
住宅ローンを借りる場合、かつては銀行の店舗に出向いて窓口で相談するのが一般的でした。
しかし、ネット銀行の住宅ローンは、パソコンやスマホから申し込める手軽さに加えて、店舗を持つ銀行に比べて金利が低めで、無料の疾病保障などの付加サービスが充実していることから、利用者が増えています。
そんなネット銀行の住宅ローンは良いことばかりなのでしょうか。じつは2026年に入ってから「ネット銀行のほうが金利が低い」という前提が崩れつつあります。最適な住宅ローンを見つけるために、メリットとデメリットの両方を、最新の数字で確認しておきましょう。
ネット銀行の住宅ローンの特徴
まずはネット銀行の特徴を確認してみましょう。
店舗がない(少ない)
ネット銀行は、普通の銀行のように店舗を持たないところが多く、店舗があっても国内の大都市に数店舗とわずかな場合が多くなっています。
| 対面相談ができる店舗数(目安) | |
|---|---|
| みずほ銀行 | 数百店舗規模 |
| 三菱UFJ銀行 | 数百店舗規模 |
| 三井住友銀行 | 数百店舗規模 |
| ソニー銀行 | ごく少数 |
| SBIマネープラザ | 少数の店舗 |
(各行公表値の目安。店舗数は統廃合などで変動するため、最新の店舗数は各行公式でご確認ください。)
店舗がまったくない銀行は少ないものの、多くは10に満たない少なさです。一方でメガバンクは全国に数百店舗を構え、対面相談のしやすさが強みです。
パソコン・スマホから契約まで完了できる
通常の銀行と違い店舗がないため、住宅ローンの申し込みや書類のやり取りはパソコンやスマホ、郵送で行います。
紙の書類を使わず、データのやり取りのみで完結する完全WEB完結型の住宅ローンも増えています。郵送は発送から到着まで時間がかかりますが、WEB完結型では書類を撮影してデータを送るだけなので、申し込みから審査までがスムーズに進みやすい傾向があります。
保証料は不要で事務手数料が必要
ネット銀行の住宅ローンの多くは保証料が0円で、事務手数料として借入額の2.20%(税込)が必要になるのが一般的です。
比較サイトでは「ネット銀行は事務手数料が高い」と説明されることがありますが、これはネット銀行が事務手数料型なのに対し、メガバンクが保証料型で諸費用を必要とするためです。「諸費用」全体で考えると、ネット銀行のほうが安く済む場合も多くなっています。
ただし近年は、メガバンクにも「保証料型(事務手数料は定額+別途保証料)」と「定率型(借入額の2.20%〈税込〉・保証料なし)」の両方が用意されているのが実情です。たとえば三菱UFJ銀行は住宅ローン金利ページで諸費用について、借入時に借入金額の2.20%を同行へ支払い、保証料は不要と案内しています。「メガバンク=保証料型」と決めつけず、申し込む商品がどちらの型かを確認してください。
商号が変わった銀行がある(2026年8月)
ネット銀行を比較するときに気をつけたいのが商号の変更です。住信SBIネット銀行は2026年8月3日付で「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ商号を変更し、個人向けサービスのブランド名は「ドコモの銀行」になりました。金融機関コード・支店番号・口座番号に変更はありませんが、比較記事や口コミの銀行名が旧商号のままになっていることがあるため、情報の時点に注意してください。
ネット銀行の住宅ローンのメリット
ネット銀行の住宅ローンのメリットを改めて解説します。
金利は低め——だが2026年は「逆転」も起きている
ネット銀行は店舗を持たず経営コストを抑えられるぶん、低い金利を設定しやすいのが強みです。ただし金利情勢はこの2年で大きく変わりました。2024年3月のマイナス金利解除以降、日本銀行は段階的に利上げを続けており、2026年6月16日には政策金利が年1.0%程度へ引き上げられています(2026年7月30・31日の会合では据え置き)。変動・固定とも金利は上昇局面にあります。
そのうえで、いま押さえておきたいのが「表面金利ではメガバンクのほうが低い」というケースが珍しくなくなったことです。当編集部が2026年8月4日に主要14の金融機関・機関の公式金利ページを実際に確認して集計した、新規借り入れ・変動金利(最優遇)の水準は次のとおりでした。

(当社調べ。2026年8月4日に各行公式サイトで確認した新規借り入れ・変動金利の最優遇水準。適用条件は各行で異なり、審査結果・自己資金割合・団信のプランによって上乗せがあります。最新の金利は各行公式サイトでご確認ください。)
