住宅ローンの借り換えを検討する夫婦のイメージ

住宅ローンの借り換えで得になるかどうかは、金利差ではなく「減る利息 − かかる諸費用」がプラスかどうかで決まります。よく言われる「金利差0.5%以上」は目安にすぎず、ローン残高が大きく残りの返済期間が長いほど、小さな金利差でも効果が出ます。逆に残高が小さく残期間が短い場合は、金利差が1%近くあっても諸費用に埋もれます。そして借り換えは新しいローン契約なので、団信に入り直せるだけの健康状態と、新規と同じ審査を通る必要がある——この2点が、金利以外でつまずく最大の原因です。

メリットとデメリットを、諸費用の一覧と属性別の注意点まで含めて順に見ていきます。

借り換えのメリット

住宅ローンの借り換えの最大のメリットは「総返済額を減らすこと」ですが、それだけではありません。

住宅ローンの返済額を減らせる

住宅ローンの借り換えによる最大のメリットは、返済額を減らせることです。より低い金利の住宅ローンに借り換えることで、住宅ローンの総返済額を減らすことができます。総返済額が減れば毎月の返済額も少なくなるので、当然、毎月の家計の収支にも余裕が生まれます。

一般的には、借り換え前の住宅ローンの金利よりも0.5%以上金利が低ければ、借り換え時にかかる諸費用を考慮しても総返済額を減らせる目安と言われています。ただしこれはあくまで目安です。ローン残高が大きく、残りの返済期間が長いほど、わずかな金利差でも効果が出やすくなります。逆に、残高が小さく残期間が短い場合は、金利差が1%近くあっても諸費用に埋もれてメリットが出ないこともあります。今の金利と、借り換え比較ランキングなどで紹介されている住宅ローンの金利を見比べてみてください。

なお、借り換えメリットを正確に把握するためには、各銀行の公式サイトの住宅ローンシミュレーションツールで試算してみることをおすすめします。金利差そのものより、「減る利息 − かかる諸費用」がプラスかどうかを確認するのがポイントです。判断の順番をもう少し詳しく詰めたい場合は住宅ローン借り換えのタイミングと目安も参考になります。

住宅ローン金利の上昇リスクに備えられる

変動金利や固定期間選択型の住宅ローンを利用していると、将来的に金利が上昇する可能性があります。固定できる期間を延長させるか、「フラット35」のような全期間の金利を固定できるタイプに借り換えることで、将来的な金利上昇のリスクを回避することができます。

とくに近年は、金利が上昇に向かう局面に入っています。日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を年1.0%程度へ引き上げ(1995年以来およそ31年ぶりの高水準)、これを受けて大手銀行は変動金利の基準となる短期プライムレートを引き上げました。かつてのような「当分は上がらない」という前提は変わりつつあります。

なお、次回の金融政策決定会合は2026年9月17日・18日に開かれ、結果の公表と総裁の記者会見は18日です(日本銀行「金融政策決定会合の運営」)。この会合で追加の利上げに踏み切る方針だと報じられており市場もおおむね織り込んでいますが、2026年9月10日時点で日本銀行は何も決定していません。会合の結果を織り込んだ前提で急いで判断する必要はなく、18日の結果を見てから動いても遅くはないのが借り換えの性質です。

ただし、金利が上昇し始めてから固定金利への借り換えを行おうとしても、そのときには固定金利自体も上がっているため不利になりがちです。固定金利(フラット35など)の基準は長期金利で、政策金利とは別に日々動きます。参考として、2026年9月実行分のフラット35(借換・新機構団信付き)の最頻金利は返済21〜35年で年3.460%、20年以下で年3.140%です。金利上昇リスクを避けたい人は、早めに固定金利タイプへの借り換えを検討しておくと安心です。

