住宅ローンの団体信用生命保険で家族と住まいを守るイメージ
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡したときや所定の高度障害状態になったときに、残っているローンを保険金で清算する住宅ローン専用の生命保険です。民間の住宅ローンはこの加入が原則条件で、一般団信の保険料は金利に含まれているため借り手が別途払う費用はありません(=上乗せ0円)。 分かれ目はその先の疾病保障です。がん・3大疾病・全疾病といった保障を上乗せ金利なしで付けられる住宅ローンは増えましたが、「疾病保障はどこでも無料」ではありません。上乗せが必要な銀行では年0.100〜0.200%が加算され、35年では100万円を超える差になります。表面金利が同じ水準の銀行同士でも、団信の中身が違えば総支払額は変わります。ここでは団信を「金利に隠れた費用」として、銀行別に比べていきます。

団体信用生命保険、略して団信

団体信用生命保険とは、住宅ローン専用の生命保険です。 団信に加入していれば、住宅ローンの債務者が死亡したときや高度障害状態になったときでも、住宅ローンの残金が保険金として金融機関に支払われ、住宅ローンを清算することができます。 民間の銀行で借りる住宅ローンは、原則として団体信用生命保険に加入できることが融資の条件になっています。また、一般団信の保険料はあらかじめ金利に含まれているため、借り手が別途支払う費用はありません(=上乗せ0円)。 健康状態が理由で団信に加入できない場合は、住宅ローンを借りることが難しくなります。その場合には、団信への加入が必須ではないフラット35や、引受基準を緩和したワイド団信の利用を検討することになります。持病がある場合の選択肢はワイド団信の審査基準と対応銀行の解説で詳しく整理しています。

団信で保障されないリスクとは

一般団信で保障されるのは、原則「死亡」または「所定の高度障害状態」になったときです。 病気やケガで働けなくなっても、それだけでは団信の対象になりません。長期の入院や休職で収入が減っても、毎月の住宅ローンの返済は続きます。短期間なら貯蓄で乗り切れるかもしれませんが、長期化すると返済が厳しくなることを想定しておく必要があります。万一のときに残高がどう扱われるかは住宅ローン返済中に死亡した場合の仕組みも参考にしてください。 とくに自営業・フリーランスの方は要注意です。会社員のような傷病手当金(健康保険から最長1年6か月)がなく、働けない期間の収入がそのまま途絶えます。同じ団信でも、守られ方は働き方によって違うのです。

疾病保障の「無料」は銀行ごとに違う——上乗せ金利の比較

疾病保障は、かつて金利に0.200〜0.300%程度を上乗せして付帯するのが一般的でした。現在は上乗せなしで付帯する銀行が増えていますが、「がん保障はどこでも無料」ではありません。実際、PayPay銀行のがん50%保障団信は年0.100%の上乗せ(がん100%保障は年0.150%)で、無料は一般団信までです。 主な例を、上乗せ金利で比べてみましょう(2026年9月時点)。
金融機関上乗せ0円で付く保障上乗せが必要な保障(年利)
ソニー銀行一般団信/がん団信50(がん診断でローン残高の50%)※加入時 満50歳未満がん団信100=0.100%/3大疾病団信・生活習慣病団信=各0.200%/ワイド団信=0.200%
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)「スゴ団信」一般団信/全疾病保障(病気・ケガで所定の就業不能状態が続いた場合の保障)が基本付帯。満40歳未満なら3大疾病50%保障まで上乗せ0円借入時の年齢が50歳を超えると、3大疾病保障の付帯に上乗せ金利が必要(プランは年齢区分で変わる)
SBI新生銀行一般団信/全疾病保障付団信(2026年3月開始)※いずれも上乗せ0円介護保障(安心保障付団信)は新規申込を終了
PayPay銀行一般団信がん50%保障=0.100%/がん100%保障=0.150%
フラット35(機構団信)新機構団信(保険料は借入金利に含む)/不加入も選択可新3大疾病付機構団信・デュエット(ペア連生団信)は、加入する団信の種類に応じて借入金利が変わる
※各行公式サイトで2026年9月17日に確認(ソニー銀行 団体信用生命保険住宅金融支援機構 新機構団信の加入要件・保障内容)。年齢条件や支払要件は商品ごとに異なります。 保障範囲そのものを横並びで見たい場合は、三大疾病保障付き住宅ローンの上乗せ金利と保障範囲の比較もあわせて確認すると、どこまでが「無料の範囲」なのかがつかみやすくなります。

上乗せ0.200%は「保険料」としていくらか

上乗せ金利は小さく見えますが、35年分となると相応の金額です。変動金利1.000%で3,000万円を35年・元利均等(ボーナス返済なし)で借りた場合、金利が0.200%上がると総返済額はおよそ119万円増えます。月あたりに直せば約2,800円——これが疾病保障の実質的な保険料です。基準となる金利が高いほど、この差も大きくなります(同じ条件で1.500%なら約125万円)。
団信の上乗せ金利が総返済額に与える影響を示す棒グラフ
金利1.000%・借入3,000万円・35年・元利均等・ボーナス払いなしで試算。上乗せ0.200%で総返済額は約119万円(月あたり約2,800円)増える=これが疾病保障の実質的な保険料。
この金額を「高い」と見るか「妥当」と見るかは、すでに加入している生命保険・医療保険とどれだけ重複しているかで決まります。ここを確認せずに上乗せ団信を付けると、同じリスクに二重で払うことになりかねません。 上乗せ0円の疾病保障だけで比べる視点は、こちらの記事でも掘り下げています。 >>住宅ローンは金利だけで選ばない|上乗せ0円の疾病保障を比較

団信に入れないと住宅ローンは借りられない?

