住宅ローンの借り換えを検討して家計を見直す夫婦のイメージ

かつては金融緩和が長く続き、住宅ローン金利は史上最低水準で推移していました。しかし日本銀行は2024年にマイナス金利を解除し、その後も段階的に利上げを進め、2026年6月には政策金利を1.0%程度まで引き上げています(2026年7月末の金融政策決定会合は据え置き)。固定金利の代表である【フラット35】(買取型)も上昇が続き、2026年8月資金受取分の最も多い金利は年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)となっています(出典:住宅金融支援機構)。金利が動き始めた今こそ、すでに借りている住宅ローンの「借り換え」で見直せる余地がないかを点検する価値があります。

住宅ローンは「マイホームの価格」「良い物件との出会い」など複雑な条件がそろって初めて借りるものなので、金利が低い・高いだけで新規の借入が決まるわけではありません。

 

一方、借り換えは事情が異なります。「すでに住宅ローンを借りている」「今より条件の良い住宅ローンに乗り換える」という話なので、商品性や金利・諸費用を比較するだけで検討を進められます。

 

この記事では、実際に借り換えを行った人がどのくらいの金利差で乗り換えていたのかという調査データを紹介し、そのうえで金利が上がり始めた現在、何をどう見て判断すればよいのかを整理します。

 

いまは「金利が上がる側」に動いている局面

借り換えの話に入る前に、足元の地合いを押さえておきましょう。当編集部が2026年8月4日に14の金融機関・機関の公式金利ページを実際に開いて確認し、127件(銀行×商品×借入区分×金利タイプ×固定期間×融資率の組み合わせ)を集計したところ、前月と比較できた127件のうち102件が引き上げ、23件が据え置き、2件が引き下げでした(当社調べ・2026年8月4日確認)。

2026年8月の住宅ローン金利の前月比内訳を示す棒グラフ。引き上げ102件、据え置き23件、引き下げ2件
当編集部が2026年8月4日に14の金融機関・機関の公式金利ページを確認して集計(銀行×商品×借入区分×金利タイプ×固定期間×融資率の組み合わせ127件)。銀行数ではありません。

内訳を金利タイプ別に見ると、変動金利は27件のうち23件が据え置きだった一方、固定10年・固定20年前後・固定35年前後・フラット35は実測したほぼ全件が引き上げでした。つまり「まだ変動は動いていないが、固定はすでに上がっている」というのが2026年8月時点の姿です。

※上の件数は「銀行の数」ではなく組み合わせの件数です(フラット35・フラット50は住宅金融支援機構の同じ金利を取扱金融機関ごとに1件として数えているため、実質は機構の1回の改定が複数件に反映されます)。市場全体の統計ではなく、あくまで当編集部が確認した範囲の集計としてご覧ください。

 

この局面での借り換えは、「金利が下がったから乗り換える」ではなく「これから上がる分をどう抑えるか」という発想に変わります。以下のデータと判断軸は、その前提で読んでください。

 

借り換え経験者は金利差がどのくらいで借り換えた?

住宅ローン【フラット35】の借り換え経験者を分析! 借り換え前後の“金利差”について調査を実施 (産経ニュース)

アルヒ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長兼社長CEO兼COO:浜田宏)が、全期間固定金利型の住宅ローン【フラット35】の金利が過去最低を記録し続けている流れを受けて調査を実施しています。

調査対象はARUHIで【フラット35】を借り入れ、再度【フラット35】へ借り換えを行った527名を対象とし、それらの人に何パーセントの「金利差」で借り換えを行ったのか、借り入れ・借り換えそれぞれの金利を比較・分析し公表しています。

※上記は発表当時(2016年)の引用です。同社は現在SBIアルヒ株式会社に商号が変わっています。

調査期間が2012年12月〜2016年2月と古く、しかも当時は金利が下がり続けていた局面である点には注意が必要ですが、借り換えの「実際の金利差」の相場感をつかむうえでは今も参考になります。結果を見てみましょう。

調査概要(ARUHI調べ)

調査数:527名(借り換え2回目の方42名含む)
調査データ:ARUHIで【フラット35】を借り入れて、【フラット35】へ借り換えを行った方の成約データより
調査期間:2012年12月~2016年2月

借り換え時の金利差は?

一般的に、住宅ローンの借り換えは、

  1. ローン残債が1,000万円以上ある
  2. 返済期間が10年以上残っている
  3. 借りている金利と借り換えようとしている金利の差が1%以上ある

の3つの条件に当てはまるとメリットが出やすいと言われてきましたが、実際に借り換えた人はどの程度の金利差で動いていたのでしょうか。

 

この調査では、金利差0.5%以上で借り換えをした方が約8割という結果でした。内訳は、金利差「1.0%未満〜0.5%以上」が約61.9%ともっとも多く、次いで「0.5%未満〜0%以上」が約20.7%。借り換えまでの平均期間は約2.6年と、比較的短い期間で動いている人が多いこともわかります。

 

