年収に合う住まいの種類を比べるイメージ

フラット35の利用者の平均年収は、住宅金融支援機構の「2025年度フラット35利用者調査」で世帯年収716万円でした。所要資金の平均は4,203万円、年収倍率は6.6倍ですが、総返済負担率の平均は22.8%にとどまっており、実際に借りている人の多くは審査基準の上限よりかなり手前で借入額を決めています。

年収倍率は買う住まいの種類によって5倍台から8倍近くまで開くため、平均の数字だけを目安にすると借りすぎるおそれがあります。

この平均像は、10年前と比べるとかなり変わりました。フラット35の取扱大手であるARUHI(現・SBIアルヒ)は当時、フラット35を借り入れた49,415名を対象に、年収・購入価格・居住区分を調査・分析しています。その結果と最新の調査を並べたうえで、金利の数字だけでは見えてこない年収に対する借入額のバランスと、諸費用まで含めた総コストから無理のない借入額の目安を考えます。

<調査概要> ・調査地域:全国 ・調査期間:2011年6月1日〜2016年6月14日 ・調査数:49,415名 ・調査データ:ARUHIでフラット35を利用した方の成約データより ※データ内の数字は10万円以下切り捨てで記載 ※フラット35を単独で組んだ場合(収入合算はしていない方)

※以下の「平均年収」「平均物件購入価格」「年収別の購入価格」は、上記2011〜2016年のARUHIの成約データにもとづく当時の集計結果です。現在の水準は後半の「最新データで見る『いま』の利用者像」の節にあります。

利用者の平均年収は?(2011〜2016年の調査)

調査対象者の平均年収は510万円、最も多い年収帯は600万円でした(最大9,000万円、最小40万円。最小の40万円は記入時の誤りの可能性があります)。

利用者の平均物件購入価格は?(2011〜2016年の調査)

土地と建物を合わせた物件購入価格は、平均2,820万円でした(最大1億円、最小200万円)。当時よく言われた「借入額は年収の5倍以内」という目安に対し、平均年収510万円から見るとやや上回る水準で、住宅ローン金利が低かったことが背景にあると考えられます。

※フラット35の融資限度額は長く8,000万円でしたが、2026年4月の資金受取分から1億2,000万円に引き上げられています(住宅金融支援機構)。

年収別・平均物件購入価格は?(2011〜2016年の調査)

年収人数割合平均物件購入価格
40万円以上200万円未満9792%1,440万円
200万円以上300万円未満5,30011%1,750万円
300万円以上400万円未満11,63224%2,240万円
400万円以上500万円未満12,78426%2,840万円
500万円以上600万円未満7,06514%3,120万円
600万円以上700万円未満4,1968%3,340万円
700万円以上800万円未満2,2825%3,550万円
800万円以上900万円未満1,1523%3,770万円
900万円以上9,000万円未満3,6657%4,430万円

年収400〜500万円未満の購入者が最も多く26%を占めました。年収が上がるほど借入可能額が増え、購入物件価格も上がる傾向がはっきり出ています(年収200万円未満で約1,440万円、年収900万円以上で約4,430万円)。

最新データで見る「いま」の利用者像(2025年度調査)

住宅価格はその後も上昇し、利用者像は当時から大きく変わりました。住宅金融支援機構が2026年7月24日に公表した「2025年度フラット35利用者調査」(2025年4月〜2026年3月の買取承認・付保承認案件のうち、借換えを除く35,553件を集計)から、全国平均の主な数字を挙げます。

  • 平均世帯年収は716万円(前年度+47万円)。2011〜2016年調査の平均年収510万円とは前提が異なり、こちらは本人と収入合算者を合わせた世帯ベースです。
  • 平均所要資金は4,203万円(前年度3,868万円)。物件取得にかかる総額で、10年前の水準からは大きく上がっています。
  • 平均年収倍率は6.6倍。「年収の5倍以内」という昔の目安は、実態としてはすでに過去のものになっています。
  • 平均年齢は43.3歳(前年度-1.2歳)。2017年度以降は上昇傾向が続いていましたが、2025年度は低下に転じ、30歳代以下の割合が45.1%(前年度比+4.9ポイント)まで戻りました。
  • 平均総返済負担率は22.8%(前年度-0.4ポイント)。借入額が増える一方で、返済負担率そのものは前年度より下がっています。

