住宅ローンで備えなければならないリスクはどんなことでしょうか。
どんなリスクがあるのかを把握して住宅ローンを選んでおけば、いざというときにそのリスクに備えておくことができるかもしれません。30年以上もの長期の返済が続く住宅ローンですから、その間にはいろいろなことが考えられます。
変動金利で借りた場合には金利上昇リスクがありますし、返済期間中の病気やけが、勤めていた会社が倒産してしまうといった事も考えられます。
今回はリスクごとに対応策を考えてみましょう。
金利上昇リスク
全期間固定金利以外の住宅ローンでは、金利の上昇リスクを考えておく必要があります。
中でも住宅ローンを借りる人の半数が利用する変動金利型の住宅ローンは文字通り金利が変動する代わりに低い金利で借り入れが可能な金利タイプです。
変動金利型住宅ローンは金利が下降すれば返済額は減りますが、上昇した場合には返済額が増えてしまいます。マイナス金利の影響から住宅ローンは低金利を維持しているため、変動金利で住宅ローンを借り入れる方が更に多くなっているようです。
返済期間が30年を超える長期間では、金利が上昇する局面も考えれます。
そのタイミングとしてまず考えられるのが「金融緩和の終了時」です。この時にどうするのかを予め想定して備えておくべきです。
今の住宅ローンの低金利は日銀による金融緩和の影響によるものです。
当然緩和が終了すれば金利は徐々に上昇することになります。しかしその終了のタイミングがわかれば、借り換えなどの対策を行うことが可能ですね。
日銀が金融緩和の目標としているのは「消費者物価指数(CPI)2%」です。つまりこの消費者物価指数(CPI)を見れば終了の時期がわかることになります。
最新の消費者物価指数(CPI)は1%にも満たない▲0.2%(2020年5月生鮮食品を除く総合)と目標にはまだまだ遠く、今後も緩和を継続していく必要がありすぐに金利が上昇することはなさそうです。
このことから数年は金融緩和により住宅ローン金利が低い状態が継続するでしょう。
その住宅ローン金利が上昇するきっかけは日銀が目標としている消費者物価指数(CPI)2%です。
この2%付近まで上昇してくることがあれば金融緩和の終了が見えてきます。金利の上昇に対応するためにこの数字を確認してくおけば、金利が上る前に固定金利に借り換えるなど対策を行えますね。
収入減少・支出増大リスク
一時期の景気の底は抜けた感はありますが、それでもまだ景気が良くなっていると実感できる方はそれほど多くないと思います。
物価は上がっているのに賃金の上昇が追いついていないことが要因の1つでしょう。
リーマンショック時のような「ボーナスの支給額が減ってしまった」「残業代がカットされ月給が減った」ということは少なくなっていると思いますが、月々の返済額の負担が大きい住宅ローンを組んでしまうと、収入が減った場合に返済が困難になってしまうことも考えられます。
よく言われるのは返済可能額は収入の25%までと言われています。
無理のない返済額で住宅ローンを組むことが破綻のリスクを減らすことにつながります。
また、最近では、低金利の影響もあり予定よりも借りすぎてしまうと言ったこともよく聞きます。借りれる額が返済可能な額ではないこと意識しておきましょう。
また住宅ローンは長期の返済が続きます。数十年という返済期間では、子供が大きくなれば出費も増えますし、親の介護費用も必要になるかもしれません。
また、病気やケガで働けなることもあるかもしれません。そうなってしまっても住宅ローンの返済は待ってはくれません。万が一のことを考え、手元にある程度の現金を残しておくことや、団信だけでなく疾病保障付団信に入っておくことが重要です。
最近では、無料の疾病保障付住宅ローンが人気を集めています。
病気やけがのリスク
住宅ローンを利用する年代で一番多いのは30代です。
30代から最長で35年間返済を行うわけですからその間に病気になることも考えられます。
糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病をもつ人の割合は40歳以降男女ともに増加しますし、病気に対するリスクを考えておくべきでしょう。