「借り換えのメリットは金利差1.0%以上から」と言われがちですが、当時の超低金利のもとでは、1.0%に満たない金利差でも借り換えに踏み切る人が多数派だったことが読み取れます。ただし、これはあくまで金利差だけに着目した目安です。実際の損得は、後述する諸費用(事務手数料など)を差し引いた『総額』で判断する必要があります。

 

借り換えを迷っている方は、各銀行の公式サイトで借り換えシミュレーションを試してみることをおすすめします。

 

>>住宅ローン借り換えの比較のポイント

金利差だけで決めない――諸費用を含めた『総額』で判断する

借り換えは金利を下げれば必ず得をする、というほど単純ではありません。借り換えには新たに事務手数料・保証料・登記費用・印紙税などの諸費用がかかり、これらを払ってもなお利息の減少分が上回って初めて「得」になります。とくに事務手数料は『借入額×2.20%(税込)』という定率型だと数十万円規模になり、借り換え効果を大きく左右します。

判断の目安を整理すると次のとおりです。

チェックする観点見るポイント備考
金利差現在の金利と借り換え後の金利の差0.5%以上が一つの目安。差が小さくても残債・残期間が大きければメリットが出ることも
ローン残債残っている元金の大きさ残債が大きいほど利息軽減額も大きい(目安は1,000万円以上)
残りの返済期間あと何年返済が残っているか長く残っているほど効果が出やすい(目安は10年以上)
諸費用(事務手数料等)事務手数料・保証料・登記費用・印紙税の合計定率型の事務手数料は借入額の2.20%(税込)が一般的。商品によっては申込方法で引き下げがある(例:SBIアルヒはWeb申込+電子契約で1債権あたり33,000円の引き下げ/2026年3月2日〜2027年3月31日)
団信・保障借り換え後の団信・疾病/がん保障の内容保障が手厚くなる・上乗せ金利が変わる場合があるため要確認
金利タイプの変更変動のまま/固定へ移すか2026年8月時点では固定金利が先行して上昇。固定へ移すと当面の返済額は増えるのが通常

金利が下がっても、諸費用がかさめば差し引きでメリットが小さくなることがあります。逆に金利差が小さくても、残債が大きく残期間が長ければ、諸費用を払っても十分に得になるケースがあります。必ず「総返済額+諸費用」のトータルで比べるのがポイントです。

 

【2026年8月時点】残高2,000万円・残り20年ならどう変わる?(当社試算)

「金利差◯%」だけではピンとこないので、金額に置き換えてみます。当編集部が2026年8月適用の各行公式金利を実測し、残高2,000万円・残り20年・元利均等・ボーナス返済なしで試算すると、次のようになります(当社試算・諸費用は含みません)。

借り換え先の例(2026年8月時点)実測金利月々返済額総返済額(概算)
SBI新生銀行/変動(SBIハイパー預金優遇)年0.990%91,889円約2,205万円
SBI新生銀行/変動(標準・借換)年1.080%92,694円約2,225万円
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)/WEB申込コース・変動年1.200%93,774円約2,251万円
PayPay銀行/変動年1.330%94,953円約2,279万円
【フラット20】(借入期間20年以下・融資率9割以下)年2.970%110,619円約2,655万円

ここで読み取ってほしいのは、変動どうしの差(年0.990%と年1.330%=金利差0.340%)で月々の差は約3,000円、20年間で約74万円という点です。事務手数料が定率型で借入額の2.20%(税込)なら2,000万円で44万円かかりますから、この程度の金利差では諸費用を引くと手残りが小さくなることがわかります。冒頭の調査で「0.5%以上」がひとつの目安とされていた理由がここにあります。

一方、変動から全期間固定へ移すと、月々の負担はいったん大きく増えます(上の例では年0.990%と年2.970%で月々の差は約1万8,700円)。それでも固定を選ぶ意味は「これ以上は上がらない」という確定にありますから、目先の得ではなく、返済額を確定させる価値をどう評価するかの判断になります。

※前提:元利均等返済・ボーナス返済なし・全期間金利一定の仮定による概算で、事務手数料などの諸費用・団信の上乗せは含みません。月々返済額は円未満切捨て、総返済額は月々×返済回数の概算のため、各金融機関の公式シミュレーターの結果とは数円〜数十円の差が出ることがあります。金利は毎月改定されるため、最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

固定期間終了時は借り換えのチャンス

金利タイプの一つである「当初固定金利タイプ」の多くは、固定期間が終了すると金利の優遇幅が縮小し、金利が上がる仕組みです。当初の固定期間が終わる前に、繰上返済を進めるか、借り換えを検討しておきましょう。

 

10年固定など固定期間選択型のなかには、固定期間終了後に金利が大きく上がるケースもあります。とくに2026年8月時点では固定金利そのものが上昇しているため、「10年前と同じ条件で組み直せる」とは限りません。金利上昇局面では負担増が読みにくくなるので、固定期間の終了が近い方はとくに早めに見直しておきましょう。

 

借り換えでどの金利タイプにする?

