

この記事では、フラット35を提供する独立行政法人・住宅金融支援機構が毎月発行している「住宅金融支援機構債券」の利率を手がかりに、翌月の「フラット35」の金利がどう決まるのかを解説します。あわせて、同じフラット35でも申込先によって差がつく融資事務手数料まで含めた「総コスト」の比べ方も整理しました。
なお、フラット35は申込時点ではなく契約(融資実行)時点の金利が適用されます。申込から契約まで時間がかかる場合もあるので、住宅ローンの借り入れや借り換えを考えている人は早めに申込手続きを進めておくようにしましょう。
フラット35の金利の仕組みに入る前に、フラット35そのものの仕組みを簡単に解説しておきます。仕組みよりも金利の決まり方を知りたいという人はこちらまで読み飛ばしてください。また、姉妹サイトのフラット35の金利動向の解説記事も合わせて参照してください。
「フラット35」の金利はどう決まる?
「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している長期固定金利タイプの住宅ローンです。住宅金融支援機構は幅広い国民が優良な住環境を手に入れることを目的の1つに掲げており、民間銀行の住宅ローンよりも審査に通りやすい傾向もあります。
フラット35という住宅ローンそのものを提供しているのは住宅金融支援機構で、銀行などの民間の金融機関は販売や窓口業務の役割を担っています。そのため、フラット35の基本的な商品性はどの金融機関を経由しても変わりません。
また、住宅金融支援機構は、民間の金融機関から住宅ローン(フラット35)の債権を買い取り、それを担保とした証券(債券)を投資家に販売して、フラット35を貸し出すための資金を調達しています。

フラット35の貸出利息の中から投資家に債券の利払いをする仕組みになっているため、この債券の利率とフラット35の金利は連動して推移します。いいかえると、機構にとっての「仕入れコスト」が機構債の利率で、そこに機構の利ざやを乗せたものが私たちの借りる金利、という関係です。つまり翌月の「フラット35」の金利は、毎月中旬に条件が決まるこの「住宅金融支援機構債券(機構債)の表面利率」を確認することで、おおよそ見通せるというわけです。
機構債の条件はいつ決まる?金利を先読みするカレンダー
機構債は毎月1本ずつ発行され、条件決定(表面利率が決まる日)は毎月中旬、発行はその月の下旬というサイクルで回っています。そして、その機構債で調達した資金が原資になるのが翌月に資金を受け取るフラット35です。住宅金融支援機構が公表している発行計画(2026年7月17日更新)では、第232回債の条件決定は2026年8月中旬・発行は8月下旬、第233回債は2026年9月の発行が予定されています。
つまり、9月に融資実行を予定している人は、8月中旬に決まる機構債の利率を見ておくと、9月の金利がどちらに動きそうかを早めに把握できます。毎月のフラット35の金利そのものは、月初(多くは1営業日目)に機構の公式サイトで公表されます。
住宅金融支援機構債券の利率と金利推移(2019〜2023年の記録)
下表は、2019〜2023年にかけての住宅金融支援機構債券の利率とフラット35の金利(自己資金10%以上・団信に加入しない場合)の推移の記録です。金利の動き方(機構債の利率と連動していること)を確認する参考としてご覧ください。直近の金利水準は上部の最新金利ボックスと公式サイトをご確認ください。
| 月次 | 住宅金融支援機構債券 利率 | フラット35の金利 (自己資金10%以上) | |
|---|---|---|---|
| フラット20 | フラット35 | ||
| 2019年8月 | 0.21% | 0.910% | 0.970% |
| 2019年12月 | 0.26% | 0.960% | 1.010% |
| 2020年4月 | 0.36% | 1.030% | 1.100% |
| 2020年10月 | 0.35% | 1.010% | 1.100% |
| 2021年3月 | 0.41% | 1.060% | 1.150% |
| 2021年8月 | 0.31% | 0.950% | 1.080% |
| 2022年3月 | 0.48% | 1.110% | 1.230% |
| 2022年9月 | 0.58% | 1.190% | 1.320% |
| 2022年12月 | 0.76% | 1.290% | 1.450% |
| 2023年1月 | 1.020% | 1.510% | 1.670% |
