歴史的な低金利となっている全期間固定型住宅ローンの「フラット35」。
今の低金利で返済終了まで金利が固定されるのは大きなメリットで魅力的だと思うのですが、実は住宅ローンを借入れている方で「フラット35」を選んでいる方はかなり少ないのが現状です。
2017年に住宅ローンを借りた方のデータみても、60%以上が変動金利で借入れていて、「フラット35」などの全期間固定金利での借入れは6%にも満たない割合となっています。
この利用者の少なさに影響されたのか、2019年10月から「フラット35」の制度が変更になります。
改悪か改善か、その変更の内容を確認しておきましょう。
「フラット35」での借入を検討している方は要チェックです。
目次
「フラット35」の制度変更の内容は?
さっそく「フラット35」の制度変更の内容を確認していきましょう。
利用者にはプラスにある変更のようです。
「フラット35」の制度変更 その1 地域活性型の対象を拡充
「フラット35」には地域活性型
住宅金融支援機構と地方公共団体が協力して提供している「地域活性型」の商品があります。
この地域活性型の「フラット35」は借入開始から決められた年数の金利優遇を受けられます。より低い金利で「フラット35」を利用できる制度です。
今回の制度変更で、この地域活性型に新たに対象となる事業が加わります。
地域活性型の対象となる事業よその内容をみてみましょう。
「フラット35」の地域活性型 | |||
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事業 | 優遇の条件 | 金利優遇 | 金利優遇後の金利 |
UIターン | UIターンをきっかけに地方へ移住・定住する方が、 住宅を取得する際に地方公共団体の補助金等の 交付を受けられる場合 | 当初5年間 マイナス0.3% | 当初5年間 0.870% |
コンパクトシティ形成 | 居住誘導区域外から居住誘導区域内に移住する際に 住宅を取得する場合 | ||
空き家活用 | 空き家バンク に登録されている住宅を取得する場合 | ||
New! 防災対策 | 克雪住宅や雨水浸透施設などの防災・減災対策が 講じられた住宅を建設する場合 | ||
New! 地方移住支援 | 移住支援金(東京23区から東京圏外へ移住し都道府県が 指定する中小企業に就業した方などに対する交付金)を 受ける方が移住先で住宅を建設または購入する場合 | 当初10年間 マイナス0.3% | 当初10年間 0.870% |
大雨のニュースが度々話題になりますが、そういった雨水や雪から家を守るための防災・減災対策と、東京から地方に移住し就業した方を支援する地方移住支援が、10月から地域活性型に新たに加わります。
この金利優遇を適用し3,000万円を借入れた場合、5年の優遇で471,914円、10年の優遇で859,718円返済額を減らすことができます。
条件に当てはまる人はこの優遇を活用しましょう。
「フラット35」の制度変更 その2 建設費・購入価額の上限が制限なしに
これまで融資限度額は8,000万円、さらに融資対象となる住宅の建設費についても制限があり、これまでは1億円を上限としていましたが、この上限が撤廃されます。
1億円以上の住宅の購入に「フラット35」を活用したいという方には朗報です。
ただし、融資度額は8,000万円までと変更がないため、2,000万円以上を手持ちで用意する必要があります。
「フラット35」の制度変更 その3 買取型の融資率9割超の金利を引き下げ
「フラット35」は融資率により金利優遇されています。
当サイトで”「フラット35」の金利”としてお伝えしているのは、「フラット35」の買取型の融資率90%以内の金利です。
要するに普通の「フラット35」です。
この普通の「フラット35」では、融資率90%以上の金利は融資率90%以内よりも高く設定されていて、これまでは0.44%上乗せされていました。
融資率とは、住宅の購入価格または建築費にしめる「フラット35」の借入額のことです。手持ちで1割の現金があれば用意するとこれまでは大幅に低い金利で借り入れることができました。
その融資率90%以上の金利上乗せ幅をこれまでの0.44%から0.26%に10月からは引下げになります。
金利引下げのイメージ | |||
---|---|---|---|
融資率 | 2019年9月まで | 2019年10月から | 変更点 |
融資率90%以内 | 1.170% | 1.170% | なし |
融資率90%以上 | 1.610% | 1.430% | New! マイナス0.18% |
上乗せ幅が0.26%に下がったとは言え、融資率90%以上の金利がいかに高いか、このイメージをみるとわかると思います。
金利も違いますし、借入額が少なくなることで月々の返済や返済総額にも大きな差が出ます。
上乗せ幅の引下げに関係なく、「フラット35」を利用するときは手持ちで住宅の購入価格または建築費の1割以上を用意することを強くおすすめします。
「フラット35」の制度変更 その4 「フラット50」の融資率上限などを引き上げ
最長50年の全期間固定金利「フラット50」の融資率の上限や融資限度額が、10月の制度変更で引上げになります。
- 融資率の上限:6割 → 9割へ引上げ
- 融資限度額:6,000万円 → 8,000万円へ引上げ
「フラット35」の制度変更の適用は?
これまでまとめた制度変更は10月以降に適用されます。
それぞれ10月の借入れ申込と10月の融資の実行の2つのタイミングで変更になります。
制度変更の適用 | |
---|---|
その1 地域活性型の対象を拡充 | 10月1日以降の申込み分から変更 |
その2 建設費・購入価額の上限が制限なしに | 10月1日以降の申込み分から変更 |
その3 買取型の融資率9割超の金利を引き下げ | 10月1日以降の融資の実行分から |
その4 「フラット50」の融資率上限などを引き上げ | 10月1日以降の融資の実行分から |
「フラット35」の制度変更のまとめ
多くの人に関係があるのが、その3 買取型の融資率9割超の金利を引き下げです。
ただし、先程も書きましたが、融資率90%以上の金利と90%以内の金利の差が小さくなったとは言え、「フラット35」を利用するなら絶対に購入する物件価格の1割以上を用意して融資率90%以内で借入れましょう。
「フラット35」は契約から返済終了まで金利が変わらないのがメリットですが、わざわざ高い金利で固定してしまうと返済額が大きく増えてしまいます。
3,000万円の住宅を購入する場合をシミュレーションしてみましょう。
返済率90%以内と90%以上の返済額の差 | ||
---|---|---|
融資率 | 融資率90%以内 | 融資率90%以上 |
借入れ額 | 2,700万円 | 3,000万円 |
金利 | 1.170% | 1.430% |
返済総額 | 32,917,275円 | 38,148,442円 |
月々の返済額 | 78,375円 | 90,830円 |
3,000万円の住宅を購入する場合、融資率90%以内であれば借入額は2,700万円と少ないこともあり、返済総額と月々の返済額には大きな差ができることがわかります。
自分で用意した購入費用の1割の300万円を差し引いでも、返済総額では200万円以上も融資率90%以内の方が返済額が少なくなります。
「フラット35」は少しでも金利の低いときや条件で借り入れることが鉄則ということになります。
「フラット35」で借入れを行う方は覚えておきましょう。
・「フラット35」の金利はどうなる?金利の動向と予想
・「フラット35」金利比較ランキング
・「フラット35」から「フラット35」への借り換えでいくらお得?
・楽天銀行の住宅ローン「フラット35」の落とし穴とデメリット
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・借り換えで大人気の「フラット35」 楽天銀行とARUHIの「金利・事務手数料」を比較