
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)には、死亡・高度障害だけでなく、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)になったときにも住宅ローン残高が保障されるタイプがあります。ただし「三大疾病保障」と一口に言っても、上乗せ金利も保障される範囲も銀行ごとに大きく違い、改定も頻繁です。
この記事では、2026年8月18日に各行公式サイトで確認できた現行の内容だけを整理します。さらに、比較記事で見落とされがちな「上乗せ金利は年齢によって変わる」「上乗せ0円で三大疾病の一部を持てる銀行がある」という2点を掘り下げます。最新の条件は必ず各銀行の公式サイトでご確認ください。
三大疾病保障付き団信とは
三大疾病保障付き団信は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になったとき(または診断されたとき)に、住宅ローン残高が0円になる、または一部が保障される団信です。多くは通常の団信に金利を上乗せして付帯します。注意したいのは次の3点です。
- 保障の範囲が銀行で違う:純粋な「三大疾病」だけの銀行もあれば、「がん団信」だけ、「全疾病保障」「8大疾病」など範囲の違う商品を持つ銀行もあります。
- 支払われる条件(支払事由)が違う:「がんは診断だけで対象」「急性心筋梗塞・脳卒中は所定の状態が60日以上継続」「就業不能が所定の期間続く」など、受け取りやすさが大きく変わります。
- 残高100%保障か50%保障か、上乗せ金利が何%かも商品ごとに異なります。
つまり上乗せ金利の数字だけを横並びにしても比較にはなりません。「何が」「どうなったときに」「いくら」保障されるのかをセットで見る必要があります。
三大疾病をまとめて保障する主な銀行(2026年8月18日時点)
がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病をまとめて保障する商品と、現在の上乗せ金利は次のとおりです。上乗せ金利・保障条件は改定されることがあるため、申込前に必ず各行公式で最新をご確認ください。
| 銀行・商品 | 上乗せ金利(年) | 保障の型(概要) | 加入できる年齢 |
|---|---|---|---|
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) スゴ団信「3大疾病50%保障」 | なし(基本付帯) | 3大疾病(がん診断時を含む)で所定の状態になったとき、残高が半分に | 実行時50歳以下 |
| りそな銀行・埼玉りそな銀行 3大疾病保障特約 | +0.200%(加入時40歳未満) +0.250%(加入時40歳以上) | 所定のがん、急性心筋梗塞・脳卒中による所定の状態で残高0円 | 借入時年齢 満50歳未満 |
| ソニー銀行 3大疾病団信 | +0.200% | がん団信100の保障に急性心筋梗塞・脳卒中の残高100%保障を追加。がん診断給付金100万円なども付帯 | 加入時年齢 満50歳未満 |
| りそな銀行・埼玉りそな銀行 団信革命(特定状態保障特約付団信) | +0.250%(加入時40歳未満) +0.300%(加入時40歳以上) | 3大疾病に加え、病気やケガによる所定の状態・所定の要介護状態も対象で残高0円 | 借入時年齢 満50歳未満 |
※支払事由(診断のみで対象か、所定の状態の継続が必要か等)や保障割合は銀行ごとに異なります。表は2026年8月18日に各行公式で確認できた内容のみを掲載しています。

三菱UFJ銀行も、住宅ローンに任意で付帯できる「7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉」を提供しています(引受保険会社は東京海上日動火災保険株式会社)。保障条件や費用が異なる複数の商品タイプから選ぶ仕組みのため、上乗せの水準はタイプによって変わります。最新の保障内容と費用は同行公式サイトでご確認ください。
見落とされがちな論点①:上乗せ0円で三大疾病の一部を持てる銀行がある
比較記事では「三大疾病=金利を上乗せして買うもの」と書かれがちですが、実際には上乗せ0円で三大疾病の一部をカバーできる銀行があります。
