日本で住宅を購入する外国人のイメージ

近年、外国人労働者の増加にともなって、日本国籍のない人でも日本で住宅を購入したいと考えるケースが増えています。

出入国在留管理庁の発表によると、2025年(令和7年)末時点の在留外国人数は412万5,395人と過去最高を更新し、初めて400万人を超えました(前年末比35万6,418人・9.5%増)。在留資格別で最も多いのは「永住者」の94万7,125人で、日本に生活基盤を置く人が着実に増えていることがうかがえます。

 

このように日本には多くの外国人が暮らしていますので、日本に長く住むことを考え、日本でマイホームを購入したいと考える人も増えています。海外では、その国に永住権をもたない人は不動産を買えない国もありますが、日本では永住権がなくても土地や住宅を購入することができます。

マイホームを購入できると言っても、自己資金が無い場合は住宅ローンを借りる必要があります。数千万円という大きなお金を金融機関から借りて、数十年と長期にわたって返済をするのが住宅ローンです。そのため、金融機関は貸し出す相手がきちんと返済できるのかを判断する際に、年収や勤続年数などいろいろな情報を調べます。

 

特に外国人の方については、住宅ローンを貸した後にその人が自分の国に帰国してしまったら住宅ローンの回収が難しくなるという大きなリスクがあるので、「永住権があるか」「日本人の配偶者がいるか」などの定住性を重視して審査が行われます。

外国人でも日本で住宅ローンを組めるの?

外国人が日本で住宅を購入する際、日本の金融機関で住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。

 

結論から申し上げると外国人でも日本の金融機関で住宅ローンを組むことができます。ただし永住権を持っているか持っていないかによって、利用できる住宅ローンが変わってきます。永住権がある外国人の場合、基本的には日本人と同じように住宅ローンを利用できると考えて良いでしょう。

 

永住権が無い外国人でも住宅ローンを組める?

永住権をもたない外国人の場合には、金融機関によっては融資を取り扱っていなかったり、取り扱っていても審査を通過するのが難しくなってしまいがちですが、永住権のない方に対応した住宅ローンの審査に通過できれば住宅ローンを利用することができます。

 

実際に各行の申込条件を並べてみると、ハードルの置き方が金融機関ごとにまったく違うことが分かります。「配偶者の国籍で開く道」「年収で開く道」「自己資金で開く道」の3通りがあり、1行に断られても、別の条件で見れば通る可能性が残るということです。以下では、永住権のない外国人が住宅ローンを組むための注意点や、永住権がなくても利用できる住宅ローンについてご説明していきたいと思います。

 

外国人が住宅ローンを組むときの注意点

外国人が住宅ローンを契約する際には、金融機関の「口座開設」について気を付けておく必要があります。

なぜなら、ほとんどの金融機関では住宅ローン返済口座は自行の普通預金口座のみと定めており、住宅ローンを契約するならば、その金融機関の普通預金口座を持っておかないといけないからです。

 

普通預金口座を持っていない場合は、口座開設しないといけませんが、外国人の場合、日本人に比べそもそもの銀行口座の開設条件が少し厳しくなっている場合があります。たとえば、外国人が日本で口座を開設するには、基本的に在留カードが必要になりますが、90日以下の観光ビザなど在留期間が3ヶ月未満の方は在留カードが発行されません。そのため、在留期間が3ヶ月未満の方で在留カードが発行されない方は必然的に日本で銀行口座を開設することができません。また、在留資格が外交・公用・短期滞在の場合も原則として口座開設できないと考えておきましょう。

 

もうひとつ、申込条件として明示されることが多いのが日本語の理解です。東京スター銀行とイオン銀行はいずれも「日本語(読み・書き)が理解できる方」を条件に掲げています。SMBC信託銀行(プレスティア)のように日本語または英語のどちらかで意思疎通できればよいとする銀行もあるため、言語も金融機関選びの判断材料になります。

 

永住権が無い外国人におすすめの住宅ローン

次に、永住権の無い外国人に対応した金融機関の住宅ローンの特徴やおすすめのポイントをご紹介します。永住権の無い外国人に対応した住宅ローンを提供している金融機関は今も多くはありませんが、それぞれ条件の出し方が異なるため、ご自身の状況(配偶者の有無・在留資格・年収・自己資金など)に合う金融機関を選ぶことが大切です。

※金利・条件は変更される場合がありますので、必ず各金融機関の公式サイトで最新情報をご確認ください(以下は2026年8月時点で各行公式サイト・商品概要説明書にて確認した内容です)。

 

