年収をもとに住宅ローンの借入額を検討する夫婦のイメージ

国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和6年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。年収600万円台はこの平均を大きく上回り、給与所得者全体の中でも上位に位置する水準といえます。

 

年収600万円あれば申し込みができない住宅ローンは国内にほとんど存在しないと言ってよいでしょう。カードローンなどの過度な借り入れがない限り、住宅ローン審査にも有利に働く年収水準です。

ただし2026年に入り、住宅ローン金利は上昇局面にあります。金利が上がると、同じ返済額で借りられる金額(借入可能額)は小さくなります。「年収600万円台なら◯◯◯◯万円まで借りられる」という数年前の目安は、そのままでは通用しません。このページでは、当編集部が実測した2026年9月の金利をもとに、いくらまでなら無理なく返せるのかを、諸費用まで含めた総支払額の視点で整理します。

 

とりあえず、年収600万円台の方が候補にしやすい住宅ローンを知りたいという方は…

銀行名特徴
auじぶん銀行上乗せ金利なしで、がん50%保障+4疾病保障+全疾病長期入院保障(180日以上の入院で残高0円)まで付帯。ネット完結型
PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)
ネット完結型で手続きが早い。一部、利用できない職業があるため申込条件は公式でご確認ください
ソニー銀行の住宅ローン上乗せ金利なしで「がん団信50」。事務手数料が一律44,000円(税込)の金利タイプも選べる

いずれも疾病保障の手厚さや諸費用の設計に特徴があるネット銀行の住宅ローンです。なお、2026年9月時点では変動金利の水準はネット銀行が最安とは限らず、大手行のほうが低いケースもあります。金利・保障内容は毎月改定されるため、必ず各行公式サイトで最新をご確認ください。

年収600万円台は、実際いくら借りているのか

フラット35を提供している住宅金融支援機構は、住宅ローン利用者の返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を調査しています。同機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」では、返済負担率を20%以下に抑えている利用者が多数を占める結果が続いています(最新の調査結果は同機構のサイトでご確認ください)。

返済負担率20%というのは、年収600万円の方であれば年間の住宅ローン返済額を120万円(月10万円)以下にしているということを意味します。

返済負担率の分布

まず、年収帯ごとに「返済負担率20%の予算」を確認しておきましょう。これは金利に関係なく年収だけで決まる数字なので、資金計画の出発点になります。

税込年収返済負担率20%の年間返済額月々の返済額の目安
600万円120万円10.0万円
620万円124万円約10.3万円
640万円128万円約10.6万円
660万円132万円11.0万円
680万円136万円約11.3万円

2026年9月の金利で、月10万円の予算だといくら借りられるのか

ここからが本題です。同じ「月10万円」の予算でも、選ぶ金利タイプによって借りられる金額はまったく違います。

当編集部では毎月、各金融機関の公式サイトで住宅ローン金利を実測しています。2026年9月適用の実測金利で「3,000万円・35年・元利均等・ボーナス返済なし」を当社試算すると、月々の返済額は次のようになります(金利のみの試算で、事務手数料・保証料・団信の上乗せは含みません。変動金利は全期間金利が変わらないと仮定した概算です)。

金利タイプ・銀行(2026年9月実測)金利月々返済額(3,000万円・35年)
変動(りそな銀行)年0.950%83,988円
変動(みずほ銀行)年1.025%85,035円
変動(三菱UFJ銀行)年1.195%87,439円
変動(三井住友銀行)年1.525%92,223円
固定10年(三菱UFJ銀行)年3.630%126,257円(当初10年間)
全期間固定(フラット35・融資率9割以下)年3.460%123,292円

※当編集部が2026年9月1日に各行公式サイトで実測した金利に基づく当社試算です(銀行の公式シミュレーターの結果ではありません)。月々返済額は円未満切り捨てで、公式試算と数円〜数十円ずれることがあります。

読み方はシンプルです。年収600万円・返済負担率20%(月10万円)の予算なら、変動金利で3,000万円を借りるのは十分に収まります。しかし同じ3,000万円をフラット35で借りると月123,292円となり、返済負担率は約24.7%まで上がります。金利タイプを変えただけで、月4万円近く違うのです。

