転職を機にマイホーム購入と住宅ローンを検討する人のイメージ
総務省の労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果によると、転職者数は330万人。ピークだった2019年の353万人には届かないものの、2015年の299万人からは高い水準が続いています。さらに「転職等希望者」は1,023万人と前年から23万人増え、公表されている範囲で最多の水準となりました。総務省・労働力調査

転職は一般的になり続けており、マイホームの購入を転職を機に検討する人は少なくありません。住宅購入のきっかけは「結婚」「子供の出生」「転勤」に次いで「転職」が多いと言われています。転職で年収が上がったことを機に購入したり、新しい勤務先に通いやすい場所に住み替えたりするケースは十分に考えられます。

この記事では、転職後の人でも住宅ローンは利用できるのか、転職したばかりでも使える住宅ローンを、当サイトの視点(金利だけでなく審査条件・総コストまで含めて)でご紹介します。

転職後でも住宅ローンは利用できるのか?

転職すると、基本的に勤続年数がリセットされ、新しい職場での勤続が新たにカウントされます。転職後の住宅ローン利用は金融機関ごとに条件が異なるため一概には言えませんが、転職後はこの「勤続年数」に気をつける必要があります。

国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(令和8年3月公表)によると、勤続年数を「融資を行う際に考慮する項目」とした金融機関の割合は93.9%(回答994機関のうち933機関)でした。国土交通省

同じ調査で、勤続年数の具体的な条件として最も多かったのは「1年以上」で612機関。次いで「その他」168機関、「3年以上」128機関、「2年以上」53機関という内訳です。多くの金融機関が求めるのは「1年以上」で、3年を求めるところは少数派とわかります(最新の調査結果は国土交通省の公表資料でご確認ください)。

審査項目としてはほかに「完済時年齢」98.4%、「健康状態」96.1%、「借入時年齢」96.2%、「年収」94.2%が9割を超えており、勤続年数は数ある審査項目の一つという位置づけです。「勤続年数が短い=即アウト」ではなく、年収・返済負担率・健康状態といった他の項目とあわせて総合的に判断されます。

また同調査では、「雇用形態」を審査項目とする機関が70.6%あり、その内訳は「派遣社員は対象外」368機関・「契約社員は対象外」312機関でした。転職そのものより転職後の雇用形態のほうが、申込先を絞り込む条件になりやすい点は押さえておきましょう。

住宅ローンの審査では、金融機関は申込人の職業の安定性と所得の継続性を重視します。転職で収入が減った、転職した会社をすぐ退職して収入が途絶える、といったリスクを避けるため、転職直後の人は慎重に審査される傾向があります。

その一方で、転職したばかりでも住宅ローンの申込を可能としている金融機関もあります。転職後に住宅ローンを利用したい場合は、勤続年数の条件について最初に確認するようにしましょう。

転職後の住宅ローン利用における注意点

転職後に住宅ローンを利用する場合、転職後の収入証明として以下の書類の提出を求められることがあります。金融機関によっては職歴書(学校卒業後からの職歴・転職理由)の作成・提出が必要な場合もあるため、申込時に必要書類を確認しておきましょう。

・雇用契約書、オファーレター(採用通知書)

・年収証明書(年収見込証明書)

・給与明細

同業種へのキャリアアップ転職など、収入の継続性を説明できるケースでは、前職の経験を考慮してもらえることもあります。勤続年数が短い場合は、事情を相談してみるとよいでしょう。

あわせて注意したいのがタイミングです。多くの金融機関は「転職後の年収がわかる書類」を求めるため、内定は出ているがまだ勤務を開始していない段階では申し込めないことがあります(実際、SBI新生銀行は転職予定の場合、新しい勤務先での勤務開始日以降からの申込としています)。転職と住宅購入が重なりそうなときは、「いつから申し込めるのか」を先に確認してからスケジュールを組むと安全です。

転職したばかりでも利用できる住宅ローン

転職したばかりの人に対応した住宅ローンを提供している金融機関はそれほど多くありませんが、ネット銀行等を中心にいくつか取り扱いがあります。特徴やおすすめのポイントを紹介します。

※細かな条件・適用金利は金融機関や時点によって異なります。2026年8月時点では金利が上昇局面にあるため、最新の金利・条件は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

SBI新生銀行の住宅ローン

SBI新生銀行は、公式のよくあるご質問で「会社員の方は転職をされた直後でもお申し込みいただけます」と明記しています。商品説明書(2026年3月2日現在)の申込条件にも勤続年数の下限は設けられていません(条件は「前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること」)。ただし個人事業主・自営業の方は現在の業務での業歴が2年以上必要です。転職した場合は前職ではなく現在の仕事の年収がわかる会社発行の収入証明書を本審査で提出し、マイページの職業情報から転職歴を入力します。

諸費用の面でも、保証料は不要・一般団信の上乗せ0円で、事務取扱手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型(電子契約の場合は別途5,500円・税込)。転職歴の有無で適用金利や諸費用が変わる仕組みではないため、転職直後の方はまず検討してみる価値があります。

