住宅ローンの借り換えを検討する夫婦のイメージ

住宅ローンの借り換えといえば、「より低い金利のローンに乗り換えて総返済額を減らすこと」が代表的な目的です。ただ、2024年3月のマイナス金利政策の解除以降、日本銀行は段階的に政策金利を引き上げてきました。2026年6月16日の金融政策決定会合では無担保コールレート(オーバーナイト物)を年1.0%程度で推移するよう促す方針が決定され(賛成7・反対1、適用は6月17日から)、7月30・31日の会合ではこの水準が据え置かれています。住宅ローン金利は「上がる時代」に入り、借り換えの目的も「返済額を減らす」だけにとどまらなくなっています。

「住宅ローンの返済額を減らす」のは間違いなく借り換えの大きなメリットですが、それ以外にも知っておきたいメリットがいくつかあります。この記事では、金利上昇局面ならではの視点も交えて、住宅ローンの借り換えのメリットを整理していきます。

 

金利上昇リスクに備えられる

2026年8月時点の主要銀行の変動金利(新規借入・最優遇)は、三菱UFJ銀行が年0.945%、りそな銀行が年0.950%、みずほ銀行が年1.025%、三井住友信託銀行が年1.080%、三井住友銀行が年1.275%となっています(各行公式サイトにて確認)。ネット銀行の住宅ローンが年0.500%を下回るのが当たり前だった数年前と比べると、変動金利はすでにはっきりと上昇しています。

 

変動金利は「相対的に金利が低いものの、将来の金利を確定できない」金利タイプです。日銀が利上げを続ける局面では、この先の返済額が読みにくいという変動金利の弱点が表面化しやすくなります。

 

このような金利上昇リスクに備えたい場合、変動金利タイプから10年固定金利タイプなどに借り換えることで、一定期間の金利を確定させることができます。ただし注意したいのは固定金利の水準です。同じ2026年8月時点の10年固定(新規借入・最優遇)は、みずほ銀行 年3.350%、三菱UFJ銀行 年3.590%、三井住友銀行 年3.650%、りそな銀行 年3.795%、三井住友信託銀行 年4.105%と、変動金利との差は以前よりもはるかに大きく開いています。

主要行の変動金利と10年固定金利を比較した棒グラフ(2026年8月・新規借入の最優遇金利)
変動と10年固定の差は2%を超えている(2026年8月時点・新規借入の最優遇金利)

固定金利への借り換えは「保険料を払ってでも返済額を確定させる」という判断であり、結果的に総返済額が増える可能性がある点は理解しておきましょう。差が2%を超えている今は、その「保険料」が数年前より高くついているということでもあります。

 

また、「フラット35」のような返済終了まで金利が変わらない全期間固定金利タイプに借り換えることももちろん可能です。2026年8月資金受取分の【フラット35】(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)で最も多い金利は年3.290%でした(住宅金融支援機構)。全期間固定の金利は変動金利と比べるとかなり高いため総返済額は増えやすくなりますが、返済終了まで完全に金利上昇リスクを避けることができます。

金利タイプの判断で大切なのは、金利の高い・低いだけでなく、毎月の返済額が増えても家計が耐えられるかという視点です。金利が1%上がった場合に返済額がいくら増えるかを試算したうえで、どうしても不安が残る方は固定金利タイプへの借り換えを検討してみましょう。

 

「金利が上がった」を一括りにしない

ニュースで「金利が上昇」と報じられても、どの金利の話なのかで住宅ローンへの影響はまったく違います。借り換えの判断を誤らないために、ここは押さえておく価値があります。

  • 変動金利の基準=短期プライムレート(短プラ):金融機関が信用力の高い企業に短期で貸すときの最優遇金利で、日銀の政策金利の動きに連動します。日本銀行の統計では、主要行の短期プライムレート(最頻値)は年2.125%です(2026年7月9日現在)。
  • 固定金利の基準=長期金利(新発10年国債利回りなど):市場で日々動くため、政策金利が据え置かれていても固定金利だけが動くことがあります。
  • 長期プライムレート(長プラ)は住宅ローンの基準ではありません:主に大企業向けの1年超の融資に使われる金利です。報道では、みずほ銀行が2026年8月の長期プライムレートを年3.250%へ引き上げると発表した(8月12日適用)とされていますが、これは大企業向け融資の指標であり、そのまま変動金利が上がるという意味ではありません

 

つまり「長プラが30年ぶりの高水準」という見出しを見ても、あなたの変動金利がすぐ上がると決まったわけではないということです。一方で、長期金利が上がる局面では固定金利は先に動きます。「固定は上がってから借り換えても遅い」という非対称性があるため、固定へ移す判断だけは早めに検討しておくのが現実的です。

 

なお、変動金利の見直し時期は銀行ごとに違います。年2回(4月・10月適用)としている銀行が多い一方で、独自のタイミングで基準金利を見直す銀行もあります。2026年8月時点で大手5行の変動型は据え置かれている一方、ネット銀行では基準金利の引き上げに動いた銀行もあり、「変動金利が一斉に上がった」わけではありません。最新の適用金利と見直し時期は、必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

