外国人でも借りられる住宅ローンは?

近年、外国人労働者の増加にともなって、日本国籍のない人でも日本で住宅を購入したいと考えるケースが増えています。

出入国在留管理庁が発表した最新の在留外国人数は2021年6月時点で約282万人でした。この数字はおおよそ茨城県の人口(約285万人)と同じ水準となっています。新型コロナウイルス対策として外国人の新規入国を制限した影響が出たため2020年6月時点より約6万人ほど少なくなりましたが、近年その数は増加傾向にあります。

 

このように日本には多くの外国人が暮らしていますので、日本に長く住むことを考え、日本でマイホームを購入したいと考える人も増えています。海外では、その国に永住権をもたない人は不動産を買えない国もありますが、日本では永住権がなくても土地や住宅を購入することができます。

マイホームを購入できると言っても、自己資金が無い場合は住宅ローンを借りる必要があります。数千万円という大きなお金を金融機関から借りて、数十年と長期にわたって返済をするのが住宅ローンです。そのため、金融機関は貸し出す相手がきちんと返済できるのかを判断する際に、年収や勤続年数などいろいろな情報を調べます。

 

特に外国人の方については、住宅ローンを貸した後にその人が自分の国に帰国してしまったら住宅ローンの回収が難しくなるという大きなリスクがあるので、「永住権があるか」「日本人の配偶者がいるか」などの定住性を重視して審査が行われます。

外国人でも日本で住宅ローンを組めるの?

外国人が日本で住宅を購入する際、日本の金融機関で住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。

 

結論から申し上げると外国人でも日本の金融機関で住宅ローンを組むことができます。ただし永住権を持っているか持っていないかによって、利用できる住宅ローンが変わってきます。永住権がある外国人の場合、基本的には日本人と同じように住宅ローンを利用できると考えて良いでしょう。

 

永住権が無い外国人でも住宅ローンを組める?

永住権をもたない外国人の場合には、金融機関によっては融資を取り扱っていなかったり、取り扱っていても、審査を通過するのが難しくなってしまいがちですが、永住権のない方に対応した住宅ローンの審査に通過できれば住宅ローンを利用することができます。

 

以下では、永住権のない外国人が住宅ローンを組むための注意点や、永住権がなくても利用できる住宅ローンについてご説明していきたいと思います。

 

外国人が住宅ローンを組むときの注意点

外国人が住宅ローンを契約する際には、金融機関の「口座開設」について気を付けておく必要があります。

なぜなら、ほとんどの金融機関では住宅ローン返済口座は自行の普通預金口座のみと定めており、住宅ローンを契約するならば、その金融機関の普通預金口座を持っておかないといけないからです。

 

普通預金口座を持っていない場合は、口座開設しないといけませんが、外国人の場合、日本人に比べそもそもの銀行口座の開設条件が少し厳しくなっている場合があります。たとえば、外国人が日本で口座を開設するには、基本的に在留カードが必要になリますが、90日以下の観光ビザなど在留期間が3ヶ月未満の方は在留カードが発行されません。そのため、在留期間が3ヶ月未満の方で在留カードが発行されない方は必然的に日本で銀行口座を開設することができません。また、在留資格が外交・公用・短期滞在の場合も原則として口座開設できないと考えておきましょう。

 

永住権が無い外国人におすすめの住宅ローン

次に永住権の無い外国人に対応した金融機関の住宅ローンの特徴やおすすめのポイントをご紹介します。(永住権の無い外国人に対応した住宅ローンを提供している金融機関はそれほど多くありません。)

※細かな条件などは金融機関によって異なりますので、必ず各金融機関に確認してください。

 

SBI新生銀行の住宅ローン

SBI新生銀行の住宅ローンは、永住権の無い外国人でも配偶者が日本国籍または永住許可を持っていて、その配偶者が連帯保証人となる形であれば申し込み可能となっています。

日本人でも外国人でも同じ住宅ローン商品の申し込みとなり、金利や商品性も同一条件で借入できるため、商品性も非常に競争力のある内容になっています。SBI新生銀行の住宅ローンは、特に初期費用を抑えることができることで人気を集めています。

初期費用(事務手数料がわずか55,000円(税込)~)で、事務手数料の安さでは国内トップクラスとなっており、そのうえ保証料は0円となっています。融資上限の3億円を借りた場合でも事務手数料が55,000円(税込)~&保証料無料で借りられるのは驚異的です。

金利や商品についても通常の住宅ローンと同様ですし、住宅ローンの審査で金利を上乗せされたりする心配もなく、外国籍の方であれば、最初にSBI新生銀行の住宅ローンを候補に加えることをおすすめします。

また、転職したばかりの人でも前職とのブランクが大きく空いていなければ借入条件をクリアできるのも魅力的で、キャリアアップなどのため転職したばかりの外国籍の人なども問題なく申し込みできるのも大きな魅力となっています。

金利

変動金利 年0.45%(変動フォーカス) / 10年固定 年1.05%

※2022年8月契約の場合

年齢

借入申込時の年齢が20歳以上65歳以下で、かつ、完済時年齢が80歳未満であること

借入金額

500万円以上3億円以下(10万円単位)

借入期間

5年以上35年以内(1年単位)

年収基準

連続した就業2年以上、かつ前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること。

自営業の方については業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)を有すること。

外国人の借り入れ条件

永住許可を保有している場合には、日本国籍を有する個人と同条件。

永住許可がない場合には、日本国籍を有している配偶者または永住許可のある外国籍の配偶者が連帯保証人になることが条件。

外国語サポート

英語での対応は可能。

ウェブサイトに英語版の申込書があるので、まずは申込書をプリントアウトし必要事項をすべてご記入の上、SBI新生銀行宛に郵送。

申込書到着後、借り入れまで英語対応の担当者がサポート。

 

