
来店客の減少とコスト構造の見直しを背景に、メガバンクは長く店舗網の再編(従来型店舗の削減・軽量店化)を進めてきました。一方でネット銀行はサービスを拡充し、口座数や預金残高を伸ばしています。住宅ローンも「店頭で相談して契約」から「ネットで申し込み、電子契約で完結」へと軸足が移ってきました。
この記事では、メガバンク3行の店舗再編と住宅ローンのネット対応の流れを整理したうえで、対面相談が減っていく時代に何を基準に住宅ローンを選べばよいかを、当サイトの視点(金利だけでなく総支払額で比べる)で考えます。
三菱UFJ銀行
店舗網の再編
三菱UFJ銀行は、2017年度末に515店あった店舗を、2023年度末までに17年度末比で約4割(約200店)削減し、おおむね300店程度とする計画を打ち出し、店舗網の再編を進めてきました。削減後の店舗も多くがテレビ電話や専用端末を使う非対面・セルフ型の店舗で、フルサービスの従来型店舗は大きく絞り込まれています。
もっとも、拠点そのものがなくなったわけではありません。同行が公表している会社概要では、国内の支店等は415、海外は100(2025年3月末現在)とされています。統計上の「店舗数」は出張所や共同店舗の数え方で変わるため、公表計画の数字と会社概要の数字を単純に引き算しないほうが正確です。ここで押さえておきたいのは総数そのものより、フルサービスで住宅ローンを相談できる窓口が絞り込まれたという中身の変化です。
また、超低金利の時代に続いた「とにかく店舗を減らす」という流れは、金利のある世界に入って一段落しつつあります。預金を集める接点として店舗を見直す動きや、駅前の大型店ではなく商業施設内に小型拠点を出す動きも報じられており、削減一辺倒から「拠点の中身を入れ替える」段階へ移ったと見るのが実態に近いでしょう。

住宅ローンのネット化
三菱UFJ銀行は来店不要型のネット専用住宅ローンを強化しており、電子契約に対応した完全ネット完結型・保証会社不要の住宅ローンを提供しています。最優遇金利の水準はネット銀行に近いものの、疾病保障などの保障を手厚くすると上乗せが必要になる場合があり、保障まで含めた総コストで比較するとネット銀行との差が見えてきます。最新の金利・保障条件は公式サイトでご確認ください。
なお、変動金利の目安になる同行の短期プライムレートは年2.375%(2026年8月3日より適用)です。変動型を選ぶときは、いま適用される金利だけでなく、この基準金利が動いたときに自分の返済額がいつから変わるのかもあわせて確認しておくと安心です。
三井住友銀行
店舗網の再編
三井住友銀行も、従来型の店舗を絞り込み、窓口業務を簡素化した軽量店(セルフ型店舗)への置き換えを進めてきました(2022年度末までに多くを軽量店化する計画を公表)。三菱UFJほど総店舗数を減らさない方針ですが、対面でじっくり住宅ローンを相談できる場は同様に減りつつあります。
住宅ローンのネット対応
三井住友銀行は「住宅ローン審査申込アプリ」を提供し、公式サイトでもネット専用の「WEB申込専用住宅ローン」を前面に出すなど、ネット経由への傾斜を強めています。WEB申込専用住宅ローンは系列保証会社による保証が必要です(保証料は金利に含む)。
かつては『電子契約に非対応』でしたが、これは現在は解消されています。三井住友銀行は2021年9月から住宅ローンの新規契約に電子契約サービス「SMBCクラウドサイン」を導入しており(国内大手銀行で初めて住宅ローン電子契約を実現)、電子契約を選べば収入印紙が不要・電子契約の利用手数料もかからず、契約手続きをオンラインで完結できます(公式サイトで確認)。
みずほ銀行
店舗網の再編
みずほフィナンシャルグループも、グループの営業拠点の削減や人員のスリム化を進める構造改革を打ち出してきました(みずほ銀行単体の店舗数は非公表)。3メガに共通して、対面型の拠点を減らしデジタル中心へ移行する流れにあります。
みずほ銀行の住宅ローンのネット対応
みずほ銀行はメガバンクの中でも早い段階からネット専用の住宅ローンを提供してきました。AIによる事前診断で借入可能性の目安を短時間で確認できるほか、電子契約に対応した来店不要型の住宅ローンを実現しています。
変動金利の基準となる短期プライムレートは、三菱UFJ銀行と同じく2026年8月3日に年2.125%から年2.375%へ引き上げられています(両行が2026年6月16日に公表)。基準金利が上がった場合に返済額へ反映される時期は銀行や契約タイプで異なるため、契約中の方は返済予定表と各行の公式案内で確認してください。
対面相談が減る時代——住宅ローンの選び方の軸
店頭相談の窓口が減り、各行ともネット完結型へ移行するなかで、利用者にとって大切なのは「どこで相談するか」よりも「総支払額で比べる」という視点です。表面の金利が同じでも、事務手数料・保証料・団信(疾病・がん保障)の条件によって最終的な負担は変わります。
| 比較の観点 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 金利 | 最優遇金利だけでなく適用条件(自己資金割合・給与振込等) | 条件を満たせるかで実際の金利が変わる |
| 事務手数料 | 定額型か定率型か(借入額×料率) | 借入額が大きいほど定率型の負担が増える |
| 保証料 | 金利上乗せ型か一括前払い型か、保証会社不要か | ネット銀行・一部メガは保証料0円の商品も |
| 団信・保障 | 一般団信の保障範囲、疾病・がん保障の上乗せ幅 | 上乗せ金利の有無で総コストが変わる |
| 手続き | 来店要否、電子契約の可否(印紙代不要) | 3メガとも電子契約に対応済み |