| 2023年3月 | 1.090% | 1.600% | 1.760% |
| 2023年6月 | 0.960% | 1.130% | 1.560% |
| 2023年7月(当時の予想) | 0.940% | 1.110% | 1.540% |
※上記は団信に加入しない場合の金利です。団信に加入する場合、上記の金利に0.2%の金利が上乗せになります(抜粋・当時の記録)。
「フラット35」の金利は機構債の利率で見通せる
上の表からもわかるように、住宅金融支援機構債券の利率が上がればフラット35の金利も上がり、下がれば金利も下がる、という連動関係があります。2019〜2021年は機構債の利率が0.2〜0.4%前後で推移し、フラット35(21〜35年)はおおむね1.0〜1.2%台でした。その後、2022年以降は世界的な金利上昇を背景に機構債の利率も上昇し、フラット35の金利も切り上がっていきました。
直近の例で確かめてみましょう。住宅ローン専門メディアのダイヤモンド不動産研究所によると、2026年7月17日に条件が決まった第231回債の表面利率は年3.320%でした。これを受けた2026年8月のフラット35(21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)の最も多い金利は年3.290%で、前月の年3.140%から0.150%の上昇となっています。機構債の利率とほぼ同じ水準に着地しており、「機構債が上がった月はフラット35も上がる」という関係が足元でも働いていることがわかります。
フラット35は長期固定金利のため、いま借りる場合は返済期間を通じて金利が変わらない安心感と、足元の金利水準の高さの両方をふまえて検討することが大切です。なお、フラット35は団信に加入しない場合は掲載金利から0.20%引き下げ、ペアで加入するデュエットは+0.18%、新3大疾病付機構団信は+0.24%と、選ぶ団信によっても適用金利が変わります(住宅金融支援機構の注記)。最新の適用金利は必ず公式サイトでご確認ください。
「フラット35」はどこで申し込んでも同じではない
「フラット35」を利用するときに注意したいのは、どこで借り入れても同じではないという点です。商品性は共通でも、金利は取扱金融機関ごとに決められており、融資事務手数料にいたっては倍近い差がつくこともあります。つまり比べるべきなのは金利だけではなく、「金利+融資事務手数料」の総コストです。
下の表は、フラット35の取扱いが多い3社の融資事務手数料を並べたものです(2026年8月時点・各社公式サイトにて確認)。手数料の設定は「借入額×◯%」の定率型が主流のため、借入額が大きいほど差が金額で効いてきます。
| 金融機関 | フラット35の融資事務手数料(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| SBIアルヒ | 借入額×2.20%(最低22万円) | Web申込+電子契約で1債権あたり33,000円の定額引き(2026年3月2日〜2027年3月31日の申込分) |
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | 借入額×2.20%(最低11万円) | 買取型。全疾病保障を付帯する場合は+0.55% |
| 楽天銀行 | 新規は借入額×1.10%(最低110,000円)/借り換えは借入額×0.990%(最低165,000円) | 返済口座を楽天銀行に指定した場合。他行口座を指定するといずれも1.430% |

たとえば3,000万円を新規で借りる場合、手数料率2.20%なら66万円、1.10%なら33万円で、その差は33万円。金利に換算すればごくわずかな差でも、契約時にまとめて現金で支払う費用としては小さくありません。一方で、手数料が安い代わりに金利がやや高い、返済口座の指定が条件、といったケースもあるため、「金利」と「事務手数料」はセットで比較するのが鉄則です。
一番良いのは「最低水準の金利」と「低い事務手数料」の両方を実現している金融機関ですが、両方を満たす金融機関は多くありません。まずは「最低水準の金利」を提供していることを条件に選び、そのうえで事務手数料や付帯サービスで比較検討して絞り込んでいくことをおすすめします。
フラット35を考える場合、候補に入れておきたいのがフラット35最大手のSBIアルヒです。SBIアルヒはフラット35の実行件数シェアで2025年度に27.7%を占め、16年連続でNo.1となっており、フラット35を利用する人の4人に1人以上がSBIアルヒで申し込んでいる計算になります。