金利

変動金利(半年型)タイプ・当初固定金利タイプ・長期固定金利タイプを取扱い。最新の適用金利は公式サイトでご確認ください(2026年8月時点では金利が上昇しています)。

年齢

借入申込時の年齢が20歳以上65歳以下で、かつ、完済時年齢が80歳未満であること

借入金額

住宅購入・新築資金は500万円以上3億円以下(10万円単位)。借換資金やリフォーム資金を含む場合は500万円以上1億円以下

借入期間

変動金利(半年型)タイプの住宅購入・建設資金は5年以上50年以内。借換・リフォーム資金を含む場合と当初固定金利タイプは5年以上35年以内、長期固定金利タイプは21年以上35年以内(いずれも完済時80歳未満)

年収基準

前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること。自営業の方については業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)を有すること。

転職者の申し込みに際しての注意点

会社員は転職直後でも申込可能(転職予定の場合は新しい勤務先での勤務開始日以降)。本審査では現在の仕事の年収がわかる会社発行の収入証明書を提出し、マイページの「職業情報」から転職歴を入力します。

ソニー銀行の住宅ローン

ソニー銀行の住宅ローンは、勤続(営業)年数による申し込み条件を設けていません。年収基準は400万円以上と他金融機関に比べると高めですが、キャリアアップ転職などで年収基準を満たす方なら積極的に検討できます。

金利

住宅ローン・変動セレクト住宅ローン・固定セレクト住宅ローンを取扱い。最新の適用金利は公式サイトでご確認ください(2026年8月時点)。

年齢

申し込み時の年齢が満20歳以上、借り入れ時満65歳未満で、完済時満85歳未満であること(ワイド団信を利用する場合は完済時満81歳未満)

借入金額

500万円以上2億円以内(10万円単位)

借入期間

住宅ローン・変動セレクト住宅ローンは1年以上50年以下、固定セレクト住宅ローンは10年以上50年以下(いずれも1ヶ月きざみ)

年収基準

前年度の年収(自営業の方は申告所得)が400万円以上あること

転職者の申し込みに際しての注意点

昨年または今年転職をされた方は、本審査申し込みにあたり、以下の書類を提出する必要があります。

①転職時に新勤務先の人事部などから提示された雇用契約書、採用通知書、あるいは本年度の年収見込証明書等、収入金額記載の書類

②転職後の給与明細・賞与明細(支給がない場合は不要)

auじぶん銀行の住宅ローン

三菱UFJ銀行とKDDIの共同出資で生まれたネット銀行であるauじぶん銀行。ネット銀行の中でもトップクラスの低金利水準の住宅ローンを取り扱っています。申込条件に勤続年数の定めはありませんが、転職歴は申込時に申告が必要で、本審査で職歴や収入に関する追加書類を求められる場合があります(詳細は公式サイトでご確認ください)。

金利

変動金利:1.134%(全期間引下げプラン)

10年固定金利:[jibun-10nenkotei](当初期間引下げプラン)

※2026年8月適用金利

年齢

申し込み時の年齢が満18歳以上満65歳未満で、最終返済時が満80歳の誕生日までであること

借入金額

500万円以上2億円以下(10万円単位)

借入期間

1年以上50年以下。ただし借入期間を35年1ヶ月以上(長期返済)とする場合は年0.100%の上乗せが発生します

年収基準

前年度の年収(自営業の場合は申告所得)が200万円以上

転職者の申し込みに際しての注意点

申込時に転職歴の入力が必要です。本審査では職歴書など、職歴・収入を確認する書類の提出を求められる場合があります。必要書類は公式サイトの案内でご確認ください。

※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。審査の結果、保証会社を利用する場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途発生する保証料はありません。

SBIアルヒのフラット35

住宅金融支援機構の「フラット35」は民間の金融機関とは異なり、勤続年数や雇用形態が申し込み要件になっていないため、転職直後で勤続年数が短くても、その他の申し込み要件を満たせば利用できるのが特徴です。派遣社員・契約社員でも、収入を証明できれば土俵に乗れる点は、上で見た民間銀行の「雇用形態」条件との大きな違いです。一方でフラット35は全期間固定金利のため、ネット銀行などの変動金利商品と比べると金利は高めに設定されている点には注意が必要です。

SBIアルヒ(旧ARUHI)はフラット35の取扱実績で長年トップクラスのシェアを持ち、SBIアルヒ ダイレクト(Web本申込)の事務手数料は対象商品で2.20%(税込・最低220,000円)です(以前あったWeb申込での半額優遇は終了しています)。現在は2026年3月2日から2027年3月31日までにWeb申込と電子契約を利用してフラット35・スーパーフラットを借り入れた場合、1債権あたり融資事務手数料が33,000円(税込)引き下げられるキャンペーンが実施されています(同社公式)。