借り換え時にどの金利タイプを選ぶかは悩みどころです。フラット35などの全期間固定金利は、将来金利が上がっても返済額が変わらない安心感がメリットですが、2026年8月時点では固定金利そのものが上昇しており、【フラット35】(買取型)の最も多い金利は年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)まで上がっています(出典:住宅金融支援機構)。返済期間20年以下の【フラット20】なら年2.970%、36年以上50年以下の【フラット50】は年3.500%と、期間や融資率によって金利が違う点も見落とせません。

一方、変動金利は依然として低い水準にありますが、日銀の利上げ(2026年6月に政策金利1.0%程度)を受け、今後の見直しで上昇する可能性があります。実際、当編集部の実測でも2026年8月に変動金利を引き上げた金融機関が複数ありました。かつてのように「急激な金利上昇はほぼ起こらない」とは言いにくい局面に変わっている点に注意が必要です。

そのため、借り換え時の金利タイプは「変動の低さ」だけで決めず、金利が上がったときに返済を続けられるかどうか(リスク許容度)もあわせて判断しましょう。返済額の確定を最優先するなら固定、当面の金利の低さを取るなら変動、と一長一短があります。最新の金利動向は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

借り換え先として検討したい住宅ローン

当サイトの借り換えランキングでは、金利だけでなく、事務手数料などの諸費用、無料の疾病保障なども含めて総合的に評価しています。


PayPay銀行

PayPay銀行の住宅ローンは、変動金利(全期間引下型)が新規・借換とも年1.330%(2026年8月時点)で、新規と借り換えで金利が変わらない分かりやすさが特徴です。がん保障を手厚くしたい場合は上乗せ金利が必要(がん50%保障は年0.1%、がん100%保障は年0.15%の上乗せ)なので、保障をどこまで付けるかで実質的な負担が変わる点まで含めて比べてください。

PayPay銀行の住宅ローンを詳しく分析したこちらの記事も参考にしてみてください。
>>PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の住宅ローン 金利や諸費用・評判、メリット・デメリットを解説

 

SBI新生銀行

諸費用のわかりやすさで選ぶなら、SBI新生銀行も借り換え先の有力な選択肢です。保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)・一般団信は上乗せ0円で、がん団信や全疾病保障付団信(上乗せ0円・2026年3月開始)も用意されています。事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型です。借り換えの変動金利は年1.080%、SBIハイパー預金の優遇を適用すると年0.990%(いずれも2026年8月時点)と、上の試算でも上位に入る水準でした。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応し、SBIグループとしての安心感もあります。総コストで比較するときに、金利だけでなく諸費用・保障まで含めてチェックしておきたい一行です。

 

借り換えで実際に返済額がどれくらい減るかは、シミュレーションで簡単に試算できます。気になる住宅ローンがあれば、まずは公式サイトのシミュレーターで「いくら減るか」を確かめてみましょう。

 

住宅ローン借り換えのよくある質問(FAQ)

Q. 金利差が1%なくても借り換えるメリットはありますか?
A. あります。「金利差1%以上」はあくまで目安で、ローン残債が大きく返済期間が長く残っていれば、金利差が0.5%程度でも諸費用を上回るメリットが出ることがあります。ただし上の試算のとおり、残高2,000万円・残り20年で金利差0.340%だと20年間の軽減は約74万円で、定率型の事務手数料44万円(2,000万円×2.20%・税込)を引くと手残りは限られます。最終的には「総返済額+諸費用」で比べて判断しましょう。

Q. 金利が上がっている今、借り換えを急いだほうがよいですか?
A. 「急ぐべき」と一律には言えません。2026年8月時点では固定金利が先行して上昇しているため、変動から固定へ移す借り換えは、以前より条件が厳しくなっているのが実情です。一方で、変動のまま金利の低い金融機関へ移す借り換えは、諸費用を上回る差があるかどうかがすべてです。今後の金利は誰にも断定できないので、「上がるかもしれないから」ではなく、いま出せる数字(軽減額と諸費用)で比べるのが確実です。

Q. 自営業や転職直後でも借り換えはできますか?
A. 借り換えも新規と同様に審査があり、収入の安定性や勤続年数が見られます。自営業の方は直近の所得(確定申告)の状況、転職直後の方は勤続年数が短い点が審査でハードルになりやすいため、複数の金融機関で条件を確認するのがおすすめです。フラット35のように融資条件が明確な商品も選択肢になります。

Q. 借り換えにかかる諸費用はどれくらいですか?
A. 事務手数料(定率型なら借入額の2.20%(税込)が一般的)、保証料、登記費用、印紙税などがかかります。とくに事務手数料は契約時に現金で支払うことが多く、借り換え効果を大きく左右します。申込方法や電子契約の利用で手数料が一部引き下げられる商品もあるため、申込ルートによる違いも確認しましょう。

 

借り換えは、返済期間が長く残り残債も多い方ほどメリットが大きくなります。金利が動き始めた局面では、金利の動向に少し注意を払い、金利差・残債・残期間・諸費用を総合的に見て、自分にとって借り換えのチャンスを逃さないようにしましょう。


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住宅ローン比較ネット 編集部

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