※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
「フラット35」はSBIアルヒが有力な選択肢
16年連続で「フラット35」の貸出実績No.1を誇るSBIアルヒは、フラット35を検討するうえで有力な選択肢の1つです。
「フラット35」はトップクラスの低金利
「フラット35」を提供する金融機関のなかでも最低水準の金利で借りられます。
対面で相談が可能
全国の店舗で住宅ローンの専門家に相談できます(拠点数は約90拠点・2026年3月末現在)。
【事務手数料について(重要)】SBIアルヒのフラット35の融資事務手数料は、借入額×2.20%(税込・最低22万円)が基本です。かつて案内していた「Web申込・電子契約で1.10%(半額)」という割引は現在は行われていません。2026年時点では、Web申込+電子契約による割引は1債権あたり33,000円の定額引き(2026年3月2日〜2027年3月31日の申込分)となっています。事務手数料の最新の内容は必ずSBIアルヒ公式サイトでご確認ください。
また、自己資金に余裕がある方は、借入額に対する自己資金の割合に応じて金利優遇が受けられる「スーパーフラット」という独自商品も提供していますので、あわせてチェックしておくとよいでしょう。
機構債に左右されない選択肢=民間の長期固定も比べておく
ここまで見てきたとおり、フラット35の金利は機構債の利率、つまり長期の市場金利で動きます。一方、民間金融機関の長期固定・当初固定型も同じく長期金利の影響を受けますが、金利の決め方も諸費用の構成も各行がそれぞれ決めているため、フラット35と横並びで比べておく価値があります。
たとえばSBI新生銀行は、融資事務手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型で保証料は0円、一部繰上返済手数料も0円と、諸費用の内訳がシンプルにまとまっています。団信は一般団信のほか、2026年3月に取扱いを開始した全疾病保障付団信も上乗せ0円で選べます。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、初めて住宅ローンを組む人には心強いところです。(最新の金利・団信・手数料の条件はSBI新生銀行の公式サイトでご確認ください。)
フラット35の金利についてよくある質問
Q. 機構債の利率が下がれば、翌月のフラット35の金利は必ず下がりますか?
A. 方向はおおむね一致しますが、下げ幅・上げ幅までは一致しません。住宅金融支援機構は公的な役割を担っているため、市場金利が急に動いた月でも貸出金利の変動を緩やかにする調整が入ることがあります。機構債の利率は「翌月の方向性を読むための材料」と考え、確定した金利は毎月の公表を待つのが確実です。
Q. 金利はいつの時点のものが適用されますか?
A. 申込時ではなく、資金を受け取る(融資実行)月の金利が適用されます。新築マンションなど引き渡しまで期間が空くケースでは、申込時に見ていた金利と実行時の金利が変わることがあります。金利上昇局面では、実行月が後ろにずれるほど負担が増える可能性がある点は資金計画に織り込んでおきましょう。
Q. 団信に入らないと金利はどれくらい下がりますか?
A. 住宅金融支援機構の注記によると、新機構団信に加入しない場合は掲載金利から0.20%引き下げられます。ただし団信を外すと、万一のときにローンが残る点は民間の生命保険などで別途カバーする必要があります。目先の金利だけで判断せず、保険料を含めた総額で比べてください。
Q. 融資率が9割を超えると、どれくらい金利が違いますか?
A. 2026年8月の例では、借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きで融資率9割以下が年3.290%、9割超が年3.400%と、0.110%の差がついています。自己資金を1割用意できるかどうかで適用金利が変わるため、頭金と手元資金のバランスは早い段階で検討しておくとよいでしょう。
Q. 同じフラット35なのに、金融機関で金利が違うのはなぜですか?
A. フラット35の借入金利は取扱金融機関がそれぞれ決めているためです。機構が公表しているのは「取扱金融機関が提供する金利の範囲」と「最も多い金利」で、実際の適用金利は申込先によって幅があります。融資事務手数料の設定も各社が決めているので、金利と手数料の両方で比較するのが確実です。