金融機関永住権なしでの申込主な条件・特徴
SBI新生銀行単独申込は不可。配偶者が日本国籍または永住許可を持ち、その配偶者が連帯保証人になることが条件金利・商品性は通常の住宅ローンと同一条件。保証料0円・一部繰上返済手数料0円
SMBC信託銀行(プレスティア)在留資格(短期滞在を除く)があれば単独で申込可前年度年収1,000万円以上が条件。日本語または英語で意思疎通できればよい
東京スター銀行永住権のない外国籍の方向け専用商品「スター住宅ローン」で単独申込可税込年収400万円以上・25歳以上65歳以下・対象地域は主要都市圏。永住許可取得後は金利優遇の可能性
イオン銀行専用商品「イオン銀行住宅ローン(永住権なし)」で単独申込可前年度年収100万円以上と間口は広い一方、自己資金20%以上・借入期間15年以内・金利は店頭表示+年1.000%

 

SMBC信託銀行・東京スター銀行・イオン銀行の年収要件を比較した棒グラフ
同じ「永住権なしでも申込可」でも年収の入口は10倍近く違う(SBI新生銀行は配偶者要件があり単独申込不可のため対象外)

年収の要件だけを見ても10倍近い開きがあります。年収が高い人ほど選択肢が広がるのは事実ですが、年収が高くない人の道が閉じているわけではありません。イオン銀行のように年収要件を低く置き、その代わりに自己資金と借入期間で回収リスクを抑える設計の商品もあるからです。自分の「強い条件」がどれなのかを見極めることが、この分野では特に重要になります。

 

SBI新生銀行の住宅ローン

SBI新生銀行の住宅ローンは、永住権の無い外国人でも、配偶者が日本国籍または永住許可を持っていて、その配偶者が連帯保証人となる形であれば申し込み可能です(公式FAQに明記されています)。ペアローンもしくは収入合算(収入合算をせず連帯保証人のみとする形も可)での申し込みとなり、お申込人に永住許可がない場合の単独申込は受け付けていません。また、配偶者以外の方が連帯保証人となる形も認められていません。

日本人でも外国人でも同じ住宅ローン商品への申し込みとなり、金利や商品性も同一条件で借りられるのが大きな特徴です。外国人向けに金利が上乗せされる専用商品ではなく、通常の住宅ローンと同じ土俵で借りられるという点で、配偶者の条件を満たせる方にとっては有力な選択肢になります。

商品性の面でも、保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円と諸費用面が分かりやすく、事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です。がん診断保障付団信のほか、2026年3月からは上乗せなしの全疾病保障付団信も選べるようになっており、店舗での対面相談とオンライン手続きの両方に対応しています。

外国人の借り入れ条件

永住許可を保有している場合には、日本国籍を有する個人と同条件。

永住許可がない場合には、日本国籍を有している配偶者または永住許可のある外国籍の配偶者が連帯保証人になることが条件(ペアローンまたは収入合算等での申込。単独申込は不可)。

金利・その他の条件

通常の住宅ローンと同一条件(外国人向けの金利上乗せなし)。事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型。

金利は毎月見直されるため、最新の金利・申込条件は公式サイトでご確認ください。

 

SMBC信託銀行(プレスティア)の住宅ローン

SMBC信託銀行(プレスティア)の住宅ローンは、日本に居住している外国人の場合、在留資格(短期滞在を除く)を持っていて、日本語もしくは英語での意思疎通が可能であれば、永住権がなくても申込が可能です(公式FAQに明記)。配偶者の条件なしに単独で申し込める数少ない金融機関のひとつです。

各種契約書類は日本語が正文ですが英語訳書類も用意されており、英語での手続きが可能な点は外資系をルーツに持つ同行ならではの強みです。保証人は原則不要とされています。一方で、前年度の年収(自営業の方は申告所得額)が1,000万円以上で安定した収入があることが条件とされており、年収のハードルは高めです。なお同行のFAQでは「転職後、間もない場合のご相談にも応じております」とされており、勤続年数の短さが理由で他行に断られた方が相談してみる価値はあります。

外国人の借り入れ条件

日本に居住している外国籍の方で、在留資格(短期滞在を除く)があれば永住権がなくても申込可能。

日本語もしくは英語で意思疎通可能であること(契約書類は日本語が正文・英語訳あり)。

年齢・年収の条件

借入時の年齢が満18歳以上、完済時の年齢が満80歳の誕生日まで。同行指定の団体信用生命保険に加入できること。

前年度の年収(自営業の方は申告所得額)が1,000万円以上で安定した収入があること。保証人は原則不要。

金利・その他の条件

金利プラン・適用条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

 