数年前の「年収600万円なら4,000万円前後が平均的」という目安が、いまはそのまま使えないことが分かります。金利が上がる局面で先に効いてくるのは、毎月の返済額よりも「同じ返済額で借りられる総額」のほうだと考えてください。

銀行が示す「借入可能額」と、無理なく返せる額は違う

フラット35では、年収400万円以上の場合の返済負担率の基準は35%以下とされています。前述の実態調査で多くの人が選んでいる20%前後とは、大きな開きがありますね。

返済負担率は35%が目安

ここで押さえておきたいのが、民間の金融機関は審査の際、実際に適用する金利ではなく、それより高い金利(いわゆる審査金利)で返済負担率を計算するのが一般的だとされている点です。適用金利が年1.0%でも、審査は年3%台で行われることがあります。そのため「シミュレーターでは5,000万円まで借りられると出たのに、実際の審査ではもっと少なかった」ということが起こります。逆にフラット35は、実際の適用金利で返済負担率を判定します。

さらに見落としやすいのが、税込年収と手取りの差です。年収600万円の手取りは年間440万円程度で、社会保険料・住民税・所得税を引くと、実際に使えるお金は2割以上少なくなります。住宅にかかる費用も住宅ローン返済額だけではなく、火災保険・地震保険料、固定資産税、マンションなら管理費・修繕積立金が上乗せされます。

金融機関が提示する借入限度額いっぱいまで借りるべきかは、慎重に判断する必要があります。考え方としては、

①税込年収の20%の返済負担額を目安の上限と考える

②手取り年収から、住宅にかかる費用の総額(返済+税・保険・管理費)で無理がないかを確認する

という2つの視点で見ると、安全な資金計画を立てやすくなります。

 

年収600万円台の住宅ローン、頭金なしは危険?

住宅ローンを組む際には頭金が必要というのが定説ですが、実態はどうなのでしょうか。フラット35を提供する住宅金融支援機構が、実際に住宅ローンを組んだ方を調査した資料にこのデータが含まれているのでご紹介します。

融資率は、住宅価格に対してどの程度の割合を住宅ローンでまかなっているかを示すものです。

中古住宅であれば不動産の仲介手数料、住宅ローンを組む場合には保証料や融資事務手数料などの諸費用があります。

融資率から見ると、10%以上の頭金を用意している人は半数にも満たないことが分かります。新築住宅で仲介手数料が発生しない場合でも、保証料や融資事務手数料などの諸費用が数十万円発生することを考えると、住宅価格はすべて住宅ローンでまかない、諸費用だけ頭金として用意するという方もある程度いると想定できます。

ただし、金利が上昇局面に入ったことで、頭金の意味は以前より大きくなっています。フラット35は融資率9割以下と9割超で金利が分かれており、2026年9月であれば9割以下が年3.460%、9割超が年3.570%で、0.110%の差がつきます。頭金を1割用意できるかどうかで、35年間の利息が変わるということです。頭金を貯める間の家賃と、金利差による負担増をてんびんにかけて判断してください。

住宅ローンの頭金

 

【判定】年収600万円台の住宅ローン借入額を判定!

インターネット上では、ご自身の「年収+借り入れ可能額」で検索し情報を得る方が多いようです。年収と住宅ローンをテーマにしたブログも多く目にします。

そこで今回は、実際に検索されている「年収600万円+○○○○万円」というキーワードごとに、借り入れが現実的かどうかを判定したいと思います。

※いずれも頭金なし・変動金利・35年返済を前提とした目安です。全期間固定(フラット35)で借りる場合は、上の試算のとおり月々の返済額が3〜4割ほど重くなるため、判定は一段厳しくなります。

判定コメント
年収600万 住宅ローン 2000万余裕を持った返済が可能だと思われます。
年収600万 住宅ローン 2500万余裕を持った返済が可能だと思われます。
年収600万 住宅ローン 3000万変動なら月8〜9万円台。返済負担率20%以内に収まります。
年収600万 住宅ローン 3500万余裕を持った返済が可能だと思われます。
年収600万 住宅ローン 4000万年収600万円台半ばであれば可能
年収600万 住宅ローン 4500万年収600万円台後半であれば可能
年収600万 住宅ローン 5000万×返済が難しくなりリスクが高い

 

年収600万円台にオススメの住宅ローンとは?

