2020年春に発生した新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによりアメリカはもちろん多くの国の中央銀行が大胆な金融緩和を実施しました。

コロナ渦での米国政府によるコロナ対策の大型の財政出動で米国経済は回復傾向にあり、テーパリングの議論が活発になっています。

アメリカの政策金利が上がれば、日本の長期金利も連動し債券安(利回り高)になると可能性もあります。

今回は、アメリカのテーパリング・利上げが日本の住宅ローン金利に与える影響を考えて行きたいと思います。

FRSのあるエクルズ・ビル(Eccles Building)

アメリカは新型コロナウイルスのパンデミックに対する大規模な財政支出、金融緩和を実施中

新型コロナウイルスパンデミック下での金融政策

2016年12月にリーマンショックを受けた金融緩和の1つであつゼロ金利政策が終了、利上げが実施されました。

その後2018年12月まで段階的に政策金利は引き上げられ、2.50%~2.75%となりました。2019年に入ると景気後退の気配、株価の調整などを受け、7月、9月10月と政策金利の引き下げが行われました。

景色一変したのは、2019年に中国の武漢で発生したとされる新型コロナウイルスのパンデミックで、2020年2月に入りヨーロッパで大規模な感染拡大が起こり株価が急落するなどの混乱が発生、2020年3月にFRBがいっきに0%~0.25%に政策金利を引き下げました。

FRBは政策金利の引き下げ以外にも、量的緩和の拡大(米国国債、MBS購入)、貸出オペレーション(中小企業向けの債権買取、社債買取、地方公共団体向けの貸出など)の実施などを行っています。中央銀行が中小企業の債権を買取るのは世界的にも異例のことであり、注目を浴びました。

FRBの政策金利の推移

新型コロナウイルスパンデミック下での財政支出

米国政府は新型コロナウイルスのパンデミックを受けて大型の財政支出を何度も実施しています。主な施策は以下のようになります。

時期規模内容
2020年3月83億ドルワクチンの研究開発費など
 1,929億ドル医療費補助率引き上げなど
 2兆2,830億ドル現金給付など
2020年4月4,840億ドル中小企業の給与補填など
2020年12月9,000億ドル現金給付など
2021年3月1兆9,000億ドル現金給付など

2021年7月時点で、上記に続き、第5弾の経済対策について協議が始まっています。

大型の財政支出による現金給付、失業保険により個人消費が大幅に伸びている状況です。

 

テーパリングについて

大型の財政支出により個人消費が大きく伸びる、雇用情勢も改善されていることから、量的金融緩和の縮小が議論されるようになっています。量的金融緩和政策を段階的に縮小することを「テーパリング」と呼んで今酢。

デルタ株による感染拡大が世界中で発生していますが、その中でも米国経済は比較的好調な状況で、個人消費が大きく伸び、雇用情勢も改善、物価も上昇していることから、年内に量的金融緩和の縮小の緩和がアナウンスされ、2022b年前半に実際に縮小が開始されるという見方が支配的です。

 

住宅ローン金利にはどんな影響が?

アメリカの量的金融緩和が縮小となると、日本の国債市場にも影響が出ます。

冒頭にお話したように、債券安(利回り高)となる可能性があります。

新発10年物国債の利回りである長期金利は、住宅ローンの長期の固定金利の重要な指標です。この長期金利が上昇すれば住宅ローンの金利引き上げの要因になりますが、日本では金融緩和の真っ最中です。

日銀による金融緩和策、「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」をおこなっていて、長期金利は外的な要因があっても大きく変動することは無い状況にあります。

つまり、今後も住宅ローン金利は大きく上昇することなく現在の低金利の水準を維持することになる可能性が極めて高い状況です。

 

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