民間の住宅ローンは団信への加入が原則条件です。では団信に加入できない場合、住宅ローンは借りられないのでしょうか。そんなことはありません。団信への加入が必須ではない住宅ローンを選べばよいのです。その代表が「フラット35」です。 住宅金融支援機構と金融機関が提携して提供している「フラット35」は、団信への加入が任意のため、健康状態に不安がある方でも住宅ローンを借り入れることが可能です。機構も「健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合もフラット35をご利用いただけます」と明記しており、加入する団信の種類に応じて借入金利が変わる仕組みになっています(新機構団信の加入要件・保障内容)。 機構団信で押さえておきたい点は3つあります。①新機構団信は申込書の記入日現在で満15歳以上満70歳未満が対象で、保障は満80歳の誕生日の属する月の末日まで②新3大疾病付機構団信は満15歳以上満51歳未満が対象で、保障は満75歳の誕生日の属する月の末日まで(以降は新機構団信の保障内容に切り替わる)③機構団信では、民間の団信にある「高度障害保険金」の取扱いがありません。代わりに身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し身体障害者手帳の交付を受けた場合が対象になります。民間の団信と条件の立て方が違うので、乗り換えて比べるときは要注意です。 ただし団信に入らない=遺された家族にローンが残るということです。その場合は、収入保障保険などで別途、住宅ローン残高に見合う保障を確保しておく必要があります。「団信不要でローンが組める」ことと「保障がいらない」ことは別問題です。 もう一つの選択肢がワイド団信です。持病があっても引受基準が緩和されており、たとえばソニー銀行では年0.200%の上乗せで利用できます(審査により加入できない場合があります)。完済時年齢の上限が一般団信より低く設定されることがあり、ソニー銀行では一般団信が満85歳未満、ワイド団信は満81歳未満です。返済期間を長く取りたい人は、ここで組める年数が変わることがあります。

住宅ローンを借りたら生命保険を見直そう

民間の住宅ローンでは、団信の保険料が金利に含まれていることがほとんどです。そのためか、住宅ローンを利用する方は「自分がすでに大きな生命保険に入っている」ことを意識していないケースが目立ちます。 住宅ローンを組んだ時点で、住居費分の死亡保障は団信が肩代わりしていると考えられます。すでに加入している生命保険に住宅資金分の保障が含まれているなら、それは重複です。団信・疾病保障の内容を確認したうえで既契約を見直せば、保険料を削減できる可能性があります。上乗せ0.200%(月約2,800円)を払うかどうかも、この全体像の中で判断すべきです。 住宅ローン選びで団信を比べるときの実務的な順番は、次の3つです。
  1. 一般団信の完済時年齢(何歳まで保障されるか。ソニー銀行は満85歳未満、ワイド団信は満81歳未満、機構団信は満80歳の誕生日の属する月の末日まで)
  2. 上乗せ0円で付く疾病保障の範囲(がん50%なのか、全疾病=就業不能保障まで含むのか)
  3. 上乗せ金利の総額(35年でいくらか=実質の保険料)
金利の差が0.100%以内に収まる銀行同士なら、保障の差のほうが総コストへの影響は大きくなることさえあります。金利表の数字だけで決めず、団信まで含めた「総支払額」で比べてください。

団信についてよくある質問

Q. 全疾病保障があれば、働けなくなっても必ず返済が免除されますか?

A. いいえ。全疾病保障は「所定の就業不能状態が一定期間続いた場合」に月々の返済額が保障され、さらに長期化した場合にローン残高が保障される段階的な設計が一般的です(就業不能が12か月を超えて続いた時点で残高が保障される例などがあります)。支払要件は商品ごとに異なるため、必ず「被保険者のしおり」等で条件を確認してください。

Q. フラット35の団信は借入金利にどう影響しますか?

A. 加入する団信の種類に応じて借入金利が変わり、団信に加入しない選択もできます。新機構団信は満15歳以上満70歳未満が対象で満80歳の誕生日の属する月の末日まで保障、新3大疾病付機構団信は満15歳以上満51歳未満が対象で満75歳の誕生日の属する月の末日までが保障期間です。具体的な金利差は毎月の適用金利と合わせて示されるため、住宅金融支援機構の公式ページで確認してください。

Q. 夫婦でペアローンを組む場合、団信はどうなりますか?

A. ペアローンは契約が2本になるため、それぞれの契約に対して各自が団信に加入します。一方に万一のことがあっても、免除されるのはその人の債務分だけで、もう一方の返済は続きます。フラット35で連帯債務にする場合は夫婦2人で加入できる「デュエット(ペア連生団信)」を選べ、どちらかに支払事由が生じた時点で持分や返済割合にかかわらず債務全額が保障されます(戸籍上の夫婦のほか、婚約関係・内縁関係・同性パートナーも対象。ただし新3大疾病付機構団信ではデュエットを利用できません)。

Q. 自営業ですが、団信の審査で不利になりますか?

A. 団信の審査は健康状態の告知にもとづくもので、職業や収入は基本的に関係ありません(住宅ローン本体の審査では所得が見られます)。ただし自営業は傷病手当金がないため、就業不能リスクへの備えは会社員より重要です。上乗せ0円で全疾病保障が付く住宅ローンは、自営業の方ほど価値が大きいといえます。

Q. 団信の保障は途中で変更できますか?

A. 一般に、借入後の団信の種類変更はできません(ソニー銀行も公式に「お借入後の団信種類の変更はできません」と明記しています)。借り換えのタイミングでしか見直せないと考え、契約前に保障内容を決め切ることが大切です。

※本記事の上乗せ金利・保障内容は2026年9月時点の各社公表内容です。商品改定により変わることがあるため、最新の取り扱い状況は必ず各金融機関の公式サイトをご確認ください。  

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住宅ローン比較ネット 編集部

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