金利

全期間固定(フラット35・フラット20など)。2026年8月資金受取分の買取型・融資率9割以下の最も多い金利は年3.290%(返済期間21年以上35年以下)、フラット20(返済期間20年以下)は年2.970%。最新の適用金利は公式でご確認ください(実行時の金利が適用)。

年齢

申し込み時の年齢が満70歳未満

借入金額

100万円以上1億2,000万円以下(1万円単位)

借入期間

15年以上35年以内(1年単位)

年収基準

最低年収等の制限はなし(返済負担率の基準あり)

転職者の申し込みに際しての注意点

転職後、1回以上給与受給があれば申し込みできます。勤務先に「転職後の収入を証明する書類」を作成してもらい、その書類に記入された転職後の収入を、給与の支給された月数で割り戻し、その金額を年収とみなします。

「借りられるか」だけでなく「総コスト」でも比べる

転職直後は選択肢が絞られるため、つい「申し込めるかどうか」だけで決めてしまいがちです。しかし住宅ローンは何十年も付き合う契約なので、入口の条件と、返済中にかかるコストは分けて見る必要があります。上で挙げた4つの選択肢を、当サイトの視点(総支払額)で並べると次のようになります。

比較の観点見るポイント備考
入口(勤続年数)下限を設けているか、雇用形態の制限があるかフラット35は勤続年数・雇用形態が要件ではない
年収のハードル200万円台〜400万円と幅がある転職で年収が下がった年は前年基準か現在基準かも確認
事務手数料定率型(借入額×2.20%〈税込〉)が主流借入3,000万円なら66万円。入口条件より金額インパクトが大きい
保証料0円の商品か、金利に含まれるか審査結果で保証付プランになると条件が変わる商品もある
団信の上乗せ一般団信が0円か、疾病・がん保障で上乗せがあるか毎年かかるため総返済額への影響は一時金より大きくなり得る
借入期間の上限35年か、それを超える長期返済が選べるか長期返済は月々を抑えられるが、上乗せ金利と総利息が増える

とくに借入期間が長期化している点は、転職直後の方が知っておきたい変化です。返済期間を延ばせば月々の負担は下がりますが、その分だけ利息を払う期間も長くなり、完済時年齢も上がります。上乗せ金利が設定される商品もあるため、「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から逆算しましょう。

属性別の注意点(よくある質問)

Q. 転職直後(勤続1年未満)でも申し込める?
A. 勤続年数を条件にしない金融機関(ソニー銀行・SBI新生銀行など)や、雇用形態・勤続を問わないフラット35なら、転職直後でも申込が可能です。年収見込証明書や雇用契約書など、収入の継続性を示す書類を準備しましょう。

Q. 自営業・フリーランスになったばかりだと?
A. 多くの金融機関は自営業に「業歴2年以上・2年平均の所得」を求めます(SBI新生銀行も業歴2年以上・2年平均300万円以上)。開業直後は審査が通りにくいため、確定申告の実績を積んでから検討するか、年収・所得基準のないフラット35を軸に考えるとよいでしょう。

Q. 派遣社員・契約社員に転職した場合は?
A. 国土交通省の調査では、雇用形態を審査項目とする機関のうち「派遣社員は対象外」が368機関、「契約社員は対象外」が312機関ありました。勤続年数より雇用形態のほうが門前払いになりやすいため、対象となる商品かどうかを最初に確認してください。SBI新生銀行は正社員に加えて契約社員も対象で、フラット35は雇用形態を問いません。

Q. 転職前に申し込んで、転職後に実行することはできる?
A. 審査は申込時点の勤務先・収入を前提に行われるため、実行前に転職すると再審査になったり、条件が変わったりする可能性があります。転職の予定がある場合は、申込前に必ず金融機関へ相談してください。逆に転職を予定している段階では申し込めない金融機関もあります(SBI新生銀行は勤務開始日以降)。

Q. 金利が低い銀行を選べば総支払額も安い?
A. 必ずしもそうとは限りません。表面金利が同じでも、事務手数料(定率型か定額型か)・保証料・団信の上乗せで総支払額は変わります。転職直後で選択肢が限られる場合こそ、金利・諸費用・団信を含めた総コストで比べることが大切です。

まとめ

転職後・転職したばかりの人でも申し込みできる住宅ローンを紹介してきました。転職者の申込を可としている金融機関でも審査は慎重に行われるため、転職直後でも申し込めることを公式に明記しているSBI新生銀行を有力候補としつつ、他のネット銀行等にも並行して申し込むと安心です。勤続年数や雇用形態が不問のフラット35は、審査に不安がある方にもおすすめできます。

2026年8月は金利が上昇局面にあり、変動・固定とも金利が動いています。転職という事情で選択肢が絞られるときほど、金利だけでなく審査条件・必要書類・総コストを見比べて選びましょう。追加書類の提出など一定の条件を満たせば住宅ローンは利用できますので、躊躇せず申し込んでみる気持ちも大切です。最新の金利・条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。