物件価格も借入額も上がっているのに、返済負担率と平均年齢はそろって下がりました。世帯年収の上昇と、共働き世帯による収入合算の広がりが、価格上昇をある程度吸収していると読めます。

年収倍率は「何を買うか」で大きく変わる

年収倍率(所要資金 ÷ 世帯年収)は全国平均で6.6倍ですが、これは平均にすぎません。融資区分別に見ると、同じフラット35の利用者でも借り方はかなり違います。

融資区分別の年収倍率を比較した棒グラフ。土地付注文住宅7.8倍が最も高く、中古戸建5.3倍が最も低い
年収倍率=所要資金 ÷ 世帯年収。全国平均は6.6倍(2025年度)。

もっとも高いのは土地付注文住宅の7.8倍、次いでマンションの7.5倍。一方で中古戸建は5.3倍、中古マンションは5.6倍と、中古を選ぶ人は年収に対する借入額を明らかに抑えています。年収倍率の全国平均だけを見て7倍近くまで借りるのが普通と考えるのは早計で、どの種類の住まいを選ぶかによって、必要な資金は1.5倍近く変わります。

必要な資金そのものが融資区分でこれだけ違う

融資区分別の平均所要資金を比較した棒グラフ。マンション5,882万円が最も高く、中古戸建2,783万円が最も低い
注文住宅は建設費+土地取得費、分譲住宅・中古住宅は購入価額。全国平均の所要資金は4,203万円。

マンションが5,882万円と最も高く、土地付注文住宅が5,313万円(建設費3,738万円+土地取得費1,575万円)で続きます。逆に中古戸建は2,783万円で、マンションの半分以下です。年収がいくらなら家が買えるかではなく、その年収で無理なく買えるのはどの住まいかという順番で考えると、検討の幅は一気に広がります。

中古戸建の平均世帯年収は580万円で、716万円という全体の平均を下回る世帯でも、年収倍率5倍台の範囲で購入している層が一定数いることが分かります。

ただし中古は購入後のリフォーム費用や、築年数に応じた修繕・管理費が別にかかり、平均築後年数は中古戸建で22.7年、中古マンションで28.7年です。物件価格の安さだけで比べず、中古住宅のメリット・デメリットと総コストまで見ておくと、購入後の出費を読み違えずに済みます。

年収から考える「無理のない借入額」(フラット35の基準)

年収別の購入価格が分かったら、次は自分が無理なく借りられる額の目安です。フラット35には、年収に対する年間返済額の割合(総返済負担率)の基準があります。

  • 年収400万円未満:総返済負担率 30%以下
  • 年収400万円以上:総返済負担率 35%以下

この返済負担率には、フラット35以外の住宅ローン・自動車ローン・教育ローン・カードローンなどすべての借入れの年間返済額が含まれます(住宅金融支援機構)。審査では年収の水準そのもので一律に線引きされるわけではなく、この割合に収まるかどうかが問われるため、「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物です。審査の見られ方はフラット35の審査基準と民間ローンとの違いの記事で詳しく解説しています。

ここで先ほどの実績値がヒントになります。2025年度の利用者の平均総返済負担率は22.8%で、基準の上限(30%・35%)とはかなりの開きがあり、実際に借りている人の平均は上限まで使い切っていません。基準はあくまで審査に通る上限であり、教育費・老後資金・将来の修繕費まで見据えるなら、20%台前半を一つの目安に置くと家計に余裕が残ります。