代表例がドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)の「スゴ団信」です。WEB申込コースでは、団体信用生命保険と全疾病保障に加えて、実行時50歳以下なら「3大疾病50%保障」が上乗せ金利なしで基本付帯されます。所定の状態とは、所定の悪性新生物と診断確定された場合、または急性心筋梗塞・脳卒中を発病して60日以上所定の状態が継続した(もしくは所定の手術を受けた)場合です。残高が0円ではなく半分になる点が、上乗せ型との違いになります。
auじぶん銀行も、単独加入かつ50歳以下であれば「がん50%保障団信」を上乗せ金利なしで付帯できます。がん診断で残高の50%を保障するほか、急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の4疾病でも残高の50%を保障し、全疾病長期入院保障と月次返済保障も付きます。がん100%保障団信は年0.050%、がん100%保障団信プレミアムは年0.150%、ワイド団信は年0.300%の上乗せです。
ここで注意したいのがペアローンです。auじぶん銀行では、夫婦それぞれが借りて互いを保障する「ペアローン連生団信」を選ぶと、同じがん50%保障団信でも年0.300%の上乗せになります(一般団信でも年0.200%)。「上乗せ0円」という前提は、単独で借りるかペアローンで借りるかによって変わる——これは比較表からは読み取れない、実務上とても大きな違いです。
見落とされがちな論点②:上乗せ金利は「年齢」で変わることがある
同じ商品でも、加入時の年齢で上乗せ金利が変わる銀行があります。りそな銀行がその典型で、3大疾病保障特約は加入時40歳未満なら年0.200%、40歳以上なら年0.250%、団信革命は40歳未満なら年0.250%、40歳以上なら年0.300%と、40歳を境に0.050%の差が付きます。
さらに重要なのが年齢の上限です。特約付き団信は「借入時(加入時)年齢が満50歳未満」を条件にしている銀行が多く(りそな銀行・ソニー銀行・SBI新生銀行の全疾病保障付団信とガン団信・auじぶん銀行の特約付き団信)、50歳を過ぎると選択肢が一般団信やワイド団信に限られるのが実情です。ドコモの銀行の3大疾病50%保障も実行時50歳以下が条件です。
つまり、疾病保障を重視する人ほど「何歳で借りるか」が選択肢そのものを左右します。40代後半で住宅購入を検討している場合は、金利の比較より先にその銀行の団信に自分の年齢で加入できるかを確認してください。がんの罹患歴がある場合は特約付き団信を申し込めない銀行もあります(ソニー銀行・りそな銀行は公式にその旨を明記)。
「がん団信」「全疾病」など範囲の違う保障との比較
三大疾病そのものではなくても、がんや就業不能をカバーする団信を上乗せ0円〜少額で付けられる銀行があります。範囲が違うので、横並びにせず「何が保障されるか」で比べましょう。
- SBI新生銀行:一般団信・全疾病保障付団信・ガン団信の3つから1つを選ぶ方式です。全疾病保障付団信は上乗せ金利なしで、がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎の8疾病を含む病気やケガで所定の就業不能状態が続いた場合に残高を保障し、就業不能期間中の毎月の返済額も保障します。ただし要件は「就業不能状態が続くこと」で、「がんと診断されれば即0円」ではありません。ガン団信は年0.100%の上乗せで、こちらは診断確定で残高が0円になります。全疾病保障付団信・ガン団信の加入年齢はいずれも20〜49歳です。
- ソニー銀行:がん団信50は上乗せなし(がん診断で残高の50%を保障)、がん団信100は年0.100%(残高100%+がん診断給付金100万円・がん先進医療給付金 通算1,000万円など)。3大疾病団信(年0.200%)は、このがん団信100に急性心筋梗塞・脳卒中の保障を足したものです。
- PayPay銀行:がん50%保障団信は年0.100%、がん100%保障団信は年0.150%の上乗せです(無料は一般団信まで)。「がん団信が無料」と書かれた古い記事に注意してください。
- みずほ銀行:がん・7大疾病の補償は金利上乗せではなく保険料を別に支払う「ローン返済支援保険」方式で、他行の金利上乗せ型と仕組みが異なります。保険料は借入金額・借入期間・年齢などによって毎月変動すると案内されており、事前に金利換算で比べにくい点に注意が必要です。
