AIを活用した住宅ローンの仮審査をイメージしたイラスト

みずほ銀行とソフトバンクが共同出資して設立したAI(人工知能)融資サービス「J.Score(ジェイスコア)」は、2023年1月31日をもって各種サービスの提供を終了しました。スコア・リワード事業やコンシューマーレンディング事業はLINE Credit株式会社へ吸収分割方式で統合され、無担保ローンは現在「LINEポケットマネー」として提供されています(既存の借入の返済はLINE Creditが引き継いでいます)。

J.Scoreは2016年に設立され、2017年から「AIスコア・レンディング」を提供していました。スマートフォンの専用アプリに入力した個人データや資金使途をAIで分析し、申し込み前から借入条件(金利・限度額)の目安が分かる仕組みで、入力する情報が多いほど条件が有利になりやすいのが特徴でした。みずほ銀行の与信ノウハウとソフトバンクのデータ分析を組み合わせた、当時としては先進的な無担保融資サービスです。

会社立ち上げ当初の2016年には、ソフトバンクグループの孫正義氏が住宅ローンサービスへの参入をにおわせていましたが、住宅ローンへの参入は実現しないまま、J.Score自体が2023年にサービスを終えました。AIを使った与信は、いまでは外部サービスに頼るのではなく、各銀行が自前の審査システムとして取り込む流れになっています。

住宅ローンの「AI仮審査」はソニー銀行などで現役

無担保ローンのJ.Scoreは終了しましたが、住宅ローンの仮審査にAIを活用する動きはむしろ定着しています。代表例がソニー銀行で、独自開発したAIによる自動審査システムにより、従来2〜6日程度かかっていた仮審査を最短60分で回答します(口座がなくても申込可能。2026年8月時点・公式サイトで確認)。ただし仮審査以降の本審査には通常どおりの期間がかかる点は変わりません。

ソニー銀行のAI仮審査そのものの手順や団信の内容は、別記事で詳しく整理しています。
>>ソニー銀行の住宅ローン|AI仮審査は最短60分!団信も解説

ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)も早くからAI審査に取り組むなど、ネット銀行を中心にAIによる審査の高速化は一般的になりました。スマホで完結する手軽さと、結果が早く分かる安心感が利用者のメリットです。

「仮審査が速い=借りられる」ではない

ここで押さえておきたいのは、AIが判定しているのは仮審査であって、借入の可否そのものではないということです。ソニー銀行も公式サイトの注意事項で「仮審査結果はお借入の可否についてなんら保証するものではありません。実際のお借入は、本審査で確定します」と明記しています(2026年8月時点)。

仮審査で見られるのは、申込内容にもとづく返済能力の概算や受付基準への適合が中心です。これに対して本審査では、提出書類の裏付け、健康状態(団信の告知)、そして物件そのものの担保評価まで確認されます。つまり、属性に不安がある人ほど「仮審査が速く通ったこと」を結論と受け取らないほうがよいということです。

とくに次のようなケースでは、仮審査と本審査で結果が変わることがあります。

  • 自営業・フリーランスで、直近の所得と過去数年の平均に差がある
  • 転職直後で、申込時の見込み年収と提出書類の内容がそろわない
  • 健康上の理由で団信の告知が通らない(住宅ローンの多くは団信加入が条件)
  • 物件の担保評価が想定より低く、希望額に届かない

時間を短縮できるのは大きな利点ですが、速さは「早めに複数行へ相談できる」という意味での価値だと考えておくのが安全です。

スピードだけで選ばない——AI審査時代の住宅ローンの見極め方

AI審査の最大のメリットは「結果が早く出る」ことですが、住宅ローンを選ぶ基準はスピードだけではありません。当サイトが一貫してお伝えしているのは、表面金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料・団信(疾病・がん保障)まで含めた「総支払額」で比較するという視点です。仮審査が速い銀行でも、諸費用や団信の条件次第で総コストは大きく変わります。

審査スピードより効くのは「事務手数料の型」

見落とされやすいのが、事務手数料に「定率型(借入額×◯%)」と「定額型(一律◯万円)」の2つの型があることです。同じ銀行でも商品によって型が違うことがあり、借入額が大きいほど差は開きます。

商品(2026年8月時点・各行公式)融資事務手数料3,000万円借りた場合の手数料
ソニー銀行 変動セレクト/固定セレクト住宅ローン借入金額×2.2%(税込)660,000円(税込)
ソニー銀行 住宅ローン(通常タイプ)44,000円(税込)の定額44,000円(税込)
SBI新生銀行 パワースマート住宅ローン借入金額×2.20%(税込)660,000円(税込)
楽天銀行【フラット35】(購入・建築)借入額×1.10%(税込)※最低110,000円(税込)330,000円(税込)

※各行の公式サイトで2026年8月26日に確認した内容です。定額型は手数料が安く見えますが、その代わりに適用金利が高めに設定されているのが一般的で、どちらが得かは借入額と返済期間しだいです。ソニー銀行のように同じ銀行で両方の型を用意しているケースもあるため、「手数料が安い銀行」ではなく「自分の借入条件での総支払額」で比べてください。

諸費用の分かりやすさという点では、SBI新生銀行のように、保証料・一部繰上返済手数料が0円で、団信も上乗せ0円の全疾病保障付団信(がん団信は年0.100%上乗せ)から選べる商品は、費用の見通しを立てやすい選択肢の一つです(2026年8月時点・公式サイトで確認)。ソニー銀行も保証料・団信保険料・繰上返済手数料を0円としており、「金利以外の0円がどこまで揃っているか」も比較の軸になります

2026年6月16日の金融政策決定会合で日銀は政策金利を1.0%程度へ引き上げ、7月30日・31日の会合では金融市場調節方針の変更はありませんでした。固定金利はこの間も上昇が続き、フラット35(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)の最も多い金利は2026年8月時点で年3.290%です(住宅金融支援機構の公式サイトで確認)。変動金利についても、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行が2026年8月3日に短期プライムレートを年2.125%から年2.375%へ引き上げており、各行の基準金利へ順次反映されていきます。

金利が動く局面だからこそ、審査スピードに惑わされず、金利タイプ・総支払額・保障内容を落ち着いて比較することが大切です。AIが短縮してくれたのは手続きの時間であって、判断そのものではありません。最新の金利・条件は各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。


住宅ローン比較・ランキング記事

住宅ローン比較ネット 編集部

掲載情報は各金融機関・公的機関の公式情報を確認して作成しています。