3,000万円・5,000万円を借りるのに必要な年収の目安

当編集部が2026年10月のフラット35の最も多い金利(年3.830%・借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)をもとに、元利均等・ボーナス返済なし・35年返済で試算しました。3,000万円の毎月返済額は129,790円、5,000万円は216,317円です。この試算は金利だけの計算で、事務手数料や団信の上乗せ、登記などの諸費用は含んでいません。

借入額(35年・年3.830%)毎月返済額基準上限35%で必要な年収平均の22.8%に収める年収
3,000万円129,790円約445万円約683万円
5,000万円216,317円約742万円約1,139万円

3,000万円なら年収445万円前後で基準上は借りられる計算ですが、利用者の平均と同じ負担率に収めようとすると、必要な年収は683万円前後まで上がります。

年収倍率が同じでも金利・借入期間・団信の選び方で毎月の返済額は変わるため、倍率ではなく毎月の返済額と手元に残る額で判断したほうが確実です。収入合算やペアで借りる場合は二人分の収入が続くことが前提になるので、育児や転職で片方の収入が減っても返せる水準かどうかも試算に入れてください。

年収だけで決めない、諸費用まで含めた「総コスト」の視点

年収と借入額のバランスを考えるとき、見落とされやすい費用が借入時にかかる諸費用です。フラット35は保証料が原則不要ですが、そのぶん融資事務手数料が総コストを左右します。事務手数料が借入金額に一定の率を掛ける定率タイプの場合、借入額が増えるほど負担は比例して重くなります。

一方、2026年10月1日以降にフラット35(フラット20・フラット50、借換えを含む)を借り入れた人には、住宅金融支援機構の「フラットすまい・るポイント」で借入額に応じた楽天ポイントが進呈されます。取扱金融機関を問わない機構の特典なので、事務手数料2.20%(税込)を払う場合でも、諸費用の一部がポイントで戻ります。

借入額事務手数料2.20%(税込)の目安フラットすまい・るポイント(2026年度)手元資金への影響
2,000万円440,000円50,000ポイント頭金とは別に用意が必要
3,000万円660,000円50,000ポイント登記費用・火災保険料が別途かかる
4,000万円880,000円70,000ポイント借入額の増加分がそのまま上乗せ
5,000万円1,100,000円70,000ポイント諸費用だけで100万円超

※ポイントは2,000万円以上4,000万円未満で50,000ポイント、4,000万円以上6,000万円未満で70,000ポイント(2026年度の借入れが対象)。借入日から6か月を経過する日までの申請が必要で、連帯債務の場合はいずれか1人が対象です。予算により終了・変更されることがあります。

2025年度調査の平均所要資金4,203万円のクラスでは、事務手数料だけで90万円前後になる計算です。ポイントが7万ポイント戻っても、登記費用・火災保険料・印紙税などが加わるため、年収の何倍まで借りられるかだけを見て資金計画を立てると、この数十万円〜100万円超の現金支出が抜け落ちます。諸費用の内訳は住宅ローンの諸費用の比較で紹介しています。

頭金についても同じことがいえます。フラット35では融資率が9割以下か9割超かで金利が変わるため、1割の自己資金には金利面の意味があります。実際、2025年度調査の全国平均では所要資金4,203万円に対して手持金551万円(所要資金の13.1%)が用意されています。頭金1割を用意しても、諸費用の分を別に準備しなければ手元資金は足りません。

加えて、団信(団体信用生命保険)の選び方も総支払額を動かします。フラット35ではデュエット(ペア連生団信)で掲載金利+0.18%、新3大疾病付機構団信で+0.24%、逆に団信に加入しない場合は掲載金利-0.20%となります(2026年10月時点・住宅金融支援機構)。

保障を厚くすれば万一への備えは増えますが、35年間の総支払額では無視できない差になるため、年収から借入額を決めたら金利・事務手数料・団信の3つを合わせて比べるのが総コストで考える基本です。