三菱UFJ銀行の年0.945%やりそな銀行の年0.950%に対し、ネット系はイオン銀行の年1.040%、SBI新生銀行の年1.060%(自己資金10%以上の優遇適用時)などが続きます。ネット銀行だから自動的に金利が低い、という時代ではなくなったということです。
もっとも、これは「メガバンクのほうがトクだ」という話ではありません。表面金利の差0.100%は、借入3,000万円・35年ならおおよそ月々1,300〜1,500円程度の差に相当します。一方で事務手数料の型が違えば、初期費用で数十万円の差が生じます。比べるべきは金利単体ではなく、事務手数料・保証料・団信の上乗せまで含めた総支払額です。
対面で相談しながらネット銀行系の金利で借りたい場合は、SBIマネープラザのように対面コースを用意しているサービスを選ぶ方法もあります。
| 比較の観点 | ネット銀行 | メガバンク |
|---|---|---|
| 金利(表面) | 低めだが差は縮小。2026年8月は下回る例も | 引き下げ競争で競争力が向上 |
| 諸費用 | 事務手数料型(借入額の2.20%〈税込〉目安・保証料0円)が中心 | 保証料型と定率型の両方があり商品で異なる |
| 団信・疾病保障 | 無料の疾病保障が充実しやすい | 上乗せ金利で付帯が一般的 |
| 対面相談 | 限定的(電話・ビデオ相談・一部店舗) | 店舗で対面相談しやすい |
| 審査 | 可否が明確になりやすい | 金利に幅があり柔軟な面も |
無料の疾病保障など手厚い付加サービス
いまの住宅ローン、特にネット銀行では、無料の疾病保障が付帯することがスタンダードになっています。
通常、住宅ローンには団信への加入が必須です。団信の保険料は銀行が負担し、契約者が保険料を払う必要はありません。団信は、契約者が死亡・高度障害になった場合などに住宅ローン残高が0円になる保障です。
この団信に上乗せして、がん保障や疾病保障を付帯するには、金利に上乗せする形で保険料を負担するのが一般的です。しかしネット銀行では、上乗せなしで疾病保障が付く住宅ローンが標準になっているのです。
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)の「全疾病保障」
対面で相談できるSBIマネープラザが取り扱っているのは、ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)の住宅ローンです(SBIマネープラザは銀行代理業者、所属銀行はドコモSMTBネット銀行)。この商品では「全疾病保障」が金利上乗せなしで付帯します。団信による死亡・高度障害の保障に加えて、次の8疾病に加えてケガや病気で働けなくなった場合にもローン残高が0円になる仕組みです。
- がん(悪性新生物)・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎
8疾病で12か月、それ以外の病気やケガで24か月にわたり働けない状態が続いた場合に残高が0円になり、就業不能の期間中は毎月の返済相当額が保険金として支払われます(責任開始日から3か月間は待機期間。8疾病以外は就業不能となってから3か月間の返済額は対象外。精神障がい等は除く)。保障の条件は細かく定められているため、加入前に「被保険者のしおり」で必ず確認してください。
あわせて、借入実行時に50歳以下であれば3大疾病保障特約(50%)が基本付帯となる「スゴ団信」も選べます。ただし3大疾病保障特約(100%)やワイド団信など、選ぶプランによっては年0.200%〜0.400%の金利上乗せとなる点は押さえておきましょう。「団信が手厚い=無条件で無料」ではないということです。
団信に加えて疾病保障まで上乗せなしで付帯できるのは、店舗を持たず経営コストを抑えているネット銀行ならではの特徴です。詳しくはこちらの記事でも解説しています。
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ネット銀行の住宅ローンのデメリット
ここまで良い面を見てきましたが、ネット銀行がメガバンクに劣る点はないのでしょうか。
対面相談がしにくい
店舗を持たないネット銀行では、メガバンクのような専任担当者による対面相談ができないことが多くなります。
ただし、相談窓口がないわけではありません。電話・メール・ビデオチャットなどでの相談に各ネット銀行が対応しています。これらは予約制が多く、銀行の営業時間より遅い時間帯まで受け付けている場合がほとんどです。
窓口に出向く時間が取りにくい忙しい人にとっては、むしろ相談しやすい体制ともいえます。さらに、悪天候や体調不良のときでも、自宅から相談・申し込みから契約まで完結できるのは大きな利点です。近年は対面販売に力を入れ、少ないながらも店舗を展開するネット銀行も増えています。