東京スター銀行の住宅ローン

東京スター銀行は台湾のCTBC(中國信託)グループの傘下にあり、永住権をお持ちでない外国籍の方向けの専用商品「スター住宅ローン」を用意しています。配偶者の国籍を問わず単独で申し込める点と、年収要件が税込400万円以上と現実的な水準に置かれている点が特徴です。

「スター住宅ローン」では、原則として返済口座を給与振込口座に指定するとスターワン住宅ローン基準金利から全期間年1.100%引き下げられます。保証会社を利用しないため保証料は0円、一部・全額の繰上返済手数料も0円です。事務手数料は融資金額に対して2.20%(税込)がかかります。また、借り入れ期間中に永住許可を取得して同行に連絡した場合、所定の審査のうえ金利優遇を受けられる場合があるため、将来的に永住許可の取得を予定している方には使いやすい商品性です。

一方で注意したいのは、申込条件として「日本語(読み・書き)が理解できる方」が明記されていること、対象地域が主要都市圏に限られること、そして契約手続きの際に店舗への来店が必要なことです。団信もガン保障特約付き・ワイド団信を選ぶ場合は金利に年0.300%が上乗せされます。

外国人の借り入れ条件

永住権をお持ちでない外国籍の方向けの専用商品「スター住宅ローン」として提供。日本にお住まいで、日本語(読み・書き)が理解できる方。

25歳以上65歳以下(完済時75歳以下)、正社員として1年以上または会社役員・自営業として3期以上、税込年収400万円以上。

融資額・期間・地域

500万円以上1億円以内、1年以上35年以内。対象地域は主要都市圏。

配偶者がいる場合は配偶者を連帯債務者または連帯保証人とする必要があります。

金利・手数料

給与振込口座の指定で基準金利から全期間年1.100%引き下げ。保証料0円・繰上返済手数料0円、事務手数料は融資金額の2.20%(税込)。

借入期間中に永住許可を受けて連絡した場合、所定の審査のうえ金利優遇の可能性あり。最新の金利・適用条件は公式サイトでご確認ください。

 

イオン銀行の住宅ローン

イオン銀行にも「イオン銀行住宅ローン(永住権なし)」という永住権のない外国人向けの専用商品が用意されています。前年度年収100万円以上(個人事業主は前年度所得100万円以上)と、年収の入口は今回紹介する4行のなかで最も低く設定されています。給与所得者は6カ月以上の勤務、会社経営者・個人事業主は事業開始後3年の経過が条件です。

 

ただし、その分ほかの条件で回収リスクを抑える設計になっています。金利の基準となる「基準金利」は店頭表示の住宅ローン金利に年1.000%を加えた利率で、借入期間は1年以上15年以内、物件価格の20%以上の自己資金が必要です。期間が短いぶん毎月の返済額は大きくなりやすいため、返済額のシミュレーションは必ず事前に行ってください。就労に制限のない在留資格が必要な点も、他行より条件が明確に絞られています。

 

諸費用面では保証料が0円、ローン取扱手数料は定額型110,000円(税込)と定率型(借入金額の2.20%・税込、最低220,000円・税込)から選べます。定率型を選ぶと借入利率が年0.200%低くなるため、借入額と返済期間しだいでどちらが有利かが入れ替わります。一部繰上返済手数料は無料、全額繰上返済手数料は55,000円(税込)です。

 

外国人の借り入れ条件

-日本に居住し、日本語(読み・書き)が理解できる方

-就労に制限のない在留資格をお持ちの方

-物件価格の20%以上の自己資金を使用される方

-給与所得者は6カ月以上勤務、会社経営者・個人事業主は事業開始後3年経過。前年度年収(個人事業主は前年度所得)100万円以上

融資額・期間・金利

200万円以上1億円以内、借入期間は1年以上15年以内。

基準金利は店頭表示の住宅ローン金利に年1.000%を加えた利率。

手数料

保証料0円。ローン取扱手数料は定額型110,000円(税込)または定率型2.20%(税込・最低220,000円税込)から選択(定率型は借入利率が年0.200%低い)。

一部繰上返済手数料は無料、全額繰上返済手数料は55,000円(税込)。最新の条件は公式サイト・商品概要説明書でご確認ください。

 

「借りられるか」だけでなく「総額」でも比べる

永住権のない状態での住宅ローン選びは、どうしても「どこなら審査を受けられるか」に意識が向きがちです。しかし実際には、通る・通らないの手前で総支払額に大きな差が生まれる設計になっています。比べるべき論点は次の3つです。

