フラット35の返済方法の変更を検討する夫婦のイメージ

フラット35の返済が苦しくなったときは、住宅金融支援機構の「返済方法変更メニュー」で、返済期間の延長(最長15年)や一定期間の返済額の減額、ボーナス返済の見直しを申し出ることができます。変更の手数料はかからず、相談先は機構ではなく、いま返済している金融機関です。

ただし、どのメニューも審査があり、毎月の負担が軽くなる代わりに総返済額は増えるのが原則です。満70歳以上で、ほかのメニューでも返済を続けるのが難しい人には、毎月の支払いを利息のみにする「シルバー返済特例」が用意されています。

返済困難者への特例=返済方法変更メニュー(3タイプ)

現在、機構の返済方法変更メニューは大きく次の3つのタイプに分かれています(住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」)。複数のタイプを組み合わせて利用できる場合もあります。

タイプ内容こんな人向け
Aタイプ返済期間の延長(最長15年)など離職や病気等で収入が減少し、返済が大変になった
Bタイプ一定期間における返済額の減額しばらくの間、返済額を減らして返済したい
Cタイプボーナス返済月の変更、毎月分とボーナス分の内訳変更、ボーナス返済の取り止めボーナス返済が負担になっている

Aタイプ:返済期間の延長など

返済期間の延長(最長15年)を行うことができます。失業中の方や収入が大きく減少した方は、元金の支払いを一時休止して利息のみを支払う期間(最長3年)を設定でき、その期間中は金利を引き下げられる場合もあります。延長できるのは完済時の年齢が80歳になるところまでです。

月々の返済額は減少しますが、返済期間が延びるため総返済額は増加します。機構も、延長は相談のうえ必要最低限にとどめるよう勧めています。

対象となる条件(機構公式チラシより)

特例の対象となるのは、次の3つの項目すべてにあてはまる方です。

  1. 離職(倒産・リストラ・減収等)や病気・けが・介護などの事情により返済が困難になっていること
  2. 以下の収入基準のいずれかを満たすこと ・収入倍率(年収が機構への年間総返済額の4倍以下) ・収入月額が、世帯人数×64,000円以下 ・住宅ローンの返済負担率が下表の割合を超え、収入減少割合が20%以上
  3. 返済方法の変更により、今後の返済を継続できること
年収300万円未満300万円以上
400万円未満
400万円以上
700万円未満
700万円以上
返済負担率の基準30%35%40%45%

※返済負担率は機構に加えて民間などの住宅ローンを含めた年間総返済額の年収に対する割合。収入減少割合は前々年と前年の収入額を比べて判定します(住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」)。

利息のみ支払う期間の設定は、上記に加えて現に失業中である方、または収入が20%以上減少した方が対象になります。自営業の方の場合は、業績不振による倒産・廃業や、受注減・売上減による減収も「離職等」に含まれます。詳細な基準は機構・取扱金融機関の審査によります(住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」)。

Bタイプ・Cタイプ:返済額の減額・ボーナス返済の見直し

  • 一定期間、返済月額を減額する方法(Bタイプ) 子どもの進学による教育費や入院の医療費など、一定期間の支出増が見込まれるときに使えます。減額した分、減額期間終了後に返済月額は増加します。
  • ボーナス返済分の返済額の変更・ボーナス返済の取りやめ(Cタイプ) ボーナス支給の減少に合わせて、ボーナス返済月の変更や、毎月返済とボーナス返済の内訳の見直しができます。

機構が示しているBタイプの例では、融資額2,000万円・金利3.00%・35年返済で返済開始から4年経った時点に3年間の減額を適用すると、毎月の返済額は76,970円から50,000円に下がり、減額期間の後は81,436円に上がります。減らした分は後ろへ回るだけなので、減額期間が終わった後の家計で払えるかを先に確かめておく必要があります。

タイプの組合せ(例:ボーナス返済の見直し+期間延長)も可能です。ただしAタイプで元金の支払いを一時休止する場合は、Bタイプとは組み合わせられません。上記のメニューでも返済の継続が難しい満70歳以上の方には「シルバー返済特例」を適用できる場合があります。

シルバー返済特例とは=満70歳以上で利息のみの返済に切り替える特例

シルバー返済特例は、ほかの返済方法変更メニューでは返済の継続が見込めない満70歳以上の方が、毎月の支払いを利息のみとし、債務者全員が亡くなったときに自宅の売却で返済する仕組みです。売却しても債務が残った場合、その部分は相続人に請求されません。

主な条件は、満70歳以上であること、融資住宅に住み続ける予定であること、返済開始から20年以上たっていること、遅れなく返済していること、一定の収入基準を満たすことなどです(2026年4月の機構の案内)。団体信用生命保険に加入している場合は脱退が必要で、推定相続人など利害関係人全員の同意も求められます。

注意したいのは、利息のみの支払いでは元金がまったく減らない点です。また、相続人が自宅を売却しない場合は残債務の一括返済を求められ、適用後に返済が滞ったときも全額の一括返済となります。家族と住まいの将来を話し合ってから申し出る制度といえます。

いずれのメニューも、適用できるかどうかは機構・金融機関の審査で判断されます。月々の負担が軽くなる代わりに総返済額は増えるのが原則なので、家計が回復したら期間短縮や繰上返済で取り戻す、という出口まで含めて検討するのが現実的です。

返済が困難になりそうなときは

最初の連絡先は、返済中の金融機関(融資を申し込んだ金融機関)です。電話でも窓口でも構いません。状況と希望を伝えると、合う返済方法変更メニューの提案と返済予定額の説明を受けられ、申請後に機構・金融機関が適用の可否を審査します。審査には一定の時間がかかるため、早めの連絡が欠かせません。

返済方法変更の手数料はかかりません。フラット35は、独立行政法人である住宅金融支援機構が特例の条件を文書で公開しているため、相談の前にどのメニューに当てはまりそうかを自分で見当を付けられる点が特徴です。

万が一、返済を滞納するようなことになる前に、金融機関へ相談することが大切です。延滞が発生してからでは選べるメニューが狭まり、個人信用情報に延滞の記録が残るおそれもあります。機構の返済方法変更を使っても他の借入れを含めて返済が難しい場合は、裁判所を通じて負債を整理する個人版民事再生という方法もあり、機構は弁護士など法律の専門家への相談を案内しています。

住宅ローンの返済を滞納するとどうなるのか

 

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手数料・団信の条件は改定されることがあります。総額で比べる際は、各金融機関の最新の条件表を基にしてください。

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