SMBC信託銀行(プレスティア)の住宅ローン

SMBC信託銀行の住宅ローンは、日本に居住している外国人の場合、在留資格(短期滞在を除く)を持っていて、日本語もしくは英語での意思疎通が可能であれば、永住権がなくても申込が可能です。一方で基本プランの金利水準が高く、金利優遇を受けるためには5,000万円以上の借入等の条件があったり、対象エリアが限定されていたりするため申込みの際には注意が必要です。

 

金利

変動金利 年1.21% (特別金利プラン 年0.47%)/ 10年固定 年1.90%(特別金利プラン 年1.02%)

※2022年8月契約の場合

※特別金利プランは5,000万円以上の借入などの条件を満たすことで利用可能。

年齢

借入時の年齢が満20歳以上、完済時の年齢が満80歳の誕生日まで

借入金額

1,000万円以上5億円以内(10万円単位)

借入期間

1年以上35年以内

年収基準

前年度の年収(自営業者は申告所得額)が500万円以上(不動産投資ローンは700万円以上)で安定した収入がある人

外国人の借り入れ条件

-日本に居住している外国籍の方

在留資格(短期滞在を除く)があれば、永住権がなくても申込が可能。

-日本語もしくは英語で意思疎通可能なお客さま

各種契約書類は日本語だが、英語訳書類の用意もあり。

外国語サポート

英語での対応は可能。

 

東京スター銀行の住宅ローン

東京スター銀行の親会社は台湾のメガバンク、中國信託商業銀行というだけあって、外国人向けに手厚いサービスを提供しています。特に東京スター銀行の全支店で中国語と英語による口座開設や住宅ローンなどのテレビ相談・対応が可能という点が、他の金融機関にはない特徴です。

日本に居住していて、配偶者などのサポートを受けながらでも日本語の契約規定を理解できる人であれば申し込み可能ですが、金利水準はやや高めに設定されている点には注意が必要です。一方で、契約後借り入れ期間中に永住許可を取得された際には、所定の審査の上、金利優遇を受けられる可能性もあるため、永住許可を取得予定の外国人の方には、使いやすい商品性となっています。またHPを見ても日本語、英語、中国語でわかりやすく住宅ローンが案内されている点も非常に好感がもてます。特に中国語での住宅ローン案内を実施している数少ない金融機関の1つと言えます。

金利

変動金利 年1.25%〜 / 10年固定 年2.90%〜

※2022年8月契約の場合

年齢

25歳以上65歳以下の方で、完済時の年齢が75歳以下

借入金額

500万円以上1億円以内(10万円単位)

借入期間

1年以上35年以内

年収基準

税込年収400万円以上

外国人の借り入れ条件

-日本にお住まいの方。

-日本語の契約規定を理解できる方(配偶者または法律専門家の助けを得て理解できる場合を含む)。

外国語サポート

全支店で外国語(中国語、英語)によるテレビ相談・対応可能が可能。

一部外国語の翻訳資料の用意がありますが、原則として全てのお取り引きは日本語の契約書および説明資料にのみ依拠しています。外国語の契約書および説明資料は、あくまで参考のために作成された翻訳資料であることにご留意ください。

 

イオン銀行の住宅ローン

イオンユーザーからの高い評価を受けているイオン銀行の住宅ローンにも、永住権のない外国人向け商品が用意されています。ただし、金利がかなり高く設定されていたり、自己資金を20%以上準備する必要があるなど、かなり厳しい条件となっています。他社の住宅ローンの審査に落ちてしまった場合に、借り入れを検討するのが良いでしょう。

 

金利

変動金利 年3.37%〜 

※2022年8月現在

年齢

お借入れ時の年齢が満20歳以上満71歳未満で、最終ご返済時の年齢が満80歳未満の方

ただし、全疾病団信住宅ローン、がん保障付住宅ローン、8疾病保障付住宅ローンを選ぶ場合は、お借入れ時の年齢が満20歳以上満 50 歳未満で、最終ご返済時の年齢が満80 歳未満の方

借入金額

2百万円以上1億円以内(10万円単位)

借入期間

1年以上15年以内(1カ月単位)

年収基準

給与所得者および会社経営者の方は前年度年収100万円以上、個人事業主の方は 前年度所得が100万円以上であること

外国人の借り入れ条件

-日本にお住まいの方。

-日本語(読み、書き)が理解できる方

-住宅購入金額の20%以上の自己資金を用意される方

外国語サポート

なし

 

まとめ

今回の記事では、永住権の無い外国人でも申込みができる各社の住宅ローンを紹介してきました。永住権のない外国人の住宅ローンの選び方として、まずは各社の外国人の借入条件を比較しご自身が金融機関の借入条件に合致するのかを確認するようにしましょう。単独での借入を希望されるのか、配偶者にも住宅ローンに参加してもらうのかによって、取扱い可否が変わってきます。

ちなみに、複数の金融機関を比較してみると各社様々な特徴がある事がわかりますが、金利やその他条件を考慮すると、まずSBI新生銀行から申し込みしてみるのが良いのではないでしょうか(日本人or永住権のある配偶者がいらっしゃる外国人の場合)。ただし、SBI新生銀行も外国人に対しては厳格に審査を行っていて審査に落ちる可能性がありますので、この記事で紹介した他の金融機関も候補としておくようにしましょう。

 

日本人に比べて若干ハードルが高くなる外国人の住宅ローン利用ですが、永住権がなくても一定の条件を満たすことで住宅ローンを利用することができるので、ぜひ参考にしてみてください。