フラット35とパッケージローンを組み合わせる仕組みのイメージ

ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)は2016年10月から「【フラット35】ミスターパッケージローン(住宅融資保険活用型)」の取り扱いを開始しました。この商品は現在、「【フラット35】フラットパッケージローン」として提供されており、2026年7月からは組み合わせられる借入額の枠も広がっています。本記事では現在の商品内容を、金利だけでなく事務手数料・団信まで含めた「総コスト」の視点で整理します。

フラットパッケージローンとは、【フラット35】買取型(借入割合90%以下)と組み合わせて利用する住宅ローンです。物件価格の一部をパッケージローンで借りることで、フラット35側の借入割合を9割以内に抑えつつ、合計では物件価格の10割までの借り入れを可能にします。パッケージローン単独では借りられず、借換えも対象外です(2026年8月13日現在・公式サイトにて確認)。

なぜ「9割」にこだわるのか|融資率で金利が変わる仕組み

フラット35の金利は、借入期間(20年以下・21年以上)に加えて、融資率(借入額が物件価格の9割以下か、9割超か)によって異なり、9割を超えると金利が高くなります。この差は返済が終わるまでずっと続くため、頭金を1割用意できるかどうかで、総返済額が変わってきます

実際にどれくらい違うのか、住宅金融支援機構が公表している2026年8月資金受取分(新機構団信付き)の金利で確認してみましょう。

商品・返済期間融資率金利の範囲最も多い金利
フラット35(21年以上35年以下)9割以下年3.290%〜年5.570%年3.290%
フラット35(21年以上35年以下)9割超年3.400%〜年5.680%年3.400%
フラット20(20年以下)9割以下年2.970%〜年5.250%年2.970%
フラット20(20年以下)9割超年3.080%〜年5.360%年3.080%

※出典:住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年8月資金受取分・新機構団信付き)。金利は毎月見直され、実際の適用金利は取扱金融機関ごとに異なります。

9割以下と9割超の差は年0.110%。数字だけ見ると小さく感じますが、これが最長35年続くという点が重要です。フラットパッケージローンは、この「9割の壁」を頭金ではなく別建てのローンで越えるという発想の商品といえます。

もうひとつ表から読み取れるのは、同じ融資率でも金融機関によって年3.290%〜年5.570%と大きな幅があることです。フラット35は住宅金融支援機構の商品ですが、金利を決めるのは取扱金融機関です。「フラット35はどこで借りても同じ」ではないということは押さえておきましょう。

現在は2つのプランから選べる

フラットパッケージローンには、組み合わせる割合の異なる2つのプランがあります。

プランパッケージローンの借入額こんな人に向く
フラットパッケージローン「ゴーゴー」(借入割合50%)住宅建設費または住宅購入価額の50%以上60%以下フラット35の安心感は残しつつ、半分は変動金利にして当面の返済額を抑えたい人
フラットパッケージローン(借入割合10%以下)住宅建設費または住宅購入価額の10%以下固定金利中心で、手持ち資金を残したまま所要資金の満額を借りたい人

どちらのプランも金利タイプは変動金利・固定金利から選べます(選ぶタイプによって金利引下げ幅が異なります)。「ゴーゴー」は固定と変動を組み合わせる、いわゆるミックスローンに近い使い方ができるプランで、従来の10%以下タイプが「頭金の代わり」だったのに対し、こちらは金利タイプの分散が目的という違いがあります。金利が上昇局面にある局面では、全額を変動にも全額を固定にもしたくない、という判断に応える設計といえるでしょう。最新の適用金利と引下げ幅はドコモの銀行の公式サイトでご確認ください。

なお、物件価格の100%を借り入れると返済負担は重くなり、住宅ローン破綻のリスクが高くなります。ある程度の自己資金を用意できないのであれば、無理な借り入れはおすすめしません。それでも、理想の物件に出会ったタイミングと貯蓄のペースが合わないことはあります。フラットパッケージローンは、今後収入の増加が見込める方や、現在の収入に対して月々の返済額に余裕のある方が、頭金が貯まるのを待たずに動きたい場合の選択肢といえるでしょう。

申込条件と、審査で見られるポイント

フラットパッケージローンの申込条件は、公式サイトで次のように案内されています(2026年8月13日現在)。

  • 年齢が満18歳以上満65歳以下、かつ完済時年齢が満80歳未満であること(申込み時ではなく借入れ時の年齢が基準)
  • 【フラット35】買取型を借り入れること(親子リレー返済の場合は利用不可・借換えは対象外
  • 指定の団体信用生命保険に加入できること(健康上の理由等で加入できない場合はパッケージローンを利用できません)

属性面で注目したいのは、この商品が【フラット35】買取型の取扱い基準で申し込める点です。公式サイトでも「職業や雇用形態に制限がなく、年金受給者やパートタイマーなど幅広い年齢層や職種のかたが申込みしやすい」と案内されています。勤続年数や雇用形態がネックになりやすい人にとっては、民間の住宅ローンより現実的な選択肢になり得ます。ただし所定の審査があり、審査結果によっては希望に沿えない場合があります。