今の住宅ローンを借りるには団信への加入が必須ですが、団信は死亡時または所定の高度機能障害、余命6ヶ月いないと判断された場合に残りの住宅ローン残高を保障してくれますが、それ以外にも疾病保障を用意している住宅ローンがほとんどです。
がんのみを対象にしたもの、3大疾病、8大疾病を対象にしたもの、病気だけでなくけがまで対象にした全疾病保障といったものまで内容は様々ですが、基本的には金利に0.2%程度を上乗せする形で付帯できる仕組みになっています。
しかし今の住宅ローンはこの疾病保障が無料で、金利上乗せなしで付帯できるものがスタンダードとなっています。
生命保険などでこういった万が一の事態に備えることできますが、住宅ローンを借りると無料でついてくる保障で備えることができるならこれに越したことはありません。
こういった無料の疾病保障付きの住宅ローンを利用することで住宅ローン返済中の病気やけがのリスクに対応することができますね。
無料の疾病保障がついた住宅ローンを比較した下記の記事も参考にしてみてください。
離婚リスク
今の時代、3組に1組の夫婦が離婚すると言われるほど離婚率が高まっています。
夫婦共同名義で買った場合に、家は持分に応じて分けることはできないので所有権で争いが起きてしまうこともあるようです。
一番単純な方法は、家を売却して、売値から住宅ローンの残債を支払い残りを等分する方法ですが、一般的に家は購入直後に売却したとしても2割ほど値下がりしてしまいます。
売却の際に住宅ローンの残債を残さないためには頭金を2割程度用意しておくことで解決できるでしょう。
また住宅ローンの契約者が夫で妻に名義を変更する場合は、変更前の夫名義での住宅ローンを完済しなければ変更できません。
妻が残りの住宅ローンを借り入れできる収入があれば名義変更は簡単に行なえますが、専業主婦やパート勤務では住宅ローンの借入れが難しいため、離婚に際して問題となってしまいます。
転勤リスク
サラリーマンの場合、念願の家を購入しても転勤によって住み続けることができなくなってしまうこともあります。
その場合、思い切って売ってしまうケースと賃貸物件として貸すケースが考えられます。
売却する場合には築年数が浅いうちは買い手が早く見つかるかもしれませんし、当然売ってしまえば再び住むことはできません。また売却して住宅ローンの残債を払っても不足した場合には返済が続くことになります。
貸す場合には家賃収入で住宅ローンの返済が可能ですし、転勤から戻って来た時には再び住むことができます。
しかし借り手がつかなかれば家賃収入は得られませんし、家賃収入だけでは家の維持費や固定資産税の支払いまでは賄えないといったリスクがあります。
災害リスク
日本では、震度6以上の大きな地震が年間10回程起きています。地震や災害を考えると家の購入を躊躇ってしまう方も少なからずいるのではないでそしょうか。
災害が起きて家が全壊してしまった場合に考えなければならないことは、家が無くなっても住宅ローンは無くならないことです。家を立て直すのに新たに住宅ローンを借り入れる、とりあえず賃貸に入居する、といった場合に2重の居住費を支払うのは大きな負担です。
住宅ローンを借り入れる際には、火災保険の加入が必須ですが、加えて地震保険に加入しておくことをおすすめします。
火災保険では、地震・噴火・津波によって生じた火災による損害を免責事由として保障されません。地震保険は、被災した際に生活を再建する助けとなるものなのです。ローン残債が少ない方や貯蓄が充分な方以外は、万一に備えて加入しておいた方がいいでしょう。
住宅ローンのリスクまとめ
住宅ローンのリスクを上げてみましたがどうでしたか?
病気やけが、離婚や転勤・転職など住宅ローンを返済していなくても大変な状況になりそうなことばかりですが、更に住宅ローンの返済を継続していかなければならないとなればやはり事前に備えておくことが必要です。
こういった万が一のことが起きても貯蓄があれば体制を立て直すまで時間が稼げるため、返済を行いつつ貯蓄を行うことが非常に大切です。
そのためには高すぎる物件ではなく余裕を持って返済できる金額の物件を購入することが重要ですね。