いが使い勝手を分けます。
- 融資額の上限:フラット35そのものの融資限度額は1億2,000万円ですが、窓口ごとに独自の上限を設けている場合があります。高額の借入を予定しているなら、上限も窓口選びの条件になります。
※上記はみなと銀行の商品概要説明書(2021年10月15日現在)の記載にもとづきます。条件は改定されることがあるため、最新の内容は必ず公式サイト・窓口でご確認ください。
「メインバンクだから」で決める前に
兵庫県で個人の銀行取引のシェアが大きいのは三井住友銀行です。これは、県内で圧倒的な基盤を持っていた神戸銀行が同行の前身のひとつであることが背景にあります(神戸銀行と太陽銀行が合併して太陽神戸銀行となり、三井銀行との合併・さくら銀行を経て、2001年に住友銀行と合併して三井住友銀行に)。給与振込や住宅の購入相談を通じて、自然とメインバンクに住宅ローンの相談をする方が多いのも当然といえます。
ただし、普段の取引の便利さと、フラット35の窓口としての条件は別の話です。フラット35は債権が住宅金融支援機構に譲渡される仕組みで、資金交付後は取扱金融機関が機構から委託を受けて管理・回収を行います。つまり「借りたあとの付き合い」で差がつきにくい商品だからこそ、入口の金利と手数料方式で比べる意味があります。
どの金融機関がフラット35を扱っていて、金利と融資事務手数料がいくらなのかは、住宅金融支援機構の公式サイトで金融機関ごとに検索できます(最新の金利情報)。メインバンクを候補に残すにしても、まずはここで横並びの条件を確認してから相談に行くと、話が早く進みます。
自営業・転職直後の方にとってのフラット35
フラット35が幅広い層に選ばれてきた理由のひとつが、勤続年数や雇用形態を一律の条件にしていない点です。民間の住宅ローンでは勤続年数や正社員かどうかが重視されがちですが、フラット35では年収に占める年間返済額の割合(総返済負担率)が基準になります。目安は年収400万円未満で30%以内、年収400万円以上で35%以内です。
ただし、兵庫県の地方銀行を窓口にする場合は、属性よりも先に「営業区域の要件」で候補が絞られることがあります。転職して勤務地が県外になった直後の方などは、属性面では通っても区域の条件で対象外になることがあり得ます。属性に不安がある人ほど、地銀と全国展開の専門金融機関の両方を並行して候補に残しておくのが現実的です。
よくある質問
Q. 同じフラット35なのに、みなと銀行と但馬銀行で総額が変わるのはなぜですか?
A. 金利そのものは機構が公表する水準に集約されやすい一方、融資事務手数料の方式と料率は各金融機関が独自に設定しているためです。さらに、選んだ手数料方式によって適用金利も変わります。同じ商品名でも「手数料方式×適用金利」の組み合わせが窓口ごとに違う、と考えてください。
Q. 手数料は定額方式を選んでおけば安心ですか?
A. 初期費用は確実に軽くなりますが、定額方式は適用金利が高く設定されるのが一般的です。借入額が小さく返済期間も短いほど定額方式が有利になりやすく、借入額が大きく35年で借りるほど不利になりやすい傾向があります。両方式の適用金利を窓口で聞いたうえで、手数料と総返済額の合計で比べてください。
Q. 自己資金が1割に届きません。どのくらい不利になりますか?
A. 2026年8月の金利でいえば、融資率9割以下が年3.290%、9割超が年3.400%で0.110%の差です。頭金をあと少し足せば9割以下に収まるケースでは、その差額を用意する価値があるかを計算してみる意味があります。
Q. 借り換えでも融資率9割超の高いほうの金利になりますか?
A. 窓口によって扱いが異なります。たとえばみなと銀行は、商品概要説明書で借換融資は融資率にかかわらず「融資率9割以下」の金利を適用するとしています。借り換えを検討している方は、この点を必ず窓口に確認してください。
Q. フラット35の金利は申込時に決まりますか?
A. 決まりません。資金を受け取る月(融資実行月)の金利が適用されます。金利が動いている局面では、申込時と実行時で条件が変わり得る点に注意が必要です。
まとめ:兵庫県では「手数料方式×適用金利」で比べる
兵庫県でフラット35を選ぶときの結論はシンプルです。金利表だけを見ても差は出ません。融資事務手数料の方式(定額か定率か)と、その方式を選んだときの適用金利をセットで確認し、初期費用+総返済額の合計で比べる——これに尽きます。みなと銀行と但馬銀行はどちらも方式を選べる形になっているため、同じ銀行の中でも選択次第で総コストが変わります。
また、全期間固定のフラット35だけが選択肢ではありません。保証料0円・一部繰上返済手数料0円で、一般団信に加えて全疾病保障付団信も上乗せ金利なしで選べるSBI新生銀行のように、変動金利や独自の長期固定を諸費用込みで比べたときに見え方が変わる商品もあります(事務取扱手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型)。金利が上昇している局面だからこそ、表面金利ではなく総支払額で冷静に見比べておきたいところです。
※本記事の金利・手数料は2026年8月時点で各公式サイト・公式資料にて確認した内容です。条件は改定されることがあるため、最新の情報は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。