ドコモの銀行 フラット35の注目ポイント

checkフラット35の金利水準と当初5年間の引下げ

公式サイトでは「業界最低水準の金利」と案内されています。加えて、借入割合90%以下で所定のポイントを満たす場合、当初5年間 最大年▲1.000%の金利引下げが用意されています(適用条件により引下げ幅は異なります)。前掲のとおりフラット35の金利は取扱金融機関ごとに幅があるため、複数の金融機関で実際の適用金利を並べて比較することをおすすめします。

check保証料・一部繰上返済手数料は0円、事務手数料は2.20%

保証料と繰上返済手数料は0円です。一方で事務取扱手数料は借入額の2.20%(税込)・最低110,000円(税込)で、取扱開始当初の1.00%から引き上げられています。「保証料0円」だけを見て安いと判断せず、事務手数料を含めた初期費用の総額で比べるのが正しい見方です。3,000万円を借りる場合、2.20%なら66万円(税込)が実行時に必要になります。

check全疾病保障は「どちらで借りるか」で費用が変わる

ここは総コストで見るときに見落とされやすい部分です。同じ全疾病保障でも、費用の扱いが2つの商品で異なります。

借入れる商品全疾病保障の費用
【フラット35】買取型WEBサイトから加入する場合、借入金額の0.55%(税込)が事務取扱手数料に上乗せ
フラットパッケージローン保険料負担なしで先進医療特約付団信・全疾病保障が付帯

全疾病保障は、病気やケガで就業不能状態になった場合に月々の返済相当額が保障され、状態が続けばローン残高が保障される仕組みです(8疾病=ガン・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎と、それ以外の病気・ケガで免責期間や限度回数が異なります。引受保険会社はSBI生命保険)。加入しない場合でもフラット35・パッケージローンの借り入れは可能です。保障の要否と、事務手数料に乗る0.55%を合わせて判断しましょう。詳細な保障内容・免責事項は公式サイトの「被保険者のしおり」でご確認ください。

checkフラット50も取扱い、借換えにも対応

借入期間が最長50年となるフラット50も取り扱っています(2026年8月の金利は融資率9割以下で最も多い金利が年3.500%)。また、フラット35への借換えにも対応しています。ただしフラットパッケージローン自体は借換えでは利用できない点にご注意ください。

2026年の変更点|ペアローンの借入可能額が最大4億8,000万円に

2026年7月1日申込受付分より、住宅金融支援機構の制度改定に伴ってペアローン利用時の借入可能額が拡大されました。従来はお二人のうち一方しかパッケージローンを組み合わせられませんでしたが、改定後はお二人それぞれが【フラット35】とフラットパッケージローン「ゴーゴー」を組み合わせて利用できるようになっています。

契約者改定前改定後
申込人1フラット35:1億2,000万円+ゴーゴー:1億2,000万円フラット35:1億2,000万円+ゴーゴー:1億2,000万円
申込人2フラット35:1億2,000万円フラット35:1億2,000万円+ゴーゴー:1億2,000万円
合計借入可能額3億6,000万円4億8,000万円

高額物件を検討する共働き世帯向けの改定ですが、注意点もあります。ペアローンはお二人それぞれが個別に契約するため、抵当権設定の登記費用や事務手数料がそれぞれに発生します。また団信もそれぞれ加入するため、一方に万一のことがあっても、もう一方は自分の債務の返済を続ける必要があります。借入可能額が増えることと、返済していける額であることは別問題です。なお、ペアローンはWEBサイトからは申し込めず、代理店または提携事業者を通じた受付となります。

【注意】フラット35「保証型」は新規受付を停止

公式サイトのお知らせのとおり、フラット35「保証型」は2026年4月30日をもって新規のお申込受付を停止しています。買取型は引き続き取り扱われており、フラットパッケージローンも買取型のみが対象です。保証型を前提に書かれた古い情報を見かけても、現在は新規で選べない点にご注意ください。

よくある質問(FAQ)

Q. フラットパッケージローンだけを単独で借りられますか?

A. できません。【フラット35】買取型とのセット利用が前提の商品です。フラット35側の借入割合を9割以下に抑えるための商品なので、単独では成立しません。

Q. 借り換えでも使えますか?

A. 使えません。フラットパッケージローンは借換えは対象外です。フラット35への借換え自体は取り扱われているため、借換えの場合はフラット35単独での検討になります。

Q. 親子リレー返済と組み合わせられますか?

A. できません。公式サイトで親子リレー返済の場合は利用できないと明記されています。親子リレーを前提に返済期間を伸ばす設計とは併用できないため、資金計画の段階で確認しておきましょう。

Q. 頭金を入れるのと、パッケージローンで10割借りるのはどちらが得ですか?

A. 手元資金が十分にあるなら、頭金を入れてフラット35を9割以下にするほうがシンプルで、借入総額も小さくなります。パッケージローンが効くのは「手元資金を残しておきたい」「今の物件を逃したくない」といった資金繰りの事情があるときです。パッケージローン部分にも事務取扱手数料2.20%(税込)がかかるため、金利差だけでなく手数料を含めて比べてください。

まとめ|「金利」と「事務手数料」を合わせた総コストで比較する

フラットパッケージローンは、頭金1割の壁に悩んでいる方や、固定と変動を組み合わせたい方にとって現実的な選択肢です。一方で、フラット35の事務取扱手数料は借入額の2.20%(税込)と、取扱開始当初の1.00%から引き上げられており、手数料水準では他のフラット35取扱金融機関と差がつきにくくなりました。「金利」と「事務手数料」、そして全疾病保障の上乗せ分まで合わせた総コストで比較することをおすすめします。

フラット35での借り入れを検討している方は、一度公式サイトで最新の適用金利と条件を確認してみるとよいでしょう。

 

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