住宅ローンを組むには一般的に年収300万円以上が必要とされており、年収基準が厳しいソニー銀行や楽天銀行の金利選択型では年収400万円以上を条件としています。年収600万円あれば、こうした審査基準が厳しめの住宅ローンも利用可能です。

審査基準が厳しいのは商品性に優れている裏返しでもあるので、年収600万円という水準の方は、こうした住宅ローンにも積極的に申し込みを検討したいところです。

 

疾病保障が充実したauじぶん銀行

auじぶん銀行の住宅ローンの特徴は、疾病保障の手厚さです。上乗せ金利なしで、がん50%保障団信に4疾病保障(急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患)が付帯され、さらに全疾病長期入院保障(180日以上の入院で残高0円)と月次返済保障までカバーされます。金利を上乗せすれば「がん100%保障団信」「がん100%保障団信プレミアム」へのアップグレードも可能です。

※がん保障付き団信には加入年齢の上限があります。対象となるかどうか、最新の金利・団信の内容は公式サイトでご確認ください。

auじぶん銀行の住宅ローンについてはこちら

 

がんへの備えが手厚いソニー銀行の住宅ローン

ソニー銀行の住宅ローンは上乗せ金利なしで「がん団信50」が付帯され、年0.100%の金利上乗せで「がん団信100」へのアップグレードが可能です。保証料は0円です。

「がん団信100」はがんと診断されると住宅ローン残高がゼロになり、がん先進医療給付金も付帯するなど、がん保険の見直しも視野に入る保障スペックになっています。

また、商品によって事務手数料の方式が違うのがソニー銀行の特徴です。「変動セレクト住宅ローン」は借入金額×2.20%(税込)の定率型、「住宅ローン」は一律44,000円(税込)の定額型で、借入額が大きいほど差が出ます。住み替えを予定している方や、借り換えなどで諸費用を抑えたい方は定額型が候補になります。

ソニー銀行の住宅ローンについてはこちら

ソニー銀行のがん100%保障の内容

 

金利だけでなく「総支払額」で選ぶ|年収600万円台こそ諸費用に注目

年収600万円台は選べる住宅ローンの幅が広いぶん、表面金利の低さだけで決めてしまいがちです。しかし実際の負担は、金利に加えて事務手数料・保証料・団信を含めた「総支払額」で決まります。たとえば事務手数料は「借入額×2.20%(税込)」の定率型が主流で、4,000万円を借りるなら88万円かかります。一方、融資額にかかわらず一律の定額型を採用する商品もあり、借入額が大きいほど差が出ます。

団信も、上乗せ金利なしでがん・全疾病保障まで付く銀行(auじぶん銀行など)と、手厚い保障に金利を上乗せする銀行があり、保障の範囲は総コストに直結します。金利が横並びに見えても、諸費用と団信を含めると数十万円単位で総額が変わることは珍しくありません。

比較の観点見るポイント備考
事務手数料定率型(借入額×2.20%税込)か定額型か借入額が大きいほど定額型が有利になりやすい
保証料0円(無料)か、金利上乗せ・一括前払いかネット銀行は無料の商品が多い
団信上乗せ金利なしでどこまで保障されるか(がん・全疾病)上乗せ金利の有無で総額が変わる
融資率頭金1割を用意できるかフラット35は9割以下と9割超で金利が0.110%違う(2026年9月)

諸費用の見通しの立てやすさという点では、保証料・一部繰上返済手数料が無料で、一般団信を上乗せ金利なしで付けられ、事務手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型に一本化されているSBI新生銀行のような選択肢も、比較の対象に入れておくとよいでしょう。

 

年収600万円台の住宅ローン控除(住宅ローン減税)

