<2016年11月17日更新>
ヒラリー氏の勝利が見込まれていたアメリカの大統領選挙においてトランプ氏が予想外の勝利を収めました。
トランプ氏の大統領が決まった11月9日には暴落ともいえるほどの株価の急落が世界中で発生しましたが、同日のトランプ氏の勝利宣言で「すべての国民のための大統領になる」と大統領選挙で分断された米国の融和を訴える内容となってこと、トランプ氏が積極的な財政支出を公約していたことが見直され、11月10日以降は世界的な株高・債券安(金利高)が進んでいます。
今後も長期金利が上がれば当然ながら、住宅ローン金利も上昇という影響を受けることになりますが、果たしてそうなのか今回はこの動きを解説したいと思います。
まず、日本と米国の2016年の長期金利の推移をご紹介したいと思います。
【米国の長期金利推移】
【日本の長期金利の推移】
米国では12月の利上げを意識し、年始の年1.4%程度の水準が年1.8%まで緩やかに上昇していたものが、トランプ氏の大統領就任決定で一気に2.2%程度まで短期間で急上昇しているのがわかります。
日本では1月末の日銀によるマイナス金利政策導入で最大マイナス0.3%程度まで下がったものが、日銀による長期金利のゼロ%誘導決定を経て、今回のトランプ氏の勝利で一気に長期金利がプラス圏に浮上していることがわかります。
米国における金利上昇はトランプ氏の掲げる経済政策
・法人税の減税
・大規模なインフラ整備への投資
・金融やエネルギー関連への規制の緩和
を意識したものであり、これらの政策が実現すると景気が拡大する一方、財政赤字が増え、債券安となる見込みで金利上昇しているというのが今回の流れです。
今後もこの流れが続くのか2つの視点で見ていきたいと思います。
①そもそもトランプ氏の政策は実現するのか、また経済にマイナスとなる政策も掲げているが?
現在の市場はトランプ氏の経済政策の陽の部分だけを見て、それが実現するならばという多くの仮定だけで動いています。
たとえば、トランプ氏は日本や中国からの輸入品に対して多くの関税をかけるなどの発言をしており、これまでの資本主義諸国が掲げてきた自由貿易に反する思想を持っている可能性があり、トランプ政権が実際にこうした政策を実施すれば、各国は保護主義が対応することとなり、世界的な経済の混乱が発生し、アメリカの経済にもマイナスの影響が出てきます。
数日前には、極右思想の持つ主とされる、スティーブン・バノン氏を政権幹部に指名するなど、懸念すべき動きも実際に出ています。
トランプ氏がどういう経済政策を実現するのかは、2017年1月20日の大統領就任式を待たなければ誰にもわからないといえます。
②日本の長期金利への影響は?
日本では日銀による長期金利のゼロ%誘導という大きな政策が導入されている途中です。そもそもどうして金利をゼロ%というする異常な政策が導入されているのかを考えなければなりません。
それは日本がバブル経済崩壊後、継続的な景気低迷・デフレ経済に悩まされているからであり、今後は人口減少という更なる景気マイナス要因が控えています。
直近の長期金利の上昇は、トランプ氏の予想外の勝利で日本外の債券市場で発生した損失を、日本の債券の利益で穴埋めをするための一時的な現象とする指摘も目立ちます。
本日は日銀が金利上昇を抑えるための日銀が初の「指値オペ」を行ったとの報道もあります。
今後日本において中長期的に金利が上昇するには
・継続的に景気が拡大し、インフレとなる
・日本政府や地方が背負う多額の債務が減る
という条件が整う必要がありいずれも低いハードルではなく、日本の長期金利が上昇に転じ、住宅ローン金利も上昇していくという姿はなかなか想像できません。
いかがでしょうか。
世界的におきている長期金利は今後のトランプ氏の政策が明確になる中で方向性が定まってくると思われますが、日本には日本固有の政策や課題があり、短期的に金利上昇したり、住宅ローン金利が急上昇してくことは考えにくいのではないでしょうか。
<2016年11月15日投稿>
第45代アメリカ大統領に共和党候補のドナルド・トランプ氏に決定ししてから、円高・株高が続いています。
当サイトでは、トランプ氏が大統領になることで「リスクオフ」が進行し、住宅ローン金利も低下する可能性があると記事を書きましたが、実際には、トランプ氏が勝利宣言を行った直後から、円高・株安はV字回復して現在では大統領選挙前の水準を大幅に上回る円安・株高となっています。
当然ながら円安・株高の「リスクオン」ですから、日本国債からも資金が流出し利回り、つまり長期金利は上昇します。
長期金利が上昇すれば、長期の固定型住宅ローン金利も上昇することになります。
しかし、幸いなことに大幅な上昇ではなく、0.01~0.03%程度の小幅な上昇になりそうです。
予想が外れてしまいましたね。
この一転したいわゆるトランプ相場は、トランプ氏が掲げる減税・財政出動などの政策もありますが、これまで差別的で過激な発言や政策を当選した途端に封印しおとなしくしていることが要因といえるでしょう。
兎にも角にも、世界経済は一転して「リスクオン」となり、長期金利も上昇しています。
14日までの長期金利の推移を確認してみましょう。
アメリカの大統領選挙後に上昇しているのがわかりますね。
ただ先程も書きましたが、これを受けて住宅ローン金利も上昇しそうですが、大幅な上昇ではなく0.01~0.03%程度の小幅な上昇になりそうです。
さらに長期金利が上昇し0%を超えるような時は、日銀によりマイナス圏内にコントロールされるのではないか思っています。
そして再三お話している通り、継続して住宅ローン金利が上昇する要因はありません。
日銀による金融緩和は、目標である消費者物価指数(CPI)2%を安定的に達成するまで継続されるからです。
ただ、これだけ円安・株高になると更なるマイナス金利の深掘りなどの追加緩和の実施は遠のいたと考えるべきでしょう。小幅な上下はありつつも当面は現在の住宅ローン金利の水準が続きそうです。
明日には、ソニー銀行が2016年12月の適用金利が発表され、皆さんにお伝えできると思いますが、住宅ローン金利がどうなるか注目ですね。
現状では、変動金利は据え置き、長期の固定金利は残念ながら若干の金利引き上げとなりそうです。
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