柔軟な審査対応が少ない
オンライン中心で画一的な審査になりやすく、専任担当者が付くメガバンクのように柔軟な対応がされにくい面があります。
メガバンクの金利に幅があるのは、審査結果によって適用金利が決まるためです。つまり「一番低い金利では通らないが、この金利なら通る」という調整をあらかじめ想定した金利設定になっています。
対してネット銀行の金利には幅が少なく、提示した金利で「貸せるか・貸せないか」の2択になりやすいのが特徴です。このため、メガバンクに比べて審査に通りにくいと言われることもあります。
もっとも、ネット銀行にも上乗せ金利の幅が設けられていることはあります。たとえば前掲のドコモの銀行の住宅ローン(対面コース)では、審査結果によって表示金利に年0.100%〜0.550%の上乗せとなる場合があると明記されています。「最優遇金利で借りられる前提」で総支払額を計算していると、実行時に想定が崩れます。上乗せの可能性を織り込んでおきましょう。
ただし、高い金利で審査に通っても返済を続けられるかは別問題です。金利が低いほど審査がシビアになるのはある意味当然ともいえます。「通らなそうだから」と最初から申し込みを諦めるのはもったいないので、まずは申し込んで確認してみることをおすすめします。
ネット銀行の住宅ローン まとめ
ここまでネット銀行の住宅ローンのメリット・デメリットを見てきました。
結論として、上乗せなしの疾病保障など付加サービスを組み合わせられるネット銀行の住宅ローンは、住宅ローンを検討するなら必ずチェックしたい選択肢です。ただし2026年8月時点では表面金利でメガバンクが下回る例も出ているため、金利・諸費用・保障を合わせた「総支払額」で比べることが以前にも増して重要になっています。
なお、店舗での対面相談とオンライン手続きの両方に対応するSBI新生銀行も、ネット系の利便性と対面の安心感を両立しやすい選択肢です。保証料は原則0円、事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型で費用構造が読み取りやすく、上乗せ0円で選べる全疾病保障付団信も用意されています。ネット銀行と合わせて比較してみるとよいでしょう。
変動金利ランキングは、金利だけでなく無料の疾病保障などの付加サービスも加味したランキングです。変動金利での借り入れを検討している方は参考にしてみてください。
よくある質問(FAQ)
ネット銀行の住宅ローンは審査が厳しい?
提示された金利で「貸せるか・貸せないか」がはっきりする傾向があり、メガバンクのような金利の幅による調整は少なめです。とはいえ条件を満たせば通りますし、審査結果に応じた上乗せ金利を設けているネット銀行もあります。はじめから諦めず、まずは申し込んで確認するのがおすすめです。
ネット銀行とメガバンク、結局どちらがお得?
表面金利だけでなく、事務手数料・保証料などの諸費用、上乗せなしの疾病保障の有無まで含めた「総支払額」で比較するのが基本です。2026年8月時点では表面金利の差が縮み、逆転している組み合わせもあるため、なおさら合計で見る必要があります。金利の上昇局面では、返済額の急増を抑える5年ルール・125%ルールの有無も確認しておきましょう。
自営業・個人事業主でもネット銀行は使える?
申し込み自体は可能ですが、確定申告書の提出年数や所得(売上ではなく所得)の水準など、会社員とは異なる基準で見られます。ネット銀行は審査基準が画一的になりやすいぶん、事業歴が短い段階では選べる先が絞られることがあります。借入額が小さくなりやすい属性ほど、定率の事務手数料より定額型のほうが有利になる場合がある点も、総支払額を試算するときに確認してください。
ネット銀行の申し込みは、どのくらい時間がかかる?
WEB完結型なら書類を撮影して送るだけで進むため、郵送中心の手続きより短くなる傾向があります。ただし対面コースを使う場合は所要期間が変わり、たとえばSBIマネープラザは申し込みから借り入れまで約1か月半程度と案内しています。物件の引き渡し日から逆算して、余裕をもって着手してください。
団信の保障を手厚くすると、金利はどれくらい上がる?
商品とプランによって異なります。上乗せ0円で全疾病保障が付く商品がある一方、3大疾病保障を100%にするプランやワイド団信では年0.200%〜0.400%程度の上乗せとなる例があります。上乗せ0.200%は、借入3,000万円・35年なら総支払額で100万円を超える差になり得ます。保障の内容と金額を並べて、必要な範囲を選びましょう。最新の上乗せ幅は各行公式サイトでご確認ください。
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