なお団信の商品ラインアップは各行で改定・新設・終了が繰り返されています。比較記事で見た商品が現在も提供されているかどうかは、必ず各行公式でご確認ください。
上乗せ0.100%は総支払額にいくら効くのか
疾病保障を「付けるか付けないか」で迷ったら、上乗せ分を金額に換算して考えるのが確実です。ソニー銀行は公式サイトで、借入額3,000万円・返済期間35年(ボーナス返済なし)で年0.100%上乗せした場合の試算を示しています。適用金利が年0.500%なら月々77,875円、年0.600%なら月々79,208円で、差は月々1,333円です(同行の記載による参考値で、実際の返済額とは異なります)。
この負担を「毎月1,333円で残高100%の保障が買える」と見るか、「35年間払い続けるコスト」と見るかは家計の考え方しだいです。ただし、上乗せ0.200〜0.300%になれば負担はこの2〜3倍になります。保障の手厚さと上乗せコストは、必ず金額に直して比べてください。
選ぶときの3つのチェックポイント
1. 「三大疾病」か「がん団信」か「全疾病」かを区別する。名前が似ていても保障範囲は別物です。がん中心か、脳・心臓も含めるか、就業不能まで含めるか——自分が備えたいリスクから決めましょう。
2. 支払事由を必ず読む。「がんは診断確定だけで対象」なのか、「急性心筋梗塞・脳卒中は所定の状態が60日以上継続」なのか、「就業不能が所定の期間続くこと」なのかで、実際の受け取りやすさが大きく変わります。上乗せが同じ0.200%でも、支払事由が厳しければ実質的な価値は下がります。
3. 自分の年齢と借り方(単独かペアローンか)で条件を確認する。前述のとおり、上乗せ金利も加入可否も年齢とペアローンの有無で変わります。一般論の比較表ではなく、自分の条件で見積もってください。
よくある質問
Q. 「三大疾病で残高0円」と「残高50%保障」は、どう考えて選べばよいですか。
A. 50%保障は残った半分の返済が続くため、治療で収入が減った場合に残債をどこまで自力で返せるかが判断軸になります。貯蓄や配偶者の収入で半分の返済を続けられるなら上乗せ0円の50%保障で足り、住宅ローンを完全に消したいなら上乗せ型の100%保障が向きます。
Q. 支払事由の「60日以上所定の状態が継続」とは、どういう意味ですか。
A. 急性心筋梗塞・脳卒中では、発病しただけでは保険金が支払われず、所定の状態が60日以上続いた(または所定の手術を受けた)場合に対象となるという条件を置く銀行が多いためです。がんは診断確定だけで対象になる商品が多いのに対し、心臓・脳の疾患は条件が厳しめだと理解しておくとよいでしょう。
Q. がんにかかったことがあると、三大疾病保障には入れませんか。
A. 銀行によります。ソニー銀行は保障特約付き団信について「今までにがんまたは上皮内がんにかかったことがある場合は申し込みできない」、りそな銀行も特約付き団信の利用条件に「悪性新生物(がん)に罹患したことのない方」と明記しています。健康上の理由で通常の団信に入れない場合は、上乗せ年0.300%程度のワイド団信が用意されている銀行もあります(ドコモの銀行・auじぶん銀行・ソニー銀行など)。
Q. 上乗せ金利はずっと同じですか。
A. 商品改定によって変わります。実際、各行とも保障内容や上乗せ水準を見直しており、名称やプラン名が変更されることもあります。申込時点の最新の条件を公式でご確認ください。
まとめ
三大疾病保障付き団信は、「保障範囲(三大疾病かがんか全疾病か)」「支払事由」「上乗せ金利」の3点で比べるのが失敗しないコツです。2026年8月18日時点で公式に確認できた範囲では、三大疾病をまとめて保障する商品としてりそな銀行の3大疾病保障特約(年0.200〜0.250%)と団信革命(年0.250〜0.300%)、ソニー銀行の3大疾病団信(年0.200%)があり、ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)は実行時50歳以下なら3大疾病50%保障が上乗せ0円で基本付帯されます。
そのうえで本記事が強調したいのは、上乗せ金利は年齢とペアローンの有無で変わり、加入できる年齢にも上限があるという点です。比較表の数字をそのまま自分に当てはめず、自分の年齢と借り方で条件を確認してください。条件は頻繁に改定されるため、最新の内容は必ず各行公式でご確認ください。