住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)は、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税・住民税の一部が戻ってくる仕組みです。かつては控除率1%でしたが、2022年の税制改正で控除率は0.7%に引き下げられ、控除期間は最長13年となりました。制度自体は令和8年度税制改正で2030年12月31日までの入居分まで延長されています(2026年9月時点)。

控除の対象となる借入残高には上限(借入限度額)があり、住宅の省エネ性能によって段階的に分かれます。長期優良住宅・低炭素住宅がもっとも大きく、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅と続きます。さらに19歳未満の子がいる子育て世帯や、夫婦のどちらかが40歳未満の若者夫婦世帯は借入限度額が上乗せされます。一方で、2024年以降に建築確認を受けた新築住宅のうち、省エネ基準を満たさないものは原則として住宅ローン控除の対象外となる点に注意が必要です。

たとえば省エネ基準を満たす住宅で、年末残高が4,000万円あり借入限度額も4,000万円のケースなら、4,000万円 × 0.7% = 年28万円が控除額の目安です(実際に戻る額は、その年に納めた所得税・住民税額が上限)。年収600万円台であれば、この0.7%で計算した控除額は納税額の範囲内に収まるケースが多く、控除枠を活かしやすい年収帯といえます。

金利が上がったいまは、控除率0.7%を上回る金利で借りると、控除期間中でも利息のほうが大きくなる点も押さえておきましょう。かつて言われた「控除があるから繰上返済しないほうが得」という判断は、金利水準によって変わります。

ただし、借入限度額・控除期間・対象要件は住宅の種類や入居年によって細かく異なり、たびたび改正されています。ご自身のケースでいくら控除されるかは、国土交通省の住宅ローン減税ページや国税庁の最新情報で必ずご確認ください。

 

年収600万円台の住宅ローンFAQ

Q. 年収600万円台なら、審査に落ちることはありませんか?

A. 年収は審査項目の一つにすぎません。返済負担率のほかに、勤務先・勤続年数・健康状態(団信に加入できるか)・他の借入の有無・信用情報などが総合的に見られます。年収が十分でも、他のローンや過去の延滞が原因で希望額に届かないことはあります。逆にいえば、年収600万円台は返済能力の面で不利になりにくいぶん、それ以外の要素を整えておく効果が大きい年収帯です。

Q. シミュレーターの「借入可能額」ほど借りられないのはなぜ?

A. 民間金融機関は審査の際、実際の適用金利より高い金利で返済負担率を計算するのが一般的だとされているためです。適用金利が年1%台でも、審査は数%で行われることがあり、その分だけ上限は小さく出ます。シミュレーターの数字は「上限の目安」であって「借りてよい額」ではないと考えてください。

Q. 車のローンや奨学金があると、どれくらい影響しますか?

A. 返済負担率は住宅ローンだけでなく、他の借入の年間返済額も合算して計算されます。年収600万円で返済負担率の上限が35%なら年間210万円が枠ですが、車のローンで年間40万円返済していれば、住宅ローンに使える枠はその分減ります。カードのリボ払いやキャッシング枠も見られることがあるため、申込前に整理しておくと審査が通りやすくなります。

Q. 頭金なし(フルローン)でも大丈夫?

A. 頭金10%未満で借りる人は珍しくありません。ただし融資率が高いほど金利が上がる商品があり、フラット35では9割を超えると金利が0.110%上がります(2026年9月)。金利が上昇した局面では、頭金の有無が35年分の利息に効いてきます。少なくとも諸費用分は自己資金で用意できると、総負担を抑えやすくなります。

Q. ペアローンや収入合算で年収を足せば、もっと借りられますか?

A. 借入可能額は増やせますが、二人分の収入が続くことを前提にした返済計画になる点に注意が必要です。育休・時短勤務・転職などで一方の収入が減ると、返済負担率は一気に上がります。また、ペアローンは事務手数料が2本分かかり、一方に万一のことがあってももう一方の残債は残ります(連生団信を扱う銀行もあります)。借入額を増やす手段としてではなく、リスクを含めて設計するものと考えてください。

 

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住宅ローン比較ネット 編集部

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