いまの金利水準を正しく知っておく

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。かつては歴史的な低金利でしたが、長期金利の上昇を背景に金利水準は変わりました。2026年10月資金受取分の買取型(新機構団信付き・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下)の最も多い金利は年3.830%です(住宅金融支援機構の金利情報)。

商品・借入期間融資率9割以下(最も多い金利)融資率9割超(最も多い金利)
フラット20(20年以下)年3.510%年3.620%
フラット35(21年以上35年以下)年3.830%年3.940%
フラット50(36年以上50年以下)年4.100%年4.210%

※2026年10月資金受取分・新機構団信付き。金利は毎月改定されます。

融資率(9割以下か9割超か)・借入期間・団信の有無で金利が変わることも見落とせません。フラット35の金利を年3.830%という一つの数字で覚えると、自己資金が1割に届かない場合や、期間を35年超に伸ばした場合の実際の負担を読み違えます。

金融政策の面では、日本銀行が2026年9月18日の金融政策決定会合で政策金利を1.25%程度へ引き上げました(9月24日から適用)。先々の金利がどう動くかは、そのつどの決定会合で判断されるもので、事前に確定するものではありません。

だからこそ全期間固定のフラット35は、金利の低さではなく、返済額が変わらないことに価値を置く人に向く商品です。変動金利との金利差は開いているため、どちらを選ぶかは、その差を払ってでも返済額を確定させたいかどうかで決まります。

フラット35はどこで借りても同じではない

多くの金融機関がフラット35を扱っていますが、同じ商品でも取扱金融機関によって金利や事務手数料に違いがあります。機構が公表する最も多い金利は目安であり、実際の適用金利は各金融機関が設定しています。保証料が原則不要なフラット35では、比較すべきは金利だけでなく事務手数料の料率です。

check金利は機構の公表水準と同じかどうかを確認する

フラット35の取扱大手であるSBIアルヒの場合、2026年10月実行金利はフラット35(借入期間21〜35年・借り換え)で年3.830%と公表されており、機構が公表する最も多い金利と同じ水準です。検討している金融機関の金利が、機構の公表水準と比べてどうかを最初に確認してください。

check事務手数料の「率」と「最低額」

SBIアルヒの事務手数料は【スタンダードタイプ】融資金額の2.20%(税込)、最低220,000円(税込)です(新規借り入れ・借り換えとも)。かつて案内されていた「Web申込で事務手数料が半額(1.10%)」という割引は現在は行われていません。古い記事や口コミの情報を前提に資金計画を立てないよう注意してください。

現在は、2026年3月2日〜2027年3月31日にWeb申込(本申込)と電子契約の両方を使ってフラット35かスーパーフラットを借りると、融資事務手数料が1債権あたり33,000円(税込)引き下げられます。電子契約を利用する場合は別途、電子契約手数料11,000円(税込)がかかるため、差し引きで考える必要があります。

同社では、自己資金の割合に応じて金利が下がる保証型の「スーパーフラット」も扱っています(2026年10月実行金利のスーパーフラット借換は年3.680%)。自己資金を厚めに用意できる人は、買取型のフラット35と併せて比較する価値があります。

※SBIアルヒ ダイレクト支店では、2026年7月1日をもってWeb事前審査の取り扱いが終了し、現在はWeb本申込のみの取り扱いとなっています。事前審査から段階を踏みたい方は、先に申込方法を確かめておくと手続きのやり直しを防げます。

フラット35(全期間固定)は返済額が確定することが最大の価値ですが、住宅ローンはそれだけではありません。変動金利や独自の長期固定を扱う民間ローンも、事務手数料・保証料・団信の上乗せを含めた総支払額で比べると、自分の年収と家計に合う借り方が分かります。年収・返済負担率・総コストの3つをそろえて比べたうえで、借入額を決めてください。

手数料・団信の条件やフラット35の金利は改定されることがあります。総額で比べる際は、各金融機関の最新の条件表を基にしてください。

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住宅ローン比較ネット 編集部

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