【変動金利の人向け】利上げはすぐに返済額へ反映されるわけではない

変動金利で返済中の人が誤解しやすいのが、反映のタイミングです。実際には①日本銀行が政策金利を動かす → ②各行が短期プライムレートを見直す → ③変動金利型の基準金利が改定される → ④すでに返済中の人の適用利率に反映される、という段階を踏みます。④は③のさらに数か月後になることが一般的で、「利上げの翌月から返済額が上がる」わけではありません。

反映の時期と方式(毎月見直しか年2回か、元利均等返済の5年ルール・125%ルールがあるか)は金融機関と契約によって違います。慌てて借り換え先を探す前に、手元の返済予定表と契約条件で「自分の適用金利」「次の見直し時期」「返済額が見直されるタイミング」の3点を確認してください。この3点が分からないまま他行の金利と比べても、借り換え効果は計算できません。

借り換えのデメリット(注意点)

住宅ローンの借り換えは「メリットがあるから行う」ものなので、基本的にはメリット>デメリットです。ただ、デメリット(注意点)が無いわけではありませんので、しっかり把握しておきましょう。

諸費用がもう一度必要になる

住宅ローンの借り入れには、保証料や事務手数料といった諸費用が必要ですが、借り換えを行う際には、この諸費用を借り換え先の金融機関にあらためて支払う必要があります。従って、借り換え効果はこの諸費用分を差し引いて試算し、それでもメリットがあると判断した場合に行うようにしましょう。

この諸費用こそが、借り換えの「総コスト」を左右する最大のポイントです。どんな費用がいくらかかるのかを、あらかじめ一覧で把握しておきましょう。

借り換え時にかかる主な諸費用目安備考
融資事務手数料定率型:借入額の2.20%(税込)/定額型:数万円程度ネット銀行は定率型が主流
保証料0円〜借入額の2%前後ネット銀行は0円(手数料型)が多い
抵当権の抹消・設定費用(登記)数万円〜(登録免許税+司法書士報酬)借入額・依頼先で変動
印紙税契約金額に応じ数千円〜数万円電子契約なら不要な場合も
旧ローンの全額繰上返済手数料0円〜数万円元の金融機関の規定による

ここで効いてくるのが定率型と定額型の差です。残高2,000万円を借り換える場合、定率型(2.20%・税込)なら事務手数料だけで44万円ですが、定額型なら数万円で済みます。金利が年0.100%低い相手より、手数料が数十万円安い相手のほうが有利になることは珍しくありません。とくに残期間が10年程度まで縮んでいる人は、金利差より手数料の差が結果を決めます。

なお旧ローンの全額繰上返済手数料は、固定金利特約期間中だけ有料になる金融機関があります(変動金利期間中は無料、固定特約期間中は33,000円(税込)など)。固定期間の途中で動くつもりなら、元の金融機関の規定を先に確認しておきましょう。

諸費用が多くかかると借り換えのメリットが目減りしてしまうため、諸費用の安いネット銀行での借り換えがおすすめです。たとえばSBI新生銀行は保証料が0円で、一部繰上返済手数料も1円から何度でも0円といった特徴があり、諸費用の見通しを立てやすい選択肢の一つです。借り換えキャンペーンは時期によって入れ替わるため、キャンペーンの有無で決めるより、手数料の方式(定率か定額か)で比べるほうが判断がぶれません。

変動金利への借り換えは金利上昇リスクがある

固定金利から変動金利に借り換えする場合には、金利上昇のリスクがあることに注意が必要です。変動金利のほうが金利が低く借り換えメリットが大きいため変動金利に目が行きがちですが、将来的に金利が上昇した場合には、返済額が多くなってしまうリスクがあることを頭に入れておきましょう。前述のとおり足元は金利上昇局面にあるため、変動金利を選ぶなら「金利がどこまで上がっても返済を続けられるか」を試算しておくと安心です。借り換えで見落としやすい論点は住宅ローン借り換えのデメリットと対策でも整理しています。

属性別に見る借り換えの注意点(FAQ)

借り換えは新しく住宅ローンを組み直す手続きのため、新規借入と同じように審査があります。属性(働き方や家族構成)によっては、思わぬところでつまずくこともあるので、代表的なケースを整理しておきます。