  1. 金利の上乗せがあるか:SBI新生銀行のように通常商品と同一条件で借りられるケースと、イオン銀行のように店頭表示金利に年1.000%が上乗せされるケースでは、同じ借入額でも利息の総額がまったく違ってきます。
  2. 借入期間の上限:イオン銀行の15年のように期間の上限が短い商品は、利息の総額は抑えられる一方で毎月の返済額が大きく跳ね上がります。家計が耐えられる月額かどうかを先に確かめてください。
  3. 事務手数料の型:定率型(借入額の2.20%・税込)と定額型のどちらを選べるかは銀行によって異なります。借入額が小さいほど定額型が有利になりやすい一方、定率型を選ぶと金利が下がる商品もあるため、手数料と金利をセットで試算しないと判断できません

 

加えて、団信の上乗せ金利も確認しておきましょう。東京スター銀行はガン保障特約付き団信・ワイド団信で年0.300%の上乗せ、イオン銀行は団信プランによって上乗せがある場合があります。持病がある方はワイド団信の有無が金融機関選びの決め手になることもあります。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 永住権がないと住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は使えない?
A. 住宅ローン控除に国籍や永住権の要件はありません。日本の居住者として、床面積や所得などの適用要件を満たせば外国籍の方でも利用できます。詳細は国税庁のサイトや税務署でご確認ください。

Q. 審査で重視されるポイントは?
A. 一般的な年収・勤続年数・信用情報に加えて、外国籍の方の場合は定住性(在留資格の種類・在留期間・日本での就労状況・家族構成など)が重視される傾向があります。在留期間の更新が近い場合は申込を受け付けない金融機関もあるため、時期にも注意しましょう。

Q. 自営業・会社経営でも申し込めますか?
A. 事業の継続年数が条件になります。東京スター銀行は会社役員・自営業として3期以上、イオン銀行は事業開始後3年の経過が条件です。会社員より必要な実績年数が長くなるのが一般的なので、開業からの年数を確認したうえで申込先を選びましょう。

Q. 日本語が得意ではありませんが申し込めますか?
A. 東京スター銀行とイオン銀行は「日本語(読み・書き)が理解できる方」を条件に掲げています。日本語または英語での意思疎通で足りるのはSMBC信託銀行(プレスティア)で、契約書類にも英語訳が用意されています(正文は日本語)。ただし年収1,000万円以上という条件があるため、言語と年収のどちらを優先するかで選択が変わります。

Q. 途中で永住許可を取得したら条件は変わりますか?
A. 東京スター銀行の「スター住宅ローン」では、借入期間中に永住許可を受けて同行に連絡した場合、所定の審査のうえ借入金利を優遇できる場合があるとされています。永住許可の取得を予定している方は、この扱いの有無を申込前に各行へ確認しておくと、後から効いてきます。

 

まとめ

今回の記事では、永住権の無い外国人でも申込みができる各社の住宅ローンを紹介してきました。永住権のない外国人の住宅ローンの選び方として、まずは各社の外国人の借入条件を比較し、ご自身が金融機関の借入条件に合致するのかを確認するようにしましょう。単独での借入を希望されるのか、配偶者にも住宅ローンに参加してもらうのかによって、取扱い可否が変わってきます。

複数の金融機関を比較してみると各社さまざまな特徴があることが分かりますが、日本国籍または永住権のある配偶者がいらっしゃる場合は、通常の住宅ローンと同一条件で借りられるSBI新生銀行からまず検討してみるのが良いのではないでしょうか。金利の上乗せがないぶん、総返済額の面で有利になりやすいためです。ただし、SBI新生銀行も外国人に対しては厳格に審査を行っていて審査に落ちる可能性がありますので、この記事で紹介した他の金融機関も候補としておくようにしましょう。単独で申し込みたい場合は、年収1,000万円以上ならSMBC信託銀行(プレスティア)、年収400万円以上で主要都市圏の物件なら東京スター銀行、自己資金を2割用意できるならイオン銀行、というようにご自身の一番強い条件から逆算して候補を絞るのが近道です。

 

日本人に比べて若干ハードルが高くなる外国人の住宅ローン利用ですが、永住権がなくても一定の条件を満たすことで住宅ローンを利用することができるので、ぜひ参考にしてみてください。なお、各行の申込条件・金利・手数料は改定されることがあります。申込前に必ず各金融機関の公式サイト・商品概要説明書で最新の内容をご確認ください。