とくに2026年に入ってからは、金利タイプによって動き方がはっきり分かれています。全期間固定の代表であるフラット35(買取型)は、2026年8月資金受取分で返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下の最も多い金利が年3.290%(住宅金融支援機構)。返済期間20年以下のフラット20は年2.970%、36年以上50年以下のフラット50は年3.500%と、期間が長いほど高くなります。
一方、変動金利の基準である短期プライムレートは、上で見たとおり2026年8月に年2.375%へ改定されました。固定金利は長期金利(10年国債利回り)、変動金利は短期プライムレートと、動く理由も改定のタイミングも別です。実際、民間調査(ダイヤモンド不動産研究所)によれば2026年8月の新規借入の改定は、10年固定が調査対象13行すべてで引き上げだったのに対し、変動は14行中4行の引き上げ・9行が据え置きでした。「固定はほぼ全行が上げ、変動は据え置きが多数」という当月の傾向は、金利タイプを決めるときの参考になります(民間調査・2026年8月時点)。
金利が動く局面では、相談のしやすさやネット手続きの便利さに加えて、金利タイプと総支払額をあわせて見極めることがいっそう重要になります。最新の適用金利は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。
電子契約に切り替えると、実際にいくら変わるのか
「来店しなくてよい」という手間の話に隠れがちですが、電子契約には金額としてはっきり効く節約があります。紙の金銭消費貸借契約書には印紙税がかかり、契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら1通あたり2万円(国税庁の印紙税額一覧表)。借入額が大きくなるほど段階的に上がります。電子契約なら課税文書の作成にあたらないため、この印紙代が不要になります。
ただし、電子契約はあくまで諸費用のうちの一項目です。事務手数料が「借入額×2.20%(税込)」の定率型なら、借入3,000万円で66万円。印紙代2万円とは桁が違います。印紙代の有無で借入先を決めるのではなく、事務手数料・保証料・団信の上乗せまで足した総額で比べるのが順序として正しい見方です。
ネット完結型が向く人・対面相談を残したい人
手続きがネットに寄っていく流れ自体は止まりませんが、誰にとってもネット完結が最適とは限りません。属性や事情によって、相談窓口の有無が意思決定の質を左右することがあります。
| タイプ | 向きやすい進め方 | 理由 |
|---|---|---|
| 会社員・勤続が長い・単独借入 | ネット完結型 | 書類が定型的で、審査の論点が少ない。手数料の安さがそのまま効く |
| 自営業・フリーランス | 相談できる窓口を確保 | 確定申告書の見られ方や必要年数が金融機関ごとに違い、事前に確認する価値が大きい |
| 転職直後・勤続1年未満 | 相談できる窓口を確保 | 勤続年数の扱いが商品ごとに異なり、申込先の選び方で結果が変わりやすい |
| ペアローン・収入合算 | 併用(比較はネット、確認は相談) | 団信の付け方・持分・諸費用が2本分になり、組み方で総額が変わる |
| 住宅の要件が特殊(既存住宅・長期優良等) | 相談できる窓口を確保 | 物件の適合証明や必要書類の判断が必要になる場合がある |
店舗が減ったといっても、各行はテレビ電話・電話・チャットでの相談や、住宅ローンに特化したローンプラザ・相談窓口を残しています。「対面がないから選べない」ではなく、「どの相談チャネルが用意されているか」で見ると選択肢は広がります。
金利水準に加えて諸費用と保障の分かりやすさで比べるなら、SBI新生銀行も検討に値する選択肢のひとつです。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しており、保証料や一部繰上返済手数料がかからず、一般団信の上乗せもありません(融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型)。最新の金利・保障内容は公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 店舗が減ると住宅ローンの相談はできなくなる?
A. 従来型の店舗は減っていますが、テレビ電話や電話・メールでの相談、ローンプラザなど相談に特化した拠点は各行が用意しています。ネット銀行でも電話・メールでの相談サポートがあります。
Q. ネット完結型は対面型より金利が低い?
A. ネット専用商品は店舗コストを抑えるぶん金利・手数料に還元される傾向があります。ただし保証料・団信・事務手数料を含めた総支払額で比べないと、本当の優劣は判断できません。
Q. 電子契約のメリットは?
A. 収入印紙が不要になり、来店せずに契約できます。3メガとも住宅ローンの電子契約に対応しており、紙の契約に比べて印紙代と手間を抑えられます。
Q. 短期プライムレートが上がると、返済額はいつから増える?
A. 変動型は一般に年2回の見直しがあり、適用開始と返済額への反映は別のタイミングです。反映される月は銀行や契約タイプ(毎月見直し型・年2回型など)で異なるため、ご自身の返済予定表と契約先の公式案内で確認してください。5年ルール・125%ルールの有無も商品ごとに違います。
Q. 対面で相談してからネット専用商品に申し込むことはできる?
A. ネット専用商品は申込経路が限定されていることが多く、店頭で相談した場合は対面向けの商品・金利が案内されるのが一般的です。同じ銀行でも申込経路によって金利や手数料が違うことがあるため、相談の時点で「どの経路の条件を説明されているのか」を確認しておくと、あとで条件が変わって驚くことを避けられます。