返済期間を伸ばすことが出来る

住宅ローンの返済期間は30年以上の長期間になることもあります。そのため、返済期間中の病気やケガで一時的に働けなくなったり、転職などで給与が下がってしまうことも考えられます。

 

収入が減少するなどの理由で毎月の住宅ローンの返済が負担になってしまった場合は、住宅ローンの借り換え&返済期間の延長で毎月の返済額を減らすことも可能です。

 

※なお、住宅ローンの返済期間を延長すると住宅ローンの総返済額は増える可能性が高く、また、老後の返済負担増につながりますのでしっかりと検討するようにしてください。金利が上がっている局面では、期間の延長による利息の増え方も以前より大きくなります。延長は「毎月の負担を下げる代わりに、総額と老後のリスクを引き受ける」選択だと理解しておきましょう。

 

住宅ローンに手厚い疾病保障を付帯できる

もう一つのメリットは、住宅ローンに一般団信だけでなく、手厚い疾病保障を付帯できる住宅ローンが増えているという点です。

 

ネット銀行の住宅ローンを中心に、がんと診断されただけで残りの住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」や、病気やケガで就業不能状態が続いた場合に残りの住宅ローン残高が0円になる「全疾病保障」などの疾病保障を付帯できる住宅ローンが定着しています。

 

ただし、保障の内容や上乗せ金利の扱いは銀行ごとに異なります。上乗せなしで付帯できる銀行がある一方で、近年はかつて無料だった保障に上乗せ金利を設定するなど条件を見直す動きも出ています。たとえばPayPay銀行の場合、がん50%保障団信は年0.100%、がん100%保障団信は年0.150%の上乗せが必要で、上乗せなしで付帯できるのは一般団信までです(2026年8月時点・同行公式)。「ネット銀行だから疾病保障は無料」と決めつけず、申込先ごとに最新の条件を確認してください。

 

いま契約している住宅ローンにこういった疾病保障が付帯していない場合、借り換えで返済額自体があまり減らなくても、手厚い保障を付帯できることは万が一の事態への備えになります。特に借り換えを行うユーザーは新規借入時よりも年齢が上がっているため、「疾病保障」の手厚さは大きな判断材料です。

 

ここで見落としやすいのが健康状態です。借り換えは新しい住宅ローンを組み直す手続きなので、団信への加入審査も改めて受けることになります。持病や治療歴があると、希望する疾病保障を付けられない、あるいは団信そのものに加入できないこともあります。健康なうちに動けるかどうかが、借り換えでは金利差と同じくらい重要だという点は覚えておいてください。

 

無料で付帯する疾病保障で人気の高い住宅ローンを比較したこの記事もチェックしてみて下さい。
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見落としがちな「借り換えの諸費用」も確認を

借り換えのメリットを正しく判断するには、金利差だけでなく諸費用まで含めた総コストで考えることが欠かせません。主な内訳は次のとおりです。

費用の項目目安・見るポイント備考
事務手数料定率型は借入額×2.20%(税込)が一般的。定額型を選べる銀行もある借入額が大きいほど定率型の負担は重くなる
保証料0円の銀行と、金利上乗せまたは一括前払いの銀行がある非課税。事務手数料とセットで総額を見る
抵当権の抹消・設定費用登録免許税と司法書士報酬借入額に応じて変わる
印紙税書面契約の場合に必要(電子契約なら不要な銀行も)不課税
現在のローンの完済手数料金融機関により有無・金額が異なる今借りている銀行に要確認

合計で数十万円規模になることが珍しくありません。一般に、借り換え効果の目安は「金利差」「ローン残高」「残りの返済期間」の3つで決まります。残高が大きく、残期間が長く、金利差があるほど効果は出やすくなります。各銀行のシミュレーションで「諸費用を引いた後にいくら得になるか」まで確認してから判断しましょう。

 

金利上昇局面では、この計算の意味合いが少し変わります。変動から変動への借り換えで金利差を取りにいくケースは減り、代わりに「固定へ移すために諸費用を払う」判断が増えるからです。この場合、諸費用は返済額を確定させるための費用であって、必ずしも総返済額の削減額と釣り合う必要はありません。何のために払うのかを自分の中で整理しておくと、判断がぶれずに済みます。

 

なお、借り換え先を検討する際の候補のひとつとして、SBI新生銀行のように諸費用面が分かりやすい銀行もあります。SBI新生銀行の住宅ローンは保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円、一般団信の上乗せも0円で、2026年3月からは上乗せなしの全疾病保障付団信も始まっています。事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、対面で確認しながら借り換えを進めたい人には心強いポイントです(最新の金利・条件は公式サイトでご確認ください)。


借り換えのメリットは返済額を減らすだけでなく、金利上昇リスクに備えたり団信に加えて「疾病保障」の手厚い保障でいざという時に備えるなど、目的に合わせて借り換えることでそれぞれにメリットがあります。金利が上がり始めた今だからこそ、ご自分の考えに合った住宅ローンの借り換えを検討してみるようにしてください。

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