Q. 転職して間もないのですが、借り換えの審査は通りますか?

A. 借り換えでも、勤続年数や返済負担率は新規と同様に審査されます。転職直後は勤続年数の条件(1年以上などを求める金融機関が多い)を満たさず、審査が難しくなることがあります。転職を予定しているなら、借り換えは在職中に済ませるか、転職後に一定の勤務実績を積んでからのほうが通りやすくなります。

Q. 借り換えると団信は入り直しになりますか?

A. はい。借り換えは新しいローン契約なので、団体信用生命保険(団信)も原則として入り直しになります。ここが見落とされがちな注意点で、健康状態によっては団信に加入できず、借り換えそのものができないことがあります。持病などが心配な場合は、加入条件を緩めた「ワイド団信」を扱う金融機関(上乗せ年0.300%程度)も選択肢になります。健康なうちに動くほど、借り換えの自由度は高いと考えておきましょう。

Q. ペアローンや連帯債務で借りていますが、借り換えできますか?

A. 可能ですが、二人の収入・勤続・健康状態をあらためて審査されます。借入時と比べて片方が退職・収入減になっていると、借り換えが難しくなることがあります。また、二人の債務を一人の単独名義にまとめる場合は、持分の移転にともなう贈与税などの論点も出てくるため、金融機関や専門家に相談してから進めると安心です。

Q. 金利差がどのくらいあれば借り換えの得になりますか?

A. よく「0.5%以上」「1%以上」と言われますが、正解は残高と残期間によって変わります。残高が大きく残期間が長いほど、小さな金利差でも効果が出ます。金利差だけで判断せず、上の諸費用表を踏まえて「減る利息 − 諸費用」で試算するのが確実です。

Q. 借り換えで残りの返済期間を延ばしてもいいですか?

A. 毎月の返済額は下がりますが、利息を払う期間が延びるため総支払額は増え、完済年齢も後ろへずれます。完済時年齢の上限(満80歳未満など)もあるため、無条件に延ばせるわけではありません。家計を立て直す目的で期間を延ばすなら有効な手ですが、「総返済額を減らす」目的の借り換えとは逆方向の選択であることを理解して使い分けてください。

Q. 住宅ローン控除は借り換えても続きますか?

A. 借り換え後のローンが当初の住宅ローンの返済のためのものであり、返済期間が10年以上あるなど所定の要件を満たせば、残りの控除期間について引き続き適用を受けられます。ただし借り換えによって控除期間そのものが延びるわけではありません。要件の判定は個別事情に左右されるため、適用の可否は国税庁の案内や税務署でご確認ください。

借り換えの手間を考えよう

借り換えは住宅ローンをもう一度借り入れることなので、あの面倒な契約をもう一度行う必要があります。借り換えにより減る返済額と、契約に必要になる諸費用、さらにご自身の手間を考慮して、借り換えを行うかを考えるべきでしょう。そのためには、まず借り換えでいくら返済額が減るのかを把握する必要があります。気になる銀行のシミュレーターで試算してみましょう。おすすめの借り換え先は借り換え比較ランキングでチェックしてみて下さい。

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・諸費用の低いネット銀行のシミュレーターで、諸費用まで含めた借り換えのメリットを確認しよう
・事務手数料は定率型(借入額の2.20%・税込)か定額型かで数十万円の差になる。金利差より先にここを見よう
・変動金利への借り換えは、金利上昇局面では返済額が増えるリスクがあることを頭に入れておこう
・利上げが返済額に反映されるまでには段階があるので、まず返済予定表で自分の適用金利と次の見直し時期を確認しよう
・団信は入り直しになるため、健康なうちに動くほど選択肢が広い

※本記事の金利・諸費用は2026年9月時点で各金融機関の公表資料・住宅金融支援機構の金利情報にて確認したものです。適用金利や手数料、反映の時期は金融機関ごとに異なり随時